Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

旧宅の持ち物調査と新宅の収納計画

元麻布J邸

ファーストトラックで進んでいる元麻布J邸プロジェクトですが、リフォームキューの坂本さんと大久保さん、そして弊社の松藤さんの3人で、Jさまが現在お住いの青山のお宅に持ち物調査に伺って参りました。

物もの調査と収納計画

玄関の靴収納の中身から、

物もの調査と収納計画

ご主人さまの書斎コーナーと洋服収納、

物もの調査と収納計画

キッチンについても、全ての吊戸棚を開けての容量調査、

物もの調査と収納計画

引き出しも全て開けさせて頂いて内容物の調査をさせて貰いました。

物もの調査と収納計画

今お住まいのお宅も設計事務所にお願いして全面リフォームなさったお宅でしたので、その詳細図面もご提供いただいているので、大よその寸法は分かっておりますが、それでも再度、重要な個所は採寸させて貰っております。

物もの調査と収納計画

詳細に調査した内容を、各部屋、各収納ごとにシートに纏めた上で、別日に収納計画を練るための打ち合わせ資料として纏めました。

物もの調査と収納計画

今のお住まい(旧宅)と、新しくリノベーションするお宅(新宅)の収納を図面で比較しながら、具体的に何をどこに、どのような形で収納してゆくのかを打合せ致しました。

物もの調査と収納計画

先回の打ち合わせで、リフォームの間取りは決まっていましたが、収納計画をより具体的に計画していく中で、どうしても変更しないと収まらないものが出てきてしまったので、その部分を急いで練り直すこととなりました。

物もの調査と収納計画

一番大きな変更が生じたのはご主人さまの書斎部屋で、収納の向きを90度回転させて、洋服の収納量を約1.5倍に増やすこととなりました。

物もの調査と収納計画

当日は手書きのスケッチでしたが、翌日にリフォームキューの大久保さんと弊社松藤さんが相談しながら作ってくれた書斎の変更案が、こちらです。寸法的な懸念点をコメントして、ご主人さまの書斎テーブルのサイズを伺ったうえで、これで間取りは最終案となります。


大理石張りのテレビ埋め込み壁

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリープロジェクトの紹介ブログです。
恵比寿A邸では、高層マンションならではの東京タワービューを誇る窓の前に、テレビ用の壁を造作で作ります。元々SRC造の柱型があった個所ですが、その柱幅だと大型テレビがはみ出てしまうので、柱の前面に大理石張りの壁を作ってそこに大型テレビを埋め込む計画となっています。

写真の上半分がLGS下地にベニヤ板を張った下地壁の状態で、下半分がその後の工事でテレビを埋め込む箇所以外に大理石を張った様子です。

まだ下地壁の状態のこの時期の写真だと、背面の柱に対して壁が左右に張り出しているのが判りますね。

壁の裏側で、柱型の横にはこのようなポケット状の空間ができますが、ここにはビルトイン型のワインセラーを組み込んだバーカウンターを作る予定となっています。

因みに、柱型の反対側には奥行き35センチほどのAV収納を設ける予定です。テレビの付属品のブルーレイ等をしまっておく用途となります。
以下、より詳しくはザ・ライブラリーブログをご覧ください。

給排水設備図の謎解き@三田S邸

三田S邸

新しく始まった三田S邸の現地調査に伺って参りました。まずお部屋を拝見する間に、Sさまにお願いして事前に管理人さんに用意して貰っていたマンション竣工時の図面をチェックさせて貰いました。

このような立派に製本された竣工時の図面集を、管理人さんがマンションの地階にある集会室に用意しておいてくださいました。

三田S邸_竣工時床伏図

幾つかの重要な図面がある中で、水周り設備(キッチンや浴室、洗面やトイレ)を移動する計画がある際に是非とも手に入れたい図面の一つである、床伏図がこちらなのです。床下は現地で確認できるカ所が限られている中で、この図面があると、仕上げ床からコンクリートスラブまでの段差寸法と水周りか所んのダウンスラブの範囲が判るので、どこまで水回り設備を移動することができるかの大きな指針となる図面なのです。

三田S邸_竣工時給排水衛生設備図

そしてもう一つの重要図面がこちらの給排水衛生設備図面です。給水と給湯のルートに加えて、排水管のルートが判る図面がこちらとなるのです。ただ、この図面は当初の僕らの予想を裏切るものでした。

こちらはほぼ同じ間取りの上階の給排水衛生設備図です。分かりやすように排水ルートを赤線で書いています。キッチンやトイレ、浴室や洗面や洗濯機からの排水が、青で四角く囲まれたPSに流れ込んでいるのが判ります。

こちら下階の設備図を上階と同じように排水ルートとPSを判りやすく色分けしてみたものです。こちらでは、赤い線で描かれた排水管が1本もPSに流れ込まず、それぞれが勝手に行先を決めているかのようなのです…。
最初は図面が間違っているのかとも思いましたが、このお部屋が住宅としては最下階でその下が地下駐車場となっていることに担当スタッフの竹田さんが気が付いてくれて、それで理由が判ってきました。どうも、この階の排水管だけ、床のコンクリートスラブを貫通して地下駐車場の天井裏で横引きされているようなのです。

その後、それを担保する図面が無いかと竣工図面集を捲っていたところ、地下階の天井裏の配管図が見つかりました。分かりやすく1回の図面と同じに位置にPSを書き込んでおきましたが、確かに地下階の天井裏で全ての排水管を合流させながら流していることが判りました。ということで、プロットされているスラブの貫通孔の大よその位置と床スラブの段差範囲を抑えておけば、新しい水回りレイアウト設計が可能になることが判りました!
と、ここまで判った所で、他の図面の急いで撮影させて貰った後にお部屋の現調をさせて頂きました。

三田S邸_ご自宅現地調査

しっとりとした低層マンションの1階部分にあるお宅で、窓サッシ前にはご自分の専用邸があり、更にその先には大使館のお庭の緑が繋がった素晴らしい借景のお部屋でした。

三田S邸_ご自宅現地調査

お手持ちの家具はモダンなB&Bイタリアのソファや、ドレクセルのダイニングテーブルなど、海外生活の長いお二人ならではの素敵なミックステイストのお部屋でした。

三田S邸_ご自宅現地調査

新築時には3LDKとして発売になったお部屋だったそうですが、購入時に新築オプションで1LDKに変えたお部屋でしたので、寝室はとにかく大きく余裕のある作りとなっていました。ペダル漕ぎのトレーニングマシーンは、最近現調に伺うお宅で良く見かけますが、こちらでもコロナの最中に購入なさったものだそうです。

三田S邸_ご自宅現地調査

キッチンは御影石のカウンターの重厚な作りでしたが、完全なクローズドキッチンでしたので、オープンな作りになさりたいとのことでしたので、最近新しいものに買い替えたというガスコンロ以外は新規作り直しとなりそうです。

三田S邸_ご自宅現地調査

洗面脱衣も広々とした作りですが、全体的に古びてきたように感じるとのこと、これを機会にレイアウトも作りも一新することとなっています。

三田S邸_ご自宅現地調査

浴室については絶対に変えなくてならない理由はないそうです。場合によってはお化粧直しできれいにすることも出来るのですが、全体を作り変える計画で進めると、この浴室を残すことになると、今とほとんど変わらない間取りしか作ることができないので、残念ながらこちらも作り替えることになります。

三田S邸_ご自宅現地調査

現調時には床下のチェックと天井裏のチェックが欠かせません。床下をチェックできる一番の候補箇所が、洗面カウンター下なのです。今回も排水の繋ぎ込み用の点検口があったので、ビスを外して床下ののぞき込みました。

三田S邸_ご自宅現地調査

点検口の中を覗き込んだ様子です。荒床(床仕上げの下地)も空けられており、その下にコンクリートスラブが見えています。こちらのには水とお湯のヘッダーが収納されていました。ヘッダーは最近は使うことが少なくなったので、それ自体には興味はないのですが(笑)、床スラブと床仕上げの段差寸法を測ることができることがより重要だったのです。ここで実測した寸法は、先に手に入れていた床のダウンスラブの図面とほぼ一致致しました。さすがにこれだけ配管があると排水管のルートまでは撮影できませんでしたが、先に図面上での推察が出来ているので安心感があります。

三田S邸_ご自宅現地調査

こちらは屋外のボックス内に隠されていたガス給湯器です。緑色のチューブはペアチューブと呼ばれるもので、お風呂の追い炊きや床暖房などの給湯管となっています。この給湯機に関しては、仕上げ床から度の高さで室内にそれぞれの管が飛び込んでいるかがとても重要なのですが、狭く暗く、身動きがほとんど取れない場所でしたので、大よその眼検討だけで実測はできませんでした。ただ、恐らくこの壁の裏のPSの腰から下にしか配管は無いことが想像できますので、このPSの上部の空間は室内空間として取り込むことが出来そうだと推察することができました。

三田S邸_ご自宅現地調査

こちらは天井点検口からのぞき込んだ天井裏の様子です。換気や排気のダクトがクロスしている個所が無いか、天井の仕上げから、上階の天井スラブの段差の寸法を大よそ確認することができました。

三田S邸_ご自宅現地調査

こちらは壁点検口からのぞき込んだPSの内部写真です。PSはパイプスペースの略語ですが、実はこのPSには2つの種類があるのです。一つは専有部であるエアコンのドレイン管や冷媒管が通るPSで、もう一つは内部に共用竪管が通るPSです。前者については、部屋の外周部に多く見られ、内部に通っている配管はエアコンの冷媒管やドレイン管がほとんどで専有部に当たり、移動したり場合によっては撤去することも可能です。それに対して後者のPSは水回り周辺にあることが多く(このブログの最初の図面で青線で囲った部分)、マンション竣工時の登記面積図にて、PS部分が専有部から除外されている場合は、PSそのもの(内部の竪管だけでなく、周りを囲んだ壁も含む)が共用部になるので、基本的には触ることができないことになります。ただ、登記面積図からPSが除外されていない場合は、竪管のみが共用部で周りを囲んだ壁は作り直すことができるという、ちょっと面倒くさい存在なのです。こちらのマンションの登記図を見せて頂いた所、PSは専有部から除外されていないようでしたので、PSの余分なエリアは削ることも出来そうでした。

三田S邸_ご自宅現地調査

こちらはもう一つのPSから下を覗いた写真です。こちらのPSは内部に共用竪管がギュウギュウに詰め込まれているので、何もできなさそうでした。
一応、ここまでの図面チェックも含めた調査が有料(22万円消費税込み)の内容です。以前にSさまがリフォーム工事を相談した会社はPS内部や天井裏、床下をチェックすることが無かったそうで、ここまでの調査の内容をご説明しながらチェックしたこと、前の会社と比べて安心感が違うと言って頂きました。