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プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

大理石探しツアー@岐阜県

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸のキッチンカウンター材と洗面カウンター材の大理石を探しに、日帰りで岐阜県に行って参りました。施工会社・の現場監督の岡田さんと片岡社長、そして弊社副所長で担当設計の竹田さんと4人のツアーです。

キッチンカウンターで使う石材は、エンペラドールダークです。スペイン産の濃い茶色をベースとして、薄い茶色や白い線が細かなひび割れのように走っている重厚なイメージの大理石です。

このエンペラドールダークに決まるまで、色々な経緯がありましたが、片岡社長が持っている濃い四角いサンプルの裏面のピール加工されたものがQさまご夫妻に気に入って頂けたので、これと似たものを探すことが今回のツアーの第一目的となっています。

ピール加工のサンプルを作ってくれたのが、日暮里にある石材屋の日本辰華(ニホンシンカ)さんだったので、担当の渕川さんと池上会長に現地アテンドして貰いました。最初に訪問したのは岐阜県安八郡にあるミナミ石材さんです。

まずは何枚かのスラブ材(ブロック材から薄切りにされた石材で、2m×3m程度のサイズで、厚みが20~30ミリの薄板)をクレーンで出して貰い、色味やヒビの入り具合を確認させて貰いました。

最も良さそうなものを選んで、片岡社長と岡田さんと渕川さんに、青い養生テープで石取りをして貰います。欲しい石材のサイズは決まっているので、カウンター部分や縁部分をスラブの色が浅い個所やひび割れを避けながらどのように取ってゆくかが重要なポイントになります。写真は、A3サイズの紙を使って、直角を出してくれている様子です。

まずは一通り養生テープで仮の石取りができたものをチェックしています。スラブの下に斜めに走るヒビがありましたが、そのヒビを避けて斜めに石取りをして、ちょうど良さそうな長さのカウンター材が取れそうです。

スタッフの竹田さんに並んでもらうと、スラブ材の巨大さが分かりますね。特に大理石の色味の濃い部分をカウンターに狙っているのが判るでしょうか。

最初の一枚だけでは、キッチンカウンター一枚分も足りないので、もう一枚似た模様のスラブを選んで、ダイニング横のワインセラーを入れる収納の甲板分とキッチンカウンターの足りない部分を石取りしてみました。

これだけでも必要な材料が足りないので、最初の一枚からさらに細い部材を取ってゆくことになりそうです。

まずは最初のミナミ石材で、ベストと思われるスラブを2枚見付け、石取りができました。

お客さまのQさまに見せるサンプルを持ち帰る必要があるので、このスラブの端っこの欠けた部分を持ち帰ります。

次に伺ったのが、同じ岐阜県ながら養老市にあるフジ大理石さんです。こちらでも、僕らからの希望の濃い色のエンペラドールダークを表に出しておいて貰っているので、まずはベンチマークとなっているサンプルと色味を比べさせて貰いました。色味の濃さという点では良いのですが、エンペラドール独特の華やかさはあまり感じられないスラブ材でした…。

スラブ材が少し小さななことも気になりましたが、まずは石取りをして見比べることにさせて貰いました。

2枚のスラブを使えば何とか必要量を賄うことができることが分かりました。2種類のスラブ材を一緒に見つけて下さったところで、日本辰華さんのお仕事は終わり、ここからは洗面化粧台のビアンコブロイエを一緒に探して貰う、鈴木大理石さんにバトンタッチして貰いました。

鈴木大理石の成澤社長とは、これまで幾度かお仕事をご一緒したことがあるので、こちらの要望に近い大理石を見つけて置いてくれただけでなく…、

石取りまできれいにしておいてくれました!ここまで事前作業をしておいてくれると、とても楽なのですが、特にメインで使うカウンター材については、傷やシミが無い部分かをきちんとチェックしておく必要があります。
因みに、ビアンコブロイエはイタリア産の大理石で、有名なビアンコカラーラと同じカラーラ地域で取れる石で、ビアンコカラーラと比べると、灰色の斑が細かく入っていることが特徴です。

最初のミナミ石材さんでも、こちらのフジ大理石さんでもビアンコブロイエは注意深く探していましたが、これより良さそうなものはなかったので、こちらはこのスラブで本決まりとして、成澤社長と一緒に写真を撮らせて貰いました。
因みに、一つの現場に2社の石屋さんが入るのは変則的ですが、キッチンカウンターのサンプルを粘り強く作ってくれたのが日本辰華さんで、カウンター材だけでなく、壁材として使うイタリアからの輸入加工石材のサルバトーリの施工に慣れた鈴木大理石さんにも手伝ってもらう必要があったので、2社合番(アイバン)となってしまいました。

実は、日本辰華さんがエンペラドールダークのピール加工(別名アンティーク加工)をして貰ったのが、こちらのフジ大理石さんとのことで、どのような加工なのか工場を見せて貰いました。

このような人造ダイヤモンドの粉をまぶした特殊なブラシで研磨してゆくことで、石の柔らかい部分が削れて、硬い部分が残ることで、本磨きのような艶はありませんが、不思議な滑らかさを表現できる仕上げとなっています。因みに左のブラシが最初の状態で、右のようにブラシの毛の部分が摩耗されてしまうと、用済みになるとのことでした。

こちらの工場では、御影石のジェットバーナー仕上げ加工機も動いているとのことで、見せて貰いました。写真の通り、(割れ防止の)水を掛けながら高熱のジェットバーナーを表面に当てることで、石英以外の他の鉱物部分が解けたり、ハゼたりすることで、ざらざらにするという仕上げ方法です。
これで当日の用事は一応終わりとなりましたが、近くまで来たので、まだ関ヶ原石材のアントリーニ・ギャラリーを見たことが無かった、青のお二人と竹田さんも一緒に、関ヶ原まで出かけて、ギャラリーを拝見させて頂きました。今回は具体的な石探しではないので、写真は割愛致します。
丸一日の石材ツアーにお付き合いくださった片岡さん、岡田さん、そして日本辰華と鈴木大理石、フジ大理石とミナミ石材の皆さま、どうもありがとうございました。