Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

天井隠蔽型エアコンのダクト&吹き出し口(ブリーズライン)の設置

港区R邸

港区R邸のリビングダイニングの空調システム(空気調査システムの略で、エアコン(Air conditioning)と同義です)は、天井隠蔽型のエアコンを採用しています。高級マンションのLDKなどでは、天井カセット式エアコンの採用が一般的になってきましたが、こちらのシステムはそれをさらにもう一歩高級仕様にしたものです。

天井埋設型エアコンの本体

リビングダイニングには3台の本体が、そしてキッチン部分にも1台のユニットが天井に吊られています。天井カセット式に比べると、隠蔽型はエアコン本体が天井裏に隠れて、吹き出し口と吸い込み口だけしか見えないので、天井がすっきりと収まりますが、本体のフィルター清掃用に点検口をつけなくていけないので、その処理がデザイン的に難しい部分となってきます。

マンションリノベーションの工事現場

リビングダイニングの全容を撮影した写真ですが、この写真の向かって左側のダイニング部分の天井裏にエアコン本体が埋め込まれており、中央の折り上げ天井の横面に吸い込み口が取り付けられています。また、窓際には吹き出し口があるのですが、それら全てを天井からぶら下がっている銀色のジャバラ状のダクト(フレキシブルダクト)で繋いでゆきます。

天井裏のダクト断面

こちらがそのフレキシブルダクトの様子です。ポリエステルと鋼線で作られた円筒の上から、ピンク色のグラスウールの保温材で巻き、アルミのカバーと取り付けたもので、保温フレキといわれているダクトです。比較的自由に経路を設定できることが最大のメリットで、天井裏が交錯してしまう場合に使うものです。ダクトが長く、曲がり回数が増えると、抵抗値が高くなり、風圧が弱くなってしまうのですが、今回はエアコンから吹き出し口までの距離は最短で作り、吸い込み口からの距離を長めにとる計画としています。

天井埋設エアコンの吹き出し口設置

天井下地のバーを切断して、吹き出し口が設置されていました。ライン型の吹き出し口で、ブリーズラインと呼ばれるものです。最終的な仕上がりは、この長い長方形の口にカバーを取り付けるので、更に細く見えてきます。

天井埋設型エアコンのチャンバー

天井裏に仕込まれたチャンバーボックスはこのような形状になっています。丸形のフレキシブルダクトから流れてきた空気を細長い吹き出し口へと繋げるために、一度この箱(チャンバーボックス)の中に入れて風切り音を減らしたり(消音性)とうまく空気が広がるよう(拡散性)な仕組みとなっています。

天井埋設型エアコンのダクト接続工事

天井裏の隙間を縫って、このように空調設備屋の職人さんがダクトを接続してゆきます。

折り上げ天井のある寝室の天井LGS下地

天井カセット式を採用しているその他の居室は、天井裏にもう少し余裕があります。こちらはお嬢さまの寝室ですが、奥の下がり天井部分に天カセ式エアコンが入っています。手前の天井裏に透けて見える白い亀のようなものはロスナイ(全熱交換型換気システム)の分岐チャンバーです。これを使ってバランスよく換気を分散させる仕組みとなっています。

天井付けブリーズラインと折り上げ天井の側面付きブリーズライン

天井高の低い平天井に下向きに空いている四角い穴と、折り上げ天井の側面立上り部分に横に空いている四角い穴が、それぞれ天井隠蔽型のエアコンの吹き出し口と吸い込み口となります。窓際で吹き出して、部屋の反対側で吸い込むのが効率的な空調環境を作る基本となります。

折り上げ天井の側面付きブリーズライン

折り上げ天井の側面立上り部分にブリーズラインを取り付けるのはハイスペックな仕上げとなります。

天井付けブリーズラインと折り上げ天井の側面付きブリーズライン

天井の塗装が仕上がってきた段階で、まだブリーズラインのフェイスが取り付けられていないと黒い帯が目立ちますが…、

天井付けブリーズラインと折り上げ天井の側面付きブリーズライン

最終的に、このように白いフェイスが取り付けられるときれいに、天井や折り上げと一体化して見えてくるのです。
その他、ブリーズラインの取り外し方や清掃方法については以下のブログをご参照下さい。
ブリーズラインの取り外し方と清掃方法
天井裏エアコンシステムの設備設計の考え方
折り上げ天井側面に納めたブリーズライン
ダイニング上の照明ボックスと一体でおさめたブリーズライン