先回のハイブランドキッチンツアーで、ブルトハウプとモルテーニキッチンをご一緒に見学した城南R邸のRご夫妻と、今回はジーマティック、バルクッチーネ、ボッフィ、アルクリネアとアムスタイルのショールームを丸一日掛けて回りました。

朝一で伺ったのは南青山のジーマティックです。ご自宅用A住戸ではステンレスカウンターの機能的なキッチンをご希望のRさまでしたので、先日のブルトハウプとこちらのジーマティックが候補となるのではと思っての見学でした。

ドイツ御三家の一つらしく、耐久性とメンテナンス性と機能美を重視したキッチンを担当の倉本さんに説明してもらいました。

大きな扉の裏には、この写真のよう穴の開いたレールがついており、そこにキッチンペーパーホルダーやスパイスラックなどの収納パーツを組み込む「マルチマティック」というシステムはジーマ独特のシステムですが、奥さまは一目で気に入ってくださいました。

特に奥行き65センチ以上の深いトール収納(背の高い収納ボックス)では、日本製冷蔵庫のようなアイデア(つまり扉の方に棚を多く設けペットボトルや卵、バターといったものを収納できる)で扉裏を活用できるのです。実はそれはアイデアだけでなく、それだけの重量を扉やヒンジで支える技術があってからこそなのです。

僕が好きなボザールシリーズのキッチンも見て頂きましたが、装飾付きの面材をメインにしたキッチンにはそれほどご興味を持っていらっしゃらないとのことでした。

次に訪問したのはバルクチーネです。こちらは日本製システムキッチンのクリナップ社が代理店を務めているユニークなイタリア製キッチンブランドです。

何がユニークかというと、例えば僕、各務が動かしている背面収納の扉ですが、一般的な発想だと電気動力を使って扉を軽くするのでしょうが、こちらでは上部に重量と合わせたバランサーをつけることで、指一本で軽々と動くエコなシステムを開発するようなスタンスなのです。

扉の作りも独特で、アルミフレーム構造が基本となっており、そこに強化ガラス等のパネル材を張った作りとなっており、後々の仕様変更やリサイクルのことまで考えているです。

その様な扉の作り方になっているので、これだけの扉の仕上げ材を自由に使うことができるのです。

このキッチンは厚みのあるセラミック、奥に見えているテーブルるは厚みのある木製カウンターで作られているように見えますが…、

この厚みに見えている部分に極薄の引き出しが収まっているのです。重厚そうに見えるデザインの為に収納量を減らすのではなく、その部分にまで無駄なく収納を作るアイデアには僕らも感心してしまいました。

因みにこの薄手の扉の面材も着脱可能となっており、こういった大理石や金属、木彫などで装飾した面材を取り付けることで、機能一辺倒ではないカラフルな様相を持たせることもできるのです。

説明だけを聞いていると、理詰めで堅苦しいイメージが湧きそうですが、実際にショールームで実物を触りながら見ているとワクワクしてきます。

このキッチンについている右側に見えている張り出した木製カウンターも構造的によく考えられており、重量を支える柱を下に見せずに持たせる工夫をしており、正面左上の黒いガラスの収納も、上部にバランサーがついておりスムーズに動くといった、人間工学に基づいた設計はかなりの説得力がありました。

次に訪問したのはボッフィです。こちらはイタリアン高級キッチンの四天王の一つと言われているブランドです。因みに四天王は、この後見に行くアルクリネア、先回見ているモルテーニ(旧ダーダ)、このボッフィまでは確定で、後はポリフォーム(旧ヴェランナ)、ミノッティクチーネ(家具のミノッティとは関係ありません)か、先ほどのバルクチーネのどれが入るかと喧々諤々の様相(笑)なのです。

ボッフィのショールームは南青山のインテリアーズの中、各階に分散されて展示されています。先ほどは大理石のビアンコカラーラの白いキッチンでしたが、3階のこちらは御影石のコズミックブラックのダークなキッチン展示です。

同じ3階にはもう一つ、白いベースに木を使ったミックスキッチンも展示されています。

地下のこちらは打って変わってステンレスの天板に木目扉、背面収納はラッカー塗装です。
見ての通り、無機質でシャープなステンレスと温かみのある木を組み合わせたり、大理石ですべての調理器具を隠すなど、異素材を融通無碍に組み合わせた自由さが特徴なのです。ただ、自由過ぎて「ボッフィと言えばあのデザイン」というシグネチャーデザインが無いのが弱点で、Rさまもやはりどれも面白いし、なんでもできそうだけど、良く分からないという感想になってしまいました…。
そして次に伺ったのが原宿のアルクリネアですが、長くなったので次のブログで書かせて頂きます。