Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

マンション二層吹き抜け天井のデザイン

関西I邸

マンションリフォーム&リノベーションでは、元々がメゾネット住宅(上下階を階段で繋ぐ住宅)でない限り、中々二層吹き抜けを作ることができません。二層吹き抜けや高い天井は、戸建て住宅ならではの贅沢と考えていましたが、関西I邸はマンション最上階住戸で、天井裏に隠れていたスペースを取り込むことで、二層吹き抜けとほぼ同様の高い天井を実現することができました。

約60平米(36畳)の広さのLDKに対して、最大で3.8mの高さの勾配天井のおおらかな空間を実現することができました!

ほぼ同じアングルからのリノベーション前の空間と比べると、平面的な広さもですが、それ以上に立体的な空間の広がりに驚くばかりです。

弊社副所長で、I邸プロジェクトの担当の竹田さんの立ち姿が入ると、空間の大きさがより良く分かります。空中に吊られたような箱状のものは、元からあるロフト収納です。

掃き出し窓側からダイニングキッチン側を見返した写真です。当初はキッチン上は低い天井でデザインしていましたが、折角の高天井を伸ばすことができるのだからと、Iさまに追加金額の了承を得たうえで広げさせてもらいました。

この様子を見に来てくださったIさまも、予算追加になったが、キッチン上まで傾斜天井が伸びてきて、やはり良かったと喜んで下さいました。

キッチン中央に立って、パントリー側を見返すと、2枚の引き戸を経て、玄関ホールまで一直線に動線が繋がり、その直上に屋根裏収納の空気抜きの窓が開く、如何にも空気の抜けが良さそうな空間になりました。

設計の中途段階で、こちらの図面、LDKの展開図をIさまにお見せした時に、「どんなふうに仕上がるのか想像するのが難しい…」と仰っていたことが思い出されます。

傾斜天井部分は、不燃仕様のウォールナット突板の木製ルーバーで仕上げていますが、これは当初から二層吹き抜けの傾斜天井が実現できるのなら、是非木製ルーバーでとのご主人さまのご意向でした。

これだけの大きな面積の傾斜天井を木製ルーバーで仕上げた経験はなかったので、弊社設計担当の竹田さんと工務店の現場監督のHさんが何度も図面のやり取りをしながらデザインを進めてくれました。
竹田さんがデザインを示した図面を提示し…、

Hさんが現場で工事をしながら実寸を確認し、施工図に仕上げてくれたのがこちらです。

濃灰色に塗装した鉄骨張りの上に、直行するような黒いボックスには、ダイニングの大型ペンダント照明を吊るし、かつトラックライトを入れる照明ボックスとなっています。ダウンライトのための孔も、木製ルーバーをどのようなピッチでカットするか、綿密に検討致しました。ダウンライトの孔から赤いものが見えていますが、これは電気配線です。

実は高天井はLDKだけでなく、主寝室にも設けることができました。二層吹き抜けほどの迫力はありませんが、通常のお部屋よりかなり天井が高くなりました。

こちらが主寝室の展開図です。解体前に、理論的にこうなっているハズだと竹田さんが書いてくれた図面ですが、実際には3次元的に天井を捻ると、仕上げ工事も面倒になるので、簡略化した形の天井となりました。

めったに設計することができない、二層吹き抜けの高天井の関西I邸、ここからどのように仕上がってゆくのか、設計者としてもとても楽しみです。