Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

魅せるレザー扉と隠すカラーガラス扉

渋谷R邸

最近のカガミ建築計画で得意としているのが、レザー張りの建具(扉)とカラーガラス張りの建具です。レザー張りの建具を使うのは、今回のように廊下や玄関からメインの空間であるリビングダイニングに入る扉がほとんどです。高級感がある素材と言えば、大理石やタイル、金属や木質となりますが、ほとんどが硬い素材となってしまいます。その中でレザーは柔らかくしっとりとしていて、ぶつかってもいたくないイメージの素材となります。ファブリック(布類)も同様に柔らかい素材ですが、汚れた場合に水拭きがしにくくなるので、海外製の人工レザーで高級感があるものを選んで使うケースが多いのです。
それに対して、カラーガラス張りの建具は、周りの壁も同じカラーガラスで張ることによって、扉の存在を隠したい場合によく使っています。カラーガラス張りの壁によく見ると金属製の取っ手だけが見えて、それでかろうじて隠し扉があることが分かるという仕組みなのです。

渋谷R邸では、玄関ホールからリビング入る扉レザー張りと、玄関ホールに面した書斎とSIC(シューズインクローゼット)の扉はカラーガラス張りとして、隠しています。まずは廊下からリビングダイニングへの扉ですが、人工レザー張り建具の全容です。写真の右側が空いていますが、こちらにはFIXの(嵌め殺し)の透明ガラスを入れることになっています。

レザー張り建具と言っても、最初に現場に入ってきた段階では、このように木の素地仕上げで搬入されて吊り込まれます。

ただ、ディテールを良く見ると、端部には少し出っ張った形で焼き付けのスチールの枠が付いています。

木下地の面全体にシーラーを塗布して、あくが出てくるのを防いだうえで、背面に強力な両面テープを張ったレザーパネルを張って仕上げてゆくのです。

20分くらいの時間で、片面すべてをレザー張りに仕上げてゆきます。当然ながら、事前に寸法調整をして、すぐに張り込めるように準備をしてあったので、ここまでスピーディーに仕上げることができたのですが…。

両面張終わって完成した様子がこちらです。写真を良く見て頂くと分かるのですが、レザーパネルも何枚かに分かれているのですが、その分かれ目のラインが、壁のタイルのラインと揃っているのは、デザインの一つのコツとなっています。

特注で作って貰っている鉄製の焼き付け塗装仕上げの取っ手周りのディテールです。各レザーパネルにはスティッチを入れていることで、レザーの質感がさらに強調されているのが判るでしょうか。

施工をお願いしたプレステージプランニングの下のクレドが書いてくれた図面に担当スタッフの前田君が赤字でチェックしたものです。壁のタイル幅と特注の取っ手の幅を合わせて、それらに合わせてレザーパネルの割を決めています。

建具自体はフロアヒンジで納めて、周りに枠が見えない仕様となっています。

右側に見えている扉がSICへの扉で、左手前に半分空いている扉が書斎への扉です。この扉はR家のご家族にとっては重要な使い勝手の扉ですが、このお宅に初めていらっしゃるお客さまには、あまり見せたくない部分なので、周囲の壁と同化させて隠すためにカラーガラス張りの扉としています。

こちらの扉も吊り込まれた時点では仕上がっていませんが、ディテールを良く見ると取っ手部分が少し出っ張っているのが分かりますね。

周りの壁と扉2枚にカラーガラスを張ると、このように仕上がります。建具の吊元側の上下にピボットヒンジが飛び出ていることと、取っ手以外はここに2枚の扉が隠されていることのヒントはないのです。因みにこの写真の左側に写っているのがレザー張りの建具です。

こちらがカラーガラス張りの建具の施工図です。

レザー張りの建具の存在感が照明を浴びてさらに際立っているのが分かりますね。

渋谷R邸では、その他の工事も着々と進んでおります。リビングでは、テレビボード周辺の造作家具が取り付けられて、壁面のタイルも張られ始めています。

こちらのタイルは、上からの照明で凹凸が映えるSCI-3060C(平田タイル)を使っています。中央でタイルが張られていない個所に、壁掛けテレビ用の金物とコンセント等が設置されます。

タイルが張り終わったら、同色の目地材を詰める作業です。

一部(というかほとんど)養生されていますが、リビングのテレビボードがこれでほぼ完成です。

壁に張るクロスとほぼ同色の白いダイノックシート張りの建具は、特注の取っ手だけ少し色を変えてアクセントにしています。これらは廊下の途中に吊り込まれる予定の扉たちです。

ダブルシンクの洗面カウンターの取付けも始まりました。

SIC内部は、予算削減で南海プライウッドの収納システムを使っています。

廊下横に設けた洗濯機置き場と乾燥庫とサウナ用の製氷機置き場もほぼ完成です。

側面を大理石調タイル、背面をカラーガラス張りにした来客用トイレも大分出来てきました。こちらでもタイル目地とカラーガラスの目地ラインは揃えて貰っています。
まだ現場はバタバタですが、来週には施主検査の予定となっています。