Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

石膏ボード張り_端部の処理方法

新宿区T邸

コンセントとスイッチ、照明の位置のお客さま確認が終わった新宿区T邸の現場では石膏ボード張りの段階となっています。

天井の高い大きなLDKはすでに石膏ボード張りが終わっているように見えますが、これはまだ一枚目の石膏ボードです。今回は個室以外は塗装仕上げとなっており、石膏ボードは2枚張りなので、これから2枚目を張ってゆくところとなっています。

こちらはキッチンダイニング周りの石膏ボード張り状況ですが、出隅(二つの壁面が出会う角のうち、出っ張った角のこと。因みに凹んだ角のことは「入隅」と言います)のコーナー部分や巾木上に施工会社青のこだわりが見えます。通常の出隅はフクビの樹脂製のコーナー見切り材を使っていますね。

壁面をモールディングのように凹ませるデザインの壁については、ボード一枚張りの上からエースライト(けい酸カルシウムの結晶であるゾノライトに合成樹脂、ガラス繊維などを混ぜ込んだ無機質ベースの基材を成型した材料・太平洋マテリアル)を大工さんが張ってくれています。

少し後の様子ですが、このように框部分は全てエースライトです。石膏ボードは切断した端部が弱く、それを補強するとためにコーナー見切り材を使うのですが、その見切り材の分だけ出っ張ってしまうので、今回はエースライトを使ってくれたとのことです。

中央のパネル部分は一枚物のベニヤ板を貼っています。ベニヤ板は湿気と乾燥で収縮してしまうので、コーナーなどをジョイントするような張り方にしてしまうと、後々隙間が空いてしまうのです。

それに対してエースライトは無機質基材で作られたものなので、湿気や温度の変化で収縮することが無いので、このような使い方が可能なのです。

今回はかなりエースライト材を多用してくれています。これはフラットで透かし目地を入れる巾木の納まり部分にエースライトを大工さんが張ってくれている様子です。

ディテールスケッチの左側がこれまでの施工方法ですが、今回青の現場監督の樋口さんは、右のように木製巾木の上にエースライトを入れて、ボードとのジョイント部分を上に持ってゆくことで、巾木周りをスッキリ見せることにトライしてくれています。

造作家具や建具と巾木がかなり入り組んだ玄関周り部分にも細かくエースライトを張ってくれています。

こちらはキッチン裏のユーティリティーコーナーですが、壁の中央をデザインクロス張りでしあげることになったので、その見切り替わりとしてエースライトの枠を作ってくれていました。

リビングの柱型には、モールディングの装飾をつけています。

照明器具_スイッチ_コンセント位置の現場確認

材料は先ほどと同じエースライト材のモールディング材です。やはりこれも木製だとコーナーのジョイント部に収縮で隙間が空くことを防ぐための工夫です。

ディテールをアップで見るとこのようになっています。石膏ボードもモールディングも後日、白く塗装するので、一体感のある仕上がりになってくるハズです。

こちらは石膏ボードとは関係gがありませんが、主寝室のベッドのヘッドボード側の造作です。アクセントとなるクロスを目地底にまで張り込むことで、パネルを貼ったかのように見せる仕上げのための下地です。

こちらは事前に青の樋口さんがクロス屋さんを現場に呼んで、設計担当の岸本さんと目地幅の寸法を幾つにすれば、うまく目地底までクロスを張ることができるかを打合せしていた時の様子です。ビニールクロスの性質によっても変わってくるそうですが、今回選んだクロスの場合は、6ミリの隙間をあけて貰えれば、きれいに張れるだろうとのことになりました。

ベニヤ板同士の隙間だけでなく、天井や入隅の壁、巾木との間も全て6ミリ透かしてベニヤ板を張ってもらいました。

もう一つ現場の樋口さんが考えてくれた工夫がこちらの天井点検口です。これまではアルミの細い枠の点検口を使っていましたが、細いといっても金属質の枠が見えてしまっていましたが…、

今回樋口さんが探してくれたのは、完全フレームレスで、フレーム部分と開口部分まで全て塗装で仕上げることができるカイザー社のフレームレス点検口です。完全に仕上がった時にどのように見えるかはまだ分かりませんが、仕上がりが楽しみです。

インテリア完成写真とCGの違いについて

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリーの紹介ブログです。
ザ・ライブライーでは高性能CGソフトを使って、かなり実物に近いコンピューター・グラフィック(いわゆるCG)を作って、お客さまとのデザイン検討や素材打ち合わせに活用しています。打ち合わせ中に作ったCGも、打ち合わせの流れの中で素材が変わったり、家具を変更した場合、それも最新版にアップデートしながらお客さまに3Dで確認して頂けるように準備をしています。そんな施工前に作られたCGと、リノベーション工事が完成した後に撮影した実物写真の違いを、ブログで比較考察してみましょう。

こちらはCGです。これだけを見るとかなり素材感があり、正面壁の大理石調タイルの質感や、床に敷いたラグの凹凸感まで表現されていますね。今回の千代田区O邸の打ち合わせは、まだ建物が完成する前からスタートしていましたので、実物としては何もない段階で、ここまで具体的なCGで打ち合わせをできたことは、お客さまのOさまご夫妻もとても喜んでくださいました。

そしてこちらは完成後の実物写真です。当然ながら造作家具の木目やソファのクッションファブリックの質感がより高く、さらに細かく見てゆくとダイニングテーブル上の照明の煌めきや、植栽の影の表現なども奥行き感がありますね。

因みに、同じようなリアルな空間の写真でも、こちらは人工照明を全て消して、窓からの自然光だけで撮影してみた写真です。素材の色味や質感は一番良く表現できますが、光が届きにくい部屋の奥の空間は色彩が乏しく、少し寂しい雰囲気の写真になってしまいます。つまり、リアルな写真といっても撮り方によっては全く違った雰囲気にもなるのです。

同じ空間をリビング側からダイニング側を見返したアングルのCGです。一度リアルな写真を見た後だと、リビングのラウンジチェアのファブリックの張地が固くて偽物っぽく見えてきますね。手前左側のテーブル上の雑誌や、左側壁面のワインセラーやカウンター上の小物があることでリアル間を補強してくれていますが、やはりちょっと何かが足りない感じがしますね…。

ほぼ同じアングルの実物写真です。写真も実はRAWデータで撮影したものを、歪みの補正や色味をなるべく肉眼で見たものに近づけるためにフォトショップのライトルームソフトでかなり補正しています。CGと見比べると、壁や天井の色味が複雑で、ラウンジチェアのファブリックのニュアンスや、影が重なった部分や折り下げ天井の鏡張り箇所などのディテール感もリアル写真の方が数段リアルですね。

因みに、こちらの写真は、NIKONの一眼レフカメラD7500に超広角ズームレンズのAF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VRをつけて撮影した「加工なしの生写真」です。そういった意味でもホームページやブログにのせている実例写真もリアルと言いつつも、歪みや明るさ、色味などを調整しているので、かなりの加工臭がしますね(笑)。
以下、さらにリビングダイニングだけでなく、洗面所や玄関や子ども部屋といった特徴のあるお部屋のインテリアCGとリアル写真の比較について、こちらのブログで書いています。

クチーナのセミオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

渋谷区N邸

新築マンションリフォームの渋谷区N邸の現場で、セミオーダーキッチンの据え付けが始まりました。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区O邸

とは言いつつ、キッチンの部材搬入時から3日目なので、かなりキッチンも組みあがってきていますね。先回のブログでご紹介した窓際の三方枠と柱型のタイル張り、枠上の装飾などもかなり出来上がってきています。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区O邸

写真左側のペニンシュラ型(半島型)カウンターはかなり組みあがっていますが、右側のカップボードも兼ねた壁面型キッチンは箱は組まれていますが、細かい部分はまだまだですね。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区O邸

キッチンを組み立てる際に、最も重視されることが水平(レベル)と垂直(カネ)の設定です。レベルとカネをしっかり出して箱を組み上げれば、後は比較的簡単な作業となるのです。ペニンシュラ型カウンターのL字型に組まれたクオーツストーンカウンターもピッタリ組みあがっていますね。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区O邸

背面収納も、ミーレのビルトンのオーブンが組み込まれたり、間接照明やコンセントもあるので、電気配線をうまく通りながらの組み立て作業となっています。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

アイレベル(目線の高さに設定された)ビルトインオーブンの右側の縦の隙間は、僕らが良くご提案する引き出し式パントリー収納となります。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区O邸

部屋の中央に置かれているこのフレーム型の金物を組み込むと、こちらのような引き出し式パントリーとなるのです。背面収納の奥行きが60センチもあるとカウンターは使い勝手が良いのですが、トール収納(上から下まである収納)は奥行きがあり過ぎて却って使いにくくなることもあるので、水や幹部鶴井、瓶や缶類を保管できるこのような収納を組み込むことが多いのです。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

因みに箱側の下部には、このようなレールが…、

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

そして上部にはこのような振れ止めのピンがついており、ここに嵌め込む形で組み立てます。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区O邸

組立職人さんが吊り戸棚の下に、間接照明付きのパネルを固定しようとしていますね。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

吊戸棚の下には、このようなZ型の金物がついており…、

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

取り付けるパネルの裏側には、同じようなZ型の金物がついており、これをかみ合わせることで固定するのです。こちらのパネルを良く見ると、基材はMDFで作られており、表裏はメラミン仕上げで、間接照明用のスリットと端部の金物がついていますね。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

取り付けるとこのようにピタリと吊戸棚の箱の下にパネルが密着される仕組みになっているのです。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

あとは、部屋の片隅に並べられているこれらの引き出しや扉、パネル類を取り付け、最後に建築工事側で給水給湯と排水、ガスやレンジフードのダクトを接続するとキッチンの完成となります。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

因みに今回の渋谷区N邸のキッチンは、Nさまの以前のお住まいだった代官山N邸のリフォームの時にも採用したのがお近くで打ち合わせも便利だった代官山のクチーナだったので、今回もクチーナさんにお願いしたという経緯があります。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

セミオーダーキッチンが得意なクチーナですが、最初のレイアウトプランや使い勝手に直結する収納計画については、僕らが主導で上記のスケッチを使ってリードしてきました。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

建築工事と絡む部分もあるので、そのディテールはスタッフの前田君がスケッチを描いて指示してくれています。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

カウンター材や扉材などの色味も前田君が作ってくれたCGで決めたプロセスがあります。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

キッチン以外の工事も同時多発的に進んでいます。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

造作家具でお願いしている来客用トイレ手前の手洗いカウンターや、

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

玄関入って正面のタイル張りの壁も仕上がってきました。

クチーナのオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸

タイル張りの壁がリビング台に具側に続いた途中に開口部があり、そこからキッチンに入る動線となっています。ここまでくると、次はお客さまと一緒の施主検査となります。