一昨年の春、メールで渋谷区のタワーマンションのご相談がありました。180平米超えで、高層階からの素晴らしい景観が特徴のマンションでした。
こちらが現地の夜景です。大きなリビングにセミオープンなキッチンが面した開放的な間取りでした。現在も同じマンションの違う階に住んでいらっしゃるので、リビングから見える景色を違う方向に変えたいことや、お二人のお子様たちに同じ条件の部屋を用意したい、またシックでスタイリッシュなインテリアが好きなので、全面リフォームを検討しているとのことでした。
現地の様子と竣工時の図面を読み込んで、僕らなりに考えてご提案したのが上記のスケッチ案です。リビングとキッチンのあり方は二通り、また書斎コーナーを含めた水回りもオプションを含めたご提案でした。ライバルとして大手のリフォーム会社2社にも提案して貰っているとのことでした。
結果的には、大手のN社にお願いすることになったとのご連絡を頂きました…。
残念ではありましたが、その後どうしていらっしゃるのかと気になっておりましたが、ほぼ一年経った頃に、再度のご連絡を頂きました。N社に頑張って貰って 打ち合わせを続けてきたそうですが、①最終的な仕上げ材を決定することができていないこと、②使い勝手や動線もここまで決めた内容で進めてよいのか判断で きかねていること、③費用的にも当初の想定より相当膨らんできていることの3つの問題をご自分たちだけでは解決できないとのことで、有料で構わないのでア ドバイスをお願いできないかとのご依頼でした。
その時点までに選んできた仕上げ材やプランを拝見して、色々と思うところを率直にお話させて頂いたところ、N社にも交渉してみるので、N社とのこれからの打ち合せにも同席して、施主側のアドバイザーとして手伝って貰えないだろうかとのお話になりました。
そこからSさまご夫妻、N社との幾度かのメールや電話でのやり取りがあってから、お打ち合わせに同席してアドバイスしてゆくことに決まりました。
こちらがN社のショールームでのお打ち合わせ様子です。N社側からは営業担当とデザイナー、さらには上司の責任者も同席しての打ち合せになりました。僕らはデザイナーではなく、あくまでも施主側の助言をすることでデザインはN社側に任せていること、素材探しはお手伝いするが、大手のN社では社内規定や付き合いなどで使えない素材があるので、それらを採用すべきかどうかには口出しをしないこと、また見積りを落とすための方法についてはアドバイスするが、見積り内の単価についてはコメントしないことをルールとしてお手伝いすることを確認させて貰いました。
そこまで進んできたデザインから想起した素材や本、雑誌等を持ち込んで、N社側のデザイナーとお話しをしてみたところ、デザイナーの方も全く同じ本を見ていたことが判りました。N社が用意していた素材と、僕らが持ってきた素材を見比べている様子です。
両者が考えている素材のトーンは似ていましたが、壁面に大理石を張るのがN社側の提案でしたが、どうしてもそこが価格的に大きな問題になっているように感じたので、僕らは石材の代わりにレザー調の素材感があるクロスを張ってはどうかとアドバイスいたしました。マナトレーディングが扱っているレザー調の輸入クロスです。
こちらは現地の昼間の様子です。SさまとN社側の事前の相談で、リフォーム案が決まった時点でどのような部屋になって、景色がどう展開するのかを確認するために個室を仕切っていた壁のボードを撤去してありました。
問題点はまだ色々ありました。キッチンのサイズや床仕上げ材の種類とその範囲、玄関ホールの仕上げ材、造作収納のデザイン、子ども部屋のアイデア、照明計画等々、お施主さまも迷われる個所が多かった分、それらに対し誠実に纏めてきたN社の 案にもお施主さまの迷いが反映されているように感じていました。とにかくNさまご一家の暮らし方を整理して、素材の使い方と費用の掛け方をそれに対応させ ることを主眼にアドバイスを行ってゆくことになりそうです。