Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

中国福建省への大理石視察ツアー-2

港区R邸

港区R邸の石探しのために中国福建省に出掛けた出張の二日目の様子です。

この日の一番の目的はキッチンの2段カウンターに使う、御影石系の黒い石探しでした。昨日の希少な大理石ショールームは、入り口にセキュリティーがあって、簡単には入れない建物となっていましたが、一般的な大理石ショールーム兼市場は、このようにあまりに広いので、道路からフリーに車で入って、内部をドライブして目的の石を探すスタイルとなっています。

所々に中二階の打ち合わせ室があるので、そこから全体を見下ろした様子です。例えていえば、東京ビッグサイトのホール二つ分程の広さがある中を車で探してゆくイメージです。高い位置に掲示板がありますが、石は即金で購入してゆくのが中国流ですので、どこにどのような石の在庫があるかは、売る側でもきちんと把握できていないようです…。

本日のお目当てのミカゲ石のコスモスブラックは、これだけ広い市場で、写真に売っている二台の車の奥のブロックしかありませんでした…。

こちらが間近で撮影した現品ですが、黒のベースとなる部分はとてもきれいでしたが、模様として入っている斑の色が黄色で、もう少し流れのような文様が欲しかったので、こちらについてはペンディングとなりました。

先ほどのサイズの展示場を3か所廻ってようやく見つけたのが、こちらの御影石コスモスブラックです。ツアーに同行してもらっているキダ・マーブルの齋藤さんと一緒に撮影したものです。

黒地に白い宇宙の銀河のような模様がとてもきれいに入っているスラブ材でした。良く見たところ、大きなヒビが一か所ありましたが、それを避けて石取りすれば、カウンター材と横や前面の部分も柄を繋げて使えるサイズが確保できることも、現地で確認しました。

当日の午後は時間が取れたので、今後の勉強のために、近くにある大理石の加工工場を見学させて貰いました。こちらは、建物の外壁に張る御影石の柄をチェックするために、屋外に並べていた様子とのことでした。

室内もとても広い作業場があり、そこで沢山のプロジェクトの製品検査が行われていました。写真中央に中二階状のブリッジがみえますが、そこに上ると、

このように上階から石材を並べた様子を確認することができる仕組みになっています。日本でも関ケ原石材のような大きな工場では、似たような施設がありますが、人件費のことでほとんど中国に仕事が取られてしまっているそうです…。当日も日本の現場名が並んでおり、日本のゼネコンや設計者がこちらを訪問してチェックしているようでした。

工場奥にある加工場では、沢山の職人さんがちょっと古めの加工道具を使って、色々な加工をしている様子も見学させて貰いました。

こちらの工場では石材をカットして、モザイク状に張ることも得意とのことで、イメージ図があれば、その十r気にモザイクシートを加工してくれるとのことでした。

ちょうど港区R邸の玄関ホールでも、大理石のモザイク張りをイタリアのシチスにお願いしたことを話したところ、次回はぜひこちらの工場でやらせて欲しいとの話がありました。

他にも、この写真のように大理石の表面に色々な形状の溝を掘ったりすることで、ユニークな表情の石材を作ることもできることを教えて貰いました。

 

 

 

 

 

中国福建省への大理石視察ツアー-1

港区R邸

現在設計進行中のプロジェクト港区R邸で使う石材を探しに、中国福建省アモイ市郊外にあるアジア最大の石材マーケットにスタッフの前田君、石材の発注加工をお願いしているキダ・マーブルの齋藤さんと一緒に出掛けて参りました。

アモイ市から車で1時間ほどの水头市という、ほぼ全域すべてが大理石や石材に関連した市場になっている町があるのです。車の中から街の様子を撮影した写真ですが、看板には大理石各種の中国名だらけで、街を走っている車も大理石スラブを運ぶトラックばかりといった様相です。

東京からアモイ市までは飛行機で4時間半ほどで着くので、朝に成田から飛んで空港から車で水头に向かって、午後3時頃には、まずは最初の目的地(因みに、こちらは水头市のすぐ近くの泉州市です)に到着しました。その名も世界石材博物館!

今回の中国大理石ツアーの目的は大きく二つあります。1つは背面からの光を通すオニキス系の大理石探しで、もう一つはすでに日本に取り寄せたサンプルでお客さまから大よその了解を得ている大理石の実物探しが目的となっています。
こちらの博物館という名前のショールームでは、事前にある程度調べていたオニキス系の大理石が本当に使えそうかを確認することになっていますが、そこに到着する前から、凄い迫力のスラブ材が並んでおり、目移りしてしまいそうです…。

このショールームの最も奥深い場所に、お目当ての希少石のコーナーがありました。色々な色の水晶やメノウ、オニキスなどの光を透過する石材を集めて接着して、それをスライスしたような風合いのスラブ材が並んでいます。

この写真のような青や、赤茶色の石材から、

このようなとても天然石の色とは思えないような鮮やかでカラフルな石スラブが並んでいます。

僕らがお目当てにしていた透過系の石材は二つあったのですが、一つはこちらのグラフィック・フェルドスパー(Graphic Feldspar)という石材です。フェルドスパーは長石という石の種類で、黄色味のあるゼブラ柄の石材を集積させてカットしたものがこちらのスラブ材のようです。

早速、先方の職人にお願いして吊り上げて貰ったうえで、背面から強い光を当ててみました。写真左が普通の状態で、右側がバックから光を当てた状態です。相当に強い光を当てると、ここまで光を透過することが分かりましたが、残念ながら当初想像していたものとは少々違っていました…。

もう一つの石材がこちらのスモーキー・クオーツ(Smoky Quartz)です。水晶の一種で煙水晶とも呼ばれるやや灰色&茶色掛った色味の石材だそうです。

上半分が表から光を当てた状態で、下がバックライトで照らしたものです。同じ名称の石材で、色が濃いめのダークと色味の薄いライトがあるようで、本当はライトを見たかったのですが、こちらにはダークしかなく、そちらは 確認することができませんでした。

実は、この写真は2年ほど前に、ニューヨークの石材屋巡りをした際に見たイタリアのAntolini社のスモーキー・クオーツ・ライトのパネルに背面から光を照射したもので、これを実物で確認できればと思っていたのですが…。
どちらにしろ、グラフィック・フェルドスパーよりは、こちらのスモーキー・クオーツの方がこちらが想像していたものに近いことが分かりました。ただ、こちらのショールームでは現物のカットサンプルを貰うことができないので、写真をもとにお客さまに相談することになりそうです。

今回のツアーの前半を一緒に回った方々です。キダマーブルの齋藤さん、中国と日本を行き来して石材を探してくれた石販の秦さん、そして現地の代理人兼通訳兼運転手の孟さんとテイさん、そしてスタッフの前田君です。

この巨大なショールームの中には、その他にも希少で珍しい石材が沢山あるので、帰りがてらそういったものを拝見させてもらいました。こちらは、実際に港区R邸のリビングでも採用予定のイタリア産の超高級大理石のポルトロです。これだけの枚数のスラブ材が並んでいることはめったに見ることができないので、大いに驚きましたが、良く柄と色味を見ると、すでに日本の関ケ原石材で見つけていた同じポルトロのスラブ材と比べると、質は見劣っていることが分かりました。ただ、日本ではめったに見つけることができない石種がこれだけ並んでいるのは、やはり中国の凄さを感じました。

こちらはオニキス系のスラブ材です。オニキスもあまりに高価なため、日本では岐阜&三重エリアの石材屋でもめったに見ることがないものですが、これだけ並んでいるとは驚きでした。

その他、ド派手な石材が沢山並んでおり、この広さのショールームを全て回ることはとても難しいことが分かりました。

とにかく、世界中の石材が中国福建省に集まっていることは良く分かりましたが、唯一弱いのがこちらの白系の大理石だということも推察できました。こちらはカレカッタと呼ばれるイタリアの大理石ですが、スタトゥアーリオと並んで、アメリカで大人気の石材で、中国に来る前にアメリカに取られてしまっている様でした。

ショールーム内には小さな打ち合わせ室や石材を使った多くの実例室がありましたが、こちらは総大理石造りの打ち合わせ室(家具は除く)でした。

エントランス横には、このような大空間がありましたが、石材ショールームの面積はこの空間の数十倍の広さがありました。

このショールーム前での記念撮影です。正味2時間ほどの見学でしたが、初日からおなか一杯になる大理石三昧のツアーでした…。

 

 

 

 

雑誌「都心に住む」の東京プレミアムマンション特集

代官山T邸

現在発売中の雑誌「都心に住む」(リクルート社)の東京プレミアムマンション特集に「長年都心のプレミアムマンションを見続けてきた識者」として選ばれて取材を受けております。

今回の特集は、2001年以降に竣工した都心(この雑誌では千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・中野区・杉並区・豊島区の13区を都心と定義しているそうです)のマンション約5800軒のリストの中から、今後もプレミアムマンションとして長く残っていくであろうと考えられるに該当するマンションを色々な基準から選んでいます。
左上には、白金台S邸もさりげなく紹介してもらっています。

一口にプレミアムマンションといっても、何を切り口にするかによって選択基準は大きく変わってきます。一般的には、立地性、住戸数、専有部の広さ、共用部の内装グレード、外観のデザイン、新築時の販売価格帯等が基準になるのではないでしょうか。

今回3名が選ばれた識者のうち、住宅評論家の坂根康裕さんは駅近の大規模開発物件である六本木ヒルズレジデンスや二子玉川ライズ・タワーアンドレジデンスなどを選んでいました。もう一人の識者、住宅コンサルタントで元KENコーポレーションの宮城靖博さんは立地とそれに合わせた仕様という観点で、元麻布ヒルズや虎ノ門レジデンスなどのリストを挙げていました。

最後に、こちらでプレミアムマンションを選ばせてもらった基準は、①そのマンションに住戸を買ったお客さまのリフォームをお手伝いしたことがあること、②家族のメンバー構成や年齢変化などに伴なって、将来的にも再リフォームが可能な間取りのフレキシビリティーがあることの2点を中心に、パークマンション南麻布、グランドヒルズ白金台、三番町パークテラス桜苑、南青山テラス常盤松フォレスト、グランツオーベル南平台の5つのマンションを選ばせて頂きました(実際にはアークヒルズ仙石山レジデンスとクロイスターズ広尾も候補に挙げていましたが、他記事との兼ね合いで上記5つが掲載されたようです)。
珍しく、僕の写真も掲載されておりますが、こちらは編集部がマンション側と交渉して下さり、南青山テラス常盤松フォレストのロビーで撮影してもらったものです。

以前も幾度か「都心に住む」で取り上げて貰った代官山T邸もプレミアムマンションのリノベーション事例として掲載して貰っています。