Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

木製フレーム枠(三方枠)の造作

渋谷区N邸

弊社デザイン事例で良く使っている木製フレーム枠(三方枠)の取り付け工事が渋谷区N邸で始まりました。

普段は木製の大きな枠の材料を造作家具屋さんに工場で作ってもらい、それを現場で当てはめてゆくような作り方が多いのですが、今回は全体のサイズも大きく、奥行きが大きいこと、さらにスプリンクラーの位置なども絡んでくる為、現場でウォールナットの突板を組み立てる方法となりました。

こちらの図面は設計側の展開図です。上が正面から見たもので、下が断面形状を示したものです。この図面をもとに、施工側で作ってくれたのが…、

こちらの図面となります。茶色く色づけられている部分が木製フレームとなります。図面で見ると、なんということのないものなのですが、現場で組み立てるのは中々の難作業なのです。

竪枠だけは仕上げられたフレームを立てて、横枠は現場で組み立てるのですが、そのための下地を大工さんが組んでくれています。

下地に突板を目透かし(隙間を少し開けること)で貼ってゆくので、目透かしの目地底部分には、事前にウォールナットの突板テープを張っておくのです。

熟練組立工の根津さんが突板を張っている様子ですが、一人での作業となるのでサポートリフター(、またはプッシュポール、要は突っ張り棒)をうまく使いながら、仮当てをしてスプリンクラーの穴を現場調節しながら開けて、最後は接着剤を隠し釘で固定してゆきます。

スプリンクラーヘッドは繊細な部分で、強くたたいたりすると誤作動して、現場が水浸しの大惨事になるので、慎重に作業をしてくれています。

僕らであれば、なるべく早くに接着したくなるところですが、熟練工の根津さんは何度も仮当てしてカンナで削り合わせて微調整してゆきます。

こちらが2週間後の現場の様子ですが、ウォールナットの木製フレームが正確に組みあがっていました。さすがです!

その他の現場工事も佳境に入ってきています。前田君と話しているのはカーテン屋さんのバウハウス鈴木社長で、手前に立てかけられているのは建具、右側の壁タイルも貼られていますね。

玄関からリビングダイニングに入る建具です。

横にすると、上にスリットが空いているのが判るでしょうか?ここからガラスをはめ込むためのスリットなのです。通常は押縁というものを使ってガラスを固定するのですが、今回は押縁なしですっきりとさせたかったので、この手法を使っています。

斜め壁のブログで書いていた斜め壁部分も出来上がってきました。こちらにも塗装仕上げのフレームを上部にまわしています。

こちらのフレームは横幅はありますが、奥行きがあまりないので、工場塗装したものを現場で組み立てているので、窓側の木製フレームに比べると簡単に取り付けることができたとのことです。

リビング・インの子ども部屋の建具は隠し丁番を使っています。通常の隠し丁番は吊元側も建具側も両方に彫り込む必要があり、色々な制限がありましたが、スガツネが最近販売を始めたこちらの枠側面付け隠し丁番HES2Sシリーズは、吊元の枠の掘り込み加工が無いため、とても使いやすそうです。

斜め壁も含めた塗装フレームを玄関側から見た写真です。フレームの下には壁と建具と収納扉が混在していますが、それらを一体で見せるための工夫をしているので、完成が楽しみです。

斜め壁の裏側の子ども部屋側はこのような感じになっています。斜め壁の先にベランダに出ることができる掃き出し窓が開いているので、かなり明るい部屋になりそうです。

カラーガラスを貼る壁のステンレス見切りなども抜かりなく設置されていました。

deVOL社の無垢大理石シンクと銅製シンク

文京区S邸

イギリスのキッチンブランドのdeVOL(デヴォール)社をご存じでしょうか?僕も文京区S邸のお客さまから、その名前を聞いてホームページを開くまで、まったく知りませんでした…。

こんな素敵なキッチンブックも出している35年の歴史があるキッチンブランなのです。欧州だけでなくアメリカのセレブにも大人気の、素材感とアンティーク感のあるクラシックな空間と一体化するキッチンで大人気のブランドだそうです。

文京区Sさまは、そんなdeVOLの無垢の大理石シンクと、

アンティーク加工の銅製シンクをキッチンに採用したいというご要望を頂きました!それ以前より、キッチンは幾つかの国内のハイエンドオーダーキッチン屋さんを巡って、世田谷のリネアタラーラにお願いすることが決まっていたので、担当の牧野さんにそんなことをやったことがあるのか、あるいはできそうかを相談に乗ってもらいました。リネアタラーラのスタッフの一人がdeVOLのことを知っており、是非トライしたいと言ってくれたので、できるところまで頑張ってみることになりました。

まずはホームページ等に乗っている資料の研究から始めました。

ネットショップから標準品であれば購入することができるのですが、それではサイズ感が合わないので、特注でどこまでできるかをヒアリングすることになりました。

シンクのサイズについてはある程度融通が利くことが判ったのですが、設備関係の配管部品についての懸念や、どちらかのシンクにはディスポーザーを取り付けたいというご要望もあるので、それらが可能かをメールでやり取りし始めたのですが、設備用語での行き違いがあったので、このような簡単な図解用語訳(笑)を作ってイギリス側と共有することとしました。

大理石製シンクと銅製シンク、どちらをメインのアイランドキッチンに設けて、どちらにディスポーザーを取り付けるかが決まっていなかったので、まずは大理石製シンクの詳細図面を先方からもらって、

リネアタラーラに作図して貰ったこの図面を出して、このような加工ができないかと聞いてみたところ、そのようなことはできないと断られてしまいました。

こちらの図面は、大理石シンク下にディスポーザを取り付けることになった場合、ディスポーザーはシンクから吊る構造となっているので、ただでさえ重たい大理石シンクから吊るのは難しいだろうと、シンク下から支える構造をスケッチしたものです。
そもそもdeVOLのキッチンは機能よりも雰囲気や見た目を重視しているので、最新式のビルトイン型の調理機器やディスポーザーなどの機械対応を考えていないこともわかってきました。

大理石ではシンクの底板の厚みの調整ができないので、銅製シンクにディスポーザーを設置することとなりました。排水口からトラップまでの間のテール管の太さがイギリススタンダードどうなっているかを確認したところ、何とか接続できそうだとのことが判りました。

こちらは銅製シンクの排水溝周りの穴とディスポーザーの金物を取り付けるための凹み寸法をdeVOLに伝えるためのスケッチです。細かいところでは、融通が利かないことも判りましたが、ある程度のところまでは作ってもらえることが判ったので、お客さまからの施主支給の形で購入してもらうことになりました。

大理石シンクはホームページに説明があった通り、無垢の大理石の塊から削り出して作るので、図面の承認を貰ってから製作で11~13週間、そこからチェックを経て航空便で送って、日本の税関を経て配送されるので、さらに2週間ほどの時間が掛かるとのことでした。

銅製シンクも、このように板金で作ったシンクをアンティーク加工するそうですが、こちらは大理石ほどは時間が掛からないとのことでした。ただ、どちらも一緒に発送したいということと、大変に重たいものなので、荷受け側も最低でも大人4人は用意して欲しいとのアドバイスも受けております。

そして、用賀のリネアタラーラショールームにDHLで届いた代理製シンクがこちらです。

こちらのシンクは傷一つなく、とてもきれいに作られたものが無事届いたようです。

そちらこちらが銅製シンクです。大理石シンクに比べると、明らかに梱包が安易で、牧野さんたちも大丈夫かなと思いながら開けたところ…、

やはりというか、かなり歪んだものが届きました。以下、リネアタラーラ牧野さんからの詳細です。
「①銅シンクの歪みですが、長手の辺が1辺、中央付近で内側へ(図面上、≒4mm)反動でしょうか、同辺の右端で外側へ(図面上、≒3mm)大理石カウンターと接する、フランジ部分も凸凹が見られます。」
また、「②銅シンクでもう一点。排水部分、ディスポーザーが取り付く箇所が、図面と異なる形状です。試しに、普通の排水部品をあてがってみましたが、シンク底面よりも、少しもりあがります。水の流れが悪くなると思います。」とのことでした。
①については、deVOLに交渉して作り直してもらうには日程が掛かり過ぎるので、日本のお茶室などで銅製シンクを作る会社に矯正をお願いする。費用についてはdeVOLの保険が効かないか交渉してみることに。②については、リネアタラーラの協力板金工場さんに相談して、2次加工をして対処できそうだとのことでした。
早速、お客さま経由でdeVOLに相談したところ、自分たちが発送したときには歪みは無かったので、DHLの搬送途中の問題だと思ので、その証拠となる資料を送って欲しいとのことでした。
その様なことになることを想定して、リネアタラーラにはDHLの到着から開梱するまでの様子を全てビデオと写真で記録するようにお願いしていたので、それら全てを先方に送りました。支払いは後日になりそうですが、保険対応してもらえそうです。

これがリネアタラーラさんのお付き合いのある銅も扱える板金屋さんで補修してもらったのちの銅製シンクです。以下、牧野さんからの補修レポートです。
「当初の歪み部分、最大7mmありましたところ、3mmまで縮めることができました。凹になっていた長手辺、ほぼまっすぐになっております。凸凹のフランジ部もたたき矯正。完全なフラットとまではいきませんが、シリコンを充填することを考慮すると十分な状態になっております。
一部、設置の調整がしやすくなるように、フランジの巾をカット調整しております。もともと見えなくなる部分ですので、ご安心ください。排水部分もディスポーザーが取付できる形状に加工材を足しております。」とのことです。ここまでケアしてくれるプロが日本にいること、本当に安心できますね!

因みにシンクと一緒に届いた排水部品です。絵になった取り扱い説明のようなものと見比べて貰ったところ、まずは足りない部品はないとのことです。まだ油断はできませんが、ここまでの頑張ってフォローしてくれた牧野さん、本当にありがとうございます。
ここからは楽しみなキッチンへの組み立てとなります!

フローリングの色違いトラブルとそのリカバリー

新宿区T邸

マンションペントハウス(最上階住戸)リノベーションの新宿T邸の床材は、これまで人としてはお付き合いがありましたが、フローリング材を入れるのは初めてとなる、ハレトケさんにお願いしています。そもそもハレトケのことを知ったのは、共通の知り合いの設計事務所ハレトケの建築家の長崎さんからのご紹介でしたが、渡辺社長と僕、各務の気が合うのか、これまで何度も食事に行くような仲となっていました。
新宿T邸では、当初は違うブランドのフローリングを入れていたのですが、ペットのワンちゃんの滑り度合いや、価格のことなどでそのブランドを諦めて他社を探すこととなりました。フローリングの色味の調整だけでなく、仕上げ面の引っ掛かり具合まで調整してくれるフローリング屋さんということで、ハレトケの渡辺社長に問い合わせてみたところ、是非お手伝いしたいとのお返事でお願いすることとなりました。
フローリングは浮造り(フローリングの仕上げ面に強めのブラシを掛けて、年輪の層のうち柔らかい部分が凹んで、硬い部分が残ることで、ザラザラに仕上げる方法)加工をすると、ひと手間増えますから当然高価になり、かつ着色しようとすると浮造り加工なしのものとありもので色味を合わせるが大変だという問題があります。予算があれば、全て浮造りにしてしまうのですが、色々な事情で今回はフローリングの掛ける予算に限りがあるので、そのような細かい対応をしてくれるところということで、勝手ながらハレトケさんに白羽の矢を立てました。

そのような経緯で作ってもらった2種類のサンプルがこちらです。下の2枚が当初、お客さまのTさまご夫妻とお話していたフローリングで、上の2枚がハレトケからの新しいサンプルです。左上が普通のフローリング、右上が浮造りのフローリングです。色味と風合いだけでなく、スケジュールと予算も合わせてくれたので、ハレトケさんのフローリングで進めることとなりました。

新宿T邸のフローリング張りの段階となり、現場に搬入されたフローリング材を開梱して確認してくれていた青の現場監督の樋口さんと補助の池田さんから、ちょっと色味が濃いフローリングが混じっているように感じるが、これで貼り始めてよいか現場に来て確認して貰えないかとの問い合わせがあり、急遽担当の岸本さんと副所長の前田君と僕、各務の3人で夕方の現場に伺ってきました。

ハレトケの渡辺さんと青の社長の片岡さんも現場に来てくれました。現場側で5パックほどを空けて見て、色味の濃い薄いに分けて分類してもらったものがこちらの写真です。奥に置かれている5枚は浮造り無しフローリングで、これらはその上に置かれている小さな四角いフローリングサンプルとほぼ同じ色合いで、問題がないことが分かりました。

しかし、浮造りしたうえで着色されたフローリングを良く見ると、確かにかなり黒っぽいフローリング材が混じっていることが分かりました。青い印で囲んだものが、特に黒っぽいもので、赤が当初のイメージに近いフローリング群です。青の中に緑色で囲まれているのが、お客さまにも見て貰って承認を頂いていたものなので、こうやって比較すると、色味の違いが分かりますね。
ハレトケの渡辺さんに着色中に、色味の違いに気が付いていたかを確認したところ、見る角度によってはそれほど違わないようにも見えるので、ここまで違うとは気が付いていなかったとのことでした。このブログ記事の最初の一枚目の写真を見ると、確かにそれほど色味に違いがあるようには感じませんね。
まず現場監督の樋口さんに、ここから先のフローリング張りのスケジュールを確認したところ、まずは色味の問題の無い浮造り無しのフローリングから張り始めるので、3日くらいは作業が滞らないとのことでした。ただ、その先1週間も同じ凄腕フローリング張り会社のWITHフローリングに頼んでいること、フローリングが張り終わらないと建具枠の取り付けができなくなってしまうので、全体工程に影響が出る可能性があることが分かりました。
また、ハレトケの渡辺さんには、ここからあまり時間の余裕がない中で、何か対処法が無いか聞いてみたところ、すでにこの現場に来る途中に、色味の違いを補修できる埼玉の特別な工場の予定まで確認してくれていたようで、再塗装の作業と塗装が乾く期間までを含めて10日間ほどあれば、色を揃えたフローリングを現場に入れることができるとのことでした。それを聞いた樋口さんから、浮造りのフローリングでも薄めの色のものは当初と煮たイメージなので、それをある程度この場で選抜してもらえれば、建具が集まっている玄関周りの約40平米分の浮造りフローリングを張ることができるので、大きなリビングダイニングには、WITHの違う職人さんを頼むことになるが、当初工程を守ることができそうだとの提案がありました!

この話が纏まったのが金曜日の夕方の5時で、マンション内でのリフォーム工事は5時までと決まっていましたが、音が出ない作業なのでハレトケ渡辺さん、青の樋口さんと池田さんと片岡さん、そして僕ら3人ですべてのフローリングの梱包を開けて、色選別することとなりました。

夕方で少しは暑さはやわらぎましたが、それでも空調機設置前で冷房が全く効かない空間での2時間ほどの作業はかなりヘビーでした…。特にいつも冷房の効いた事務所でパソコンと向かい合って仕事をしている、僕ら設計チームは一番屁ヘタってしまいました。

この日はもう搬出用のエレベーターが使えないので、翌月曜日の朝にハレトケ渡辺さんが黒っぽいフローリング群を取りに来てくれることになりましたが、どのレベルの色合いのものをどのように調整するかをきちんとしておかないといけないので、そのルール考えている様子です。
特に色が濃い4枚を選び①とします。当初サンプルと近い3枚も選び②とし、それらの中間色の③も3枚選びました。それぞれ1枚ずつは比較用として現場に残すこととします(①-4と②-3と③-3)。濃い方の1枚はこの後、ハレトケ渡辺さんが埼玉の工場に持っていき、とにかく急いで埼玉の職人さんと相談して一番近い色になるように加工した貰うようとしました(①-1)夜中の作業で色味は確認しにくいので、これについては翌日の陽の光で②と一緒に撮影したものをメールで送ってもらうこととしました。①-1についてはまずは写真で結果を見せて貰うが、必要に応じて、僕ら設計チームも埼玉の工場に行って相談しながら加工してもらう可能性もあるので、そのための予備としてさらに2枚を持ってゆく(①-2と①-3)。②と③についても同じ加工をした方が色味が揃うのかを実験するために各2枚を現場にもて行くこととしました(②-1と②-2、③-1と③-2)。これら10枚のサンプルはこれからの基準となるので、端部に養生テープを張って番号も振って、別に扱うようにルール徹底することとしました。
慣れない重作業でヘロヘロになりながら、ルールを作るのは中々に大変な作業でしたが、ここまで一緒に作業する中で、ハレトケと青とカガミ建築計画に強い連帯感が生まれていたので、「目的に向かって一直線に進むのだ!」という強い気持ちが後押しをしてくれました。
ここまでの作業が済んだのが金曜日の夜8時でしたが、ここから①②を各2枚、③を1枚持って、渡辺さんが埼玉の工場に走って、①の1枚を②に寄せるための塗装をしてみることとなりました。

そして、これが土曜日の朝に埼玉のフローリング塗装工場から送られてきた写真です。左側が何も加工していない状態で、右側の①-1だけ調色加工したものです。ハレトケ渡辺さんからはかなり明るくなったとの連絡だったのですが、パッと見た目はそれほど変わらないにも見えました。ただ、手前ではなく奥の方の色で比べると確かに明るくなっていることが分かります。やはりこの写真だけでは判断はできないので、岸本さんと僕が、青の樋口さんもハレトケ渡辺さんも一緒に埼玉比企郡のフローリング塗装工場に行くこととなりました。

そして水曜日になって、渡辺さんのドライブで連れて行ってもらったのが、こちらが埼玉県比企郡吉見町のフローリングファクトリーの工場です。かなりディープな作業場ですが、ハレトケ渡辺さんに聞くと、都内のフローリング会社の駆け込み寺のようなところで、色味の最終調整などで皆がお世話になっている有名な工場とのことでした。

そして我らが新宿区T邸のフローリングも置かれていました。ルールの②に相当するものは現場においてあるので、①と③に相当するものが山分けされていましたので、ザっと見て分け方が間違いがないかを確認させて貰いました。このような明るい光の中で見るとわざわざ調色しなくても良さそうにも感じましたが、暗い照明の中でもご希望の色に揃えるのが僕らの仕事ですので、当たり前ですがやはり調色作業してもらうことにします。

工場の中をざっと見まわすと、このようにフローリングに着色実験をしている様子や…、

他社さんのフローリングをサンプルに似たような色合いのフローリングを作っている作業の様子も見えました。

僕らが作業場に入っていくと、社長の柳田さんが挨拶もそこそこに、早速フローリングの着色方法について説明をしてくれました。当初はフローリング材の上から重ね塗りするつもりだったそうですが、木目が消えてしまう可能性が高そうだったので、サンダー(素材の研磨や塗装はがし、サビ取りなどができる研磨機械)で塗装をとって調色したオイルで塗り直しのが良いと思うとのプロの意見でした。

写真中央の右側の機械がサンダーです。落とした塗装やホコリが工場内に飛び散らないようにダクトと接続されています。パッと見た感じ整理されていない工場のように感じますが、フローリングの塗装最中や乾燥中に埃が付くことはご法度なので、こういったところはキチンと管理されていました。

すでに表面の塗装だけが研磨できるように、サンダーの高さ設定も用意してくれていました。

そして、ここが一番の驚きだったのですが、塗料として調色してくれていた色がこちらの桃色だったのです!白っぽくするのですから、当然白をベースにした色を塗るのだと頭から決め込んでいましたが、白を塗ると、濁ったように木目が消えていしまうので、このくらいに赤と黄色を混ぜた色が良いんですと説明してくれました。

刷毛で、この桃色の塗料を塗っている様子です。確かにフローリング塗装している感じでは、桃色っぽさは消えていますね。ところで、フローリング1本を全て塗装してしまうと、塗装前後の比較がしにくいので、1回塗料を全てふき取ったうえで、中央にマスキングをして半分だけを塗装してもらうことに方針転換しました。

これがその様子です。一度塗料を塗って、10秒ほど置いてから、ウェスで拭き取ります。

右が塗装処理したもので、左が元の様子です。確かに、右側の方が明るくなっていることが分かりますね。塗料をもう少し休ませてから拭き取った方が色の定着が良いとのことでした。

当初サンプル2枚と比べてみると、右側の方がかなり似てきていることが分かりました。

もう一枚、塗料を塗ってからしばらく休ませてから拭き取ったサンプルも作ってもらいました。

一番右上にあるのが当初サンプル、②-1が選んだ中で良かったもの、右から2枚目は、最後に作ってもらった少し休ませてから拭き取ったサンプル、左から3本目が、半分マスキングをして上部を塗装処理したもので、一番左端が黒っぽいものです。こうやって比べてみると、塗料を塗ってしばらく休ませてから(その休ませる時間も経験ならではのものがあるそうです)拭き取ると当初サンプルと、②-1と色合いがマッチするフローリングへと調色できることが判りました!

工場を失礼する前に、皆で記念撮影させて貰いました。左からハレトケの渡辺さん、青の現場監督の樋口さん、フローリングファクトーの柳田社長、弊社担当の岸本さんと各務です。塗装作業をしてから、きちんと乾かすことがとても重要だとの話も柳本社長から聞いたので、近々の雨の予報なども勘案して8日後に現場に再塗装したフローリングを入れて貰う手はずを整えて貰いました。

そして、その8日後に塗装され直したフローリングが現場に届いた様子がこちらです。ハレトケの渡辺さんが②の良かったフローリングと色味を比較してくれています。

全てのフローリングを梱包から外して、現場の壁中に広げた様子です。

何枚かを無作為に床に並べて、赤丸された半割の良いサンプルと見比べて、全てが馴染んでいることが判ったので、これで全て問題解決として、フローリング張り作業を進めて貰うこととなりました。ハレトケの渡辺さんのホッとした顔が忘れられません…。

その2日後に新宿区T邸の大きなリビングダイニングにフローリングが敷き込まれた様子です。この後、すぐにしっかりとした養生材で隠されてしまい、再び全容を見ることができるのは、お引き渡し直前になってしまうのです。

こちらはまたその数日後ですが、現場にTさまご夫妻がお打合せに来た下さった際に養生を一部めくって張られたフローリングをご確認して頂いた際の様子です。とてもきれいで「良いですね!」と喜んでくださいました。そのことを、すぐにハレトケの渡辺さんに伝えたところ、「涙が出るほど嬉しかったです!すぐにフローリングファクトリーの柳田さんにも喜びの報告させていただきます。」とのことでした。スケジュール調整をきめ細やかに調整して、搬入搬出も手伝ってくれた青の皆さん、うちのスタッフも頑張ってくれてました。そして、元はと言えば、このことの原因じゃハレトケの渡辺さにありますが、それでもその問題をリカバリーしようと頑張ってくれたことは、本当に感心しました。全員の努力で、問題点をリカバーすることができました。