Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

メゾネット200平米越えリノベの世田谷区A邸_新規プロジェクト

世田谷区A邸

新規のご相談で世田谷エリアの大型メゾネットマンションの全面リノベーションのご依頼を頂きました。築40年のヴィンテージマンションです。

リビングには天井高さ5メートルの吹き抜けがある解放感抜群のお部屋です。

リビングダイニングとキッチンと水回りは、15年前のまだお子さまが小さかった時に一度リフォームをなさっているとのことでした。

お二人のお子さま達がダイニングで勉強できるようにあつらえた勉強コーナーですが、もうお子さま達が成長してそれぞれご自分の部屋で勉強するようになったので、思い出深いこの勉強コーナーも不要になったとのことでした。

こちらが一度リフォームなさったキッチンです。リフォーム前のキッチンは外国人仕様のイートインコーナーのあるクローズドキッチンだったそうです。

Aさまも以前より、インテリアに強い興味を持っていらしたので、当時お願いしたリフォーム屋さんとアーでもないコーでもないとかなり相談をして決めたキッチンと水回りのプランだったそうです。
こちらが当時のリフォーム図面です。

収納量重視で、色々なところに収納を設けて、かつ当時は最先端だったビルトインのオーブンや電子レンジを組み込んだキッチンでしたが、実際に使ってみると冷蔵庫とガスコンロとシンクを結ぶワークトライアングルの三角形の形が大きく、動き回らないと料理が完成できないキッチンになってしまったそうです。上の図面の赤い三角形がワークトライアングルとなりますが、図面で寸法を当ってみると、合計が6.5メートルとなっており、理想が3~6メートルと言われているところから少しはみ出てしまっていました(ただ、キッチンそのものが大きくなると、このワークトライアングルをコンパクトにするためにはシンクや冷蔵庫を複数入れないと実現できないこともあるのですが…)。

こちらも前回のリフォームで作り直した洗面と浴室です。以前は、寝室があったメゾネットの上階に水回りがあったそうですが、洗濯動線を考えてキッチンと同じ下階に移動したとのことでした。

ただ、排水管などの経路が分からず、ある意味リフォーム屋さんの言うがママになってしまい、広さはそれなりにあるのに、天井高さが2メートルを切ってしまうちょっと狭く感じる浴室になってしまったそうです。

玄関入ってすぐのこの吹抜けは、来客誰もが感嘆してくれる迫力の空間で大好きとのことですが、アートやペンダント照明を飾って、もっと自分たちらしい空間にできないかとのご相談がありました。

上階は、男女のお子さまが同室に寝ていたのを分離させたいことと、こちらの主寝室のインテリアをすっきりさせたいとのこと…、

また、ご夫妻それぞれにあるウォークインクローゼットから、寝具等を別に収納させて、もっと素敵で整理しやすいクローゼットになさりたいとのご要望でした。

初回訪問時にマンション管理事務所に保管されている建物竣工時の青焼き図面を確認させて頂きました。この2層吹き抜けのAタイプのお部屋ですね。

改修前の竣工時の給水給湯排水の図面ですが、所々が混線して判り難いのと、15年前にリフォームした際に、どこの排水に繋いだかが分からないので、次回ご訪問時に部分解体をさせて貰うお約束をさせて頂きました。

こちらが、今回の初回打ち合わせ時にご提案した下階のリフォーム案です。まだ、給排水やエアコン、換気のルートが分からない段階でのご提案なので、あくまでもご参考レベルですとお伝えしたうえで、こちら設計側のアイデアをご説明させて頂きました。

吹き抜けのある、この大きなLDK空間がどのように変わってゆくのか、僕ら設計側もとても楽しみにしております!どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。

最後の仕上げ:リノベ空間にアートを設えるプロセス

文京区S邸

大型リノベーション工事のお引き渡しが終わり、無事ご家族でお引っ越しをなさった文京区S邸のSさまから壁に多数のアートを掛けたいので、最後の仕上げのプロセスに協力して欲しいとのご相談を頂きました。

以前にお住まいだったお宅でも数多くのアートを壁に飾っていらしたので、今回もアートの為にピクチャーライトを用意したり、標準仕様として壁には直接釘を打てるようにベニヤ下地を仕込んでおきました。まずはリノベーション工事の施工をお願いした青の現場監督の織田さんと大工の矢野さんの2人で、一日で終わる数なのかを確認したかったので、まずはSさまにおおよそどの壁にどの程度のアートを掛けたいかのイメージが判るように、壁手前にアートを立てかけた写真を送ってもらいました。

久しぶりに伺ったSさまのお宅は、新しい家具や調度品、お子さま達の遊び道具も入って、生活の場へと大きく変貌していました。

作業としては大型のアートの仮設置から始めます。まずは一旦、全てのアートをこのように持ち上げて貰って、高さと横位置を決めて、養生テープで設置する位置を確定していきます。絵の重心やフレームのバランスを見ながらも、最終的には人の目線での見え方が最も重要となります。

大型のアートは比較的簡単にレイアウト位置が決まりますが…、

却って小さなアートを何枚か一緒に飾る際の位置決めの方が難しく、複数人数で絵を壁に当ててみながら適正な位置を見つける作業となります。照明との関係や壁材との色調バランスを考慮しつつ、数㎜単位での微調整の繰り返しとなります。これだけ綿密な作業をしようとすると、お客さまご夫妻だけでは難しいと思います。

このようにしてアートの位置が決まってからは、織田さんと矢野さんのコンビで、かなりスピーディーに絵を掛ける作業を進めてくれます。

アート背面の紐の長さとアートを掛ける高さを調整し、壁中心を狙って、アート用のフックを打っていきます。

アートをレイアウトするたびに、アートフレームの上に水平レベル器を当てて、水平であることを確認しながらの作業となります。

ファミリールームのアートは嵐の海と空のアートですが、ちょっと「15少年漂流記」のような雰囲気ですね。

リビングには壁が少ないく、一番大きなこちらの壁には、同じ作家の雲と太陽の柔らかいアートです。

廊下の突き当りには印象派のような風景画です。

リビングダイニングのパントリー入り口の横にはアメリカどこかの街の古い地図をフレームしたものが飾られました。良く地図を見ていると、ポトマックリバーとの記載があったので、ワシントンの地図のようです。

土間廊下の壁にも家族の写真やアンティークの地図が飾られています。

リノベーション設計の自由度を決める「設備調査」とは?

松濤D邸

マンションリノベーションの設計は「壊してから」ではなく、「調べてから」始まります。壁の裏、床下、天井の奥には、リノベーションの自由度を左右する複雑な設備が隠れています。今回のマンションリノベーションでは、設計を本格的に進める前に、既存設備の現況を現地で詳しく確認しました。
見えてきたのは、給排水管やガス、電気・空調設備の問題点と可能性。この調査によって、どこまで変更できるのか、どこに制約があるのかが明確になり、設計の方向性が大きく絞り込まれました。

実はこちらのた松濤D邸の先回のリフォームでは、リノベーション済みマンションをご購入されたという経緯もあって、設備に関わるキッチンや浴室は何も触っていませんでした。今回はそのキッチンと浴室をやり替えたいとのご依頼だったので、フォーム工事をお願いしたリフォームキューの森井さんと設備の槻川原さん、そして今回新たにオーダーユニットバスを発注予定の東京バススタイルの眞柄さんと和久田さんにも同席して貰って、設備関連の調査をさせて頂きました。

設備調査に先立って、担当で当社副所長の前田君が関係者皆に既存図やリフォーム図面を見せて、どこをどう調査してもらいたいかと説明している様子です。

リフォームキュー側は分電盤からチェックを始め、

キッチンの引き出しを開けさせてもらって、排水経路を推察してくれています。図面と現地調査で、新しいキッチン案のようにシンクと水栓を対面側に移動しても、排水経路は確保できそうだとのことが判りました。

東京バス側は脚立も持参での調査です。

まずは既存の浴室の内寸を実測した後は、

天井の点検口に頭を突っ込んで、巻き尺とレザー測量機を使って、リフォームした場合、どのサイズの浴室を入れることができるのかを調査していきます。

因みに点検口の中でみえる景色はこんなもので、ダクトと配線や配管が縦横無尽に走っていて、見ているだけでは何が何だか分からないのですが、図面を見比べながらじっくり考えてゆくと、どこをどうすれば整理できるか、何が問題になりそうかが見えてくるのです。

最終的にこの日東京バスの眞柄さんが纏めてくれた資料がこちらです。パッと見ると、何が描かれているかが分かりませんが、説明してもらうと、既存のユニットバスを、新たにオーダーユニットバスに変更すれば、長手方向であと15センチ程度サイズアップをすることができることが判ったそうです。既製品のユニットバスでは細かい寸法を浴室に取り込むことが不可能ですが、サイズを自由に変更できるオーダーユニットバスにするメリットがより大きくなることが判りました。

調査をして貰っている最中は、前田君と各務です。新しく考えたキッチンや浴室のリフォーム案をDさまご夫妻にご説明させて頂きました。このスケッチ図の一番上、主寝室の奥のウォークインクローゼットは、先回のお打ち合わせ時にこちらからご提案したオプションの内容となります。

キッチンについては、まだ奥さまのご要望はほとんど伺っていない段階でしたが、まずはどのようなことができそうかを、こちら設計側で簡単に纏めてみた資料です。4面の展開図のうち、右下の展開図にアーチが見えていますが…、

先回のお打ち合わせ時の最後に、アーチをどこかに取り入れることができないかとのご相談があったことから、ダイニングとキッチンの開口部をダブルのアーチにする案を前田君に考えて貰ったのがこちらのダイニング側からの展開図となります。

ウォークインクローゼットだけの説明図も作りました。かなり大きなクローゼットが作れそうですが、お打合せの中で、廊下から寝室への扉の位置を90度移動すれば、もっと大きなクローゼットが作れそうだとのことも判り、次回改めてその案も纏めてみることとなりました。
因みに、クローゼットエリアになる部分の湿気が気になるとのこと、何とか湿気を除去する方法も検討してくれないかとのご依頼も頂いていたのですが、新しくエアコンを入れることは冷媒管とドレイン管のルート的に難しく、連続運転できる除湿器を入れることについても排水を確保するルートが取れないことから、この点については市販の除湿器を使って頂くことになることもご説明させて頂きました。

こちらは、東京バススタイルの調査を受けて、後日Dさまにお送りした浴室サイズと浴槽の関係を纏めたシートです。ウォークインクローゼットについては、見積もり次第とのことでしたが、キッチンと浴室については超概算をお伝えしたところ、そのくらいの費用であれば問題ないので、進めて欲しいとのご依頼を頂きました。