Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

高級マンションリフォームのビフォー&アフター

青山N邸

先日家具入りの竣工写真をブログでアップした青山N邸ですが、リフォーム前後の写真をほぼ同じアングルで比較したビフォー&アフター写真が何セットかできたので、それらでリフォームの趣旨をご説明いたします。

リビングのビフォーアフターです。まず一番分かりやすいのが、テレビの位置変更でしょうか。以前のお宅では、扇形のリビングの羽の鋭角の部分に大きなテレビが置かれており、そこに向かってソファがレイアウトされていたので、写真では撮影している手前側にダイニングがあるのですが、ソファがリビングとダイニングの空間を分断しているような形になっていました。
今回のリフォームでは、テレビを扇形の頂点部分に移動して、ソファを壁際に移設しています。リビングダイニングのどこからでもテレビが見えると同時に、テレビをセットする造作収納を作ったので、AV機器や配線をきれいに棚の背面に隠すことができるようになりました。家具レイアウト的にあまった鋭角な部分にはラウンジチェアを置いて、抜群の景色を見ながらのリラックスコーナーとしてラウンジチェアを置きました。

リビングから振り返ってみたダイニングとキッチンが、今回のリフォームで一番変わった部分だと思っています。以前のキッチンは完全なクローズド型でLDとは隔絶されていました。リフォームでキッチンの向きを90度転回し、ダイニング側にシンクカウンターを向けてオープンにしたことで、これだけ開放的なキッチンができました!オープンなキッチン空間がリビングダイニング加わったことで、面積的には変わっていないのに、体感的な広さは1.5倍くらいになったと思っています。
廊下からリビングダイニングに入ってくる通路は幅を広げ、更に建具を通常の木製建具からガラス製のドアに変えたことで、玄関部分にまで明るい光が差し込むようになっているのも判るでしょうか。

以前はLDから全く中が伺えなかったキッチンが、これだけ開放的になりました。Nさまも以前のキッチンはどうしても料理をする時間が楽しく感じられなかったけれど、これなら料理を楽しむことが出来そうだと喜んでくださいました。リビングのタイル壁がそのまま廊下を経て玄関ホールまで伸びている様子もこの写真で分かるでしょうか。

こちらでは左がビフォーで右がアフターとなります。
扇形でどうしても変形のコーナーが出来てしまうプラン形状ですが、その斜めに入り込んできている壁を使って、オープンキッチンながら汚れやすいコンロ回りを隠す細工をすることができました。比較的大きな壁面としてあらわれてくるその袖壁は、床材と同じチークの突板とミラーと塗装パネルをランダムにデザインすることで、空間んのアクセントとしています。

ダイニング側からリビングを見返したアングルでの比較です。
全ての壁が同じ壁紙張りでしたが、リビングは大理石調のタイルで、ダイニングとキッチンはチークの突板とカラーガラスを使うことで、空間のメリハリが生まれました。
以前はカーペット張りだった床をフローリングに変えて、全体的に天然目の突板やカラーガラス、クオーツストンといった硬質感のある素材を使ったことで、パキッとしたメリハリのある空間になったことも大きな変化でしょうか…。

玄関ホールのリフォーム前後比較写真です。以前の写真は引っ越し直前で荷物が山積みされていたので、純粋な比較はできませんね…。
ちょうど写真では見えない右奥に玄関扉があるのですが、長い共用廊下から家に入ってきて、最初に見える壁に華やかな大理石調タイルが張られ、それが明るいリビング側へと伸びていることで、自然と体がLDの方へと向いてゆくような空間になりました。また、正面奥にあるSIC(シューズイン・クローゼット)の扉も、以前は各部屋への扉と同じ仕様でしたが、今回の工事で壁と一体化するカラーガラス張りとしたことで、存在感を消すことができました。
地味な変更ですが、タイル壁を照らす壁際の照明レイアウトなども空間を魅せることには一役買ってくれているようです。

以前とレイアウトは全く変わっていない洗面と浴室の関係ですが、浴室の内装は床と天井以外はすっかり変わっています。

ユニットバス自体は以前のものを再活用していますが、浴槽を新しいものに交換して、水栓やシャワーも変えています。以前の汚れが溜まっていた排水グレーチングも全取り換えし、タイル壁も張り直したことで、生まれ変わった浴室です。

玄関廊下横にある来客用トイレのビフォー&アフターです。パッと見た目は仕上げ材が変っただけのように見えますが、手洗いカウンターは以前の奥行きは30センチほどで、手洗いボウルも指先しか洗えないような仕様でしたが、上の写真には写っていない手前にあった意味の乏しい収納棚分を空間に加えることで、新しい手洗いカウンターは50センチの奥行きを確保することができ、ボウルも大きなサイズのものに変更することができました。
また、便器横のキャビネット部分は扉を付けてしまうと扉の開閉ができず無駄なスペースになってしまうので、小物を飾ったり、本を置けるオープン棚にしています。