Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

リノベーション設計の自由度を決める「設備調査」とは?

松濤D邸

マンションリノベーションの設計は「壊してから」ではなく、「調べてから」始まります。壁の裏、床下、天井の奥には、リノベーションの自由度を左右する複雑な設備が隠れています。今回のマンションリノベーションでは、設計を本格的に進める前に、既存設備の現況を現地で詳しく確認しました。
見えてきたのは、給排水管やガス、電気・空調設備の問題点と可能性。この調査によって、どこまで変更できるのか、どこに制約があるのかが明確になり、設計の方向性が大きく絞り込まれました。

実はこちらのた松濤D邸の先回のリフォームでは、リノベーション済みマンションをご購入されたという経緯もあって、設備に関わるキッチンや浴室は何も触っていませんでした。今回はそのキッチンと浴室をやり替えたいとのご依頼だったので、フォーム工事をお願いしたリフォームキューの森井さんと設備の槻川原さん、そして今回新たにオーダーユニットバスを発注予定の東京バススタイルの眞柄さんと和久田さんにも同席して貰って、設備関連の調査をさせて頂きました。

設備調査に先立って、担当で当社副所長の前田君が関係者皆に既存図やリフォーム図面を見せて、どこをどう調査してもらいたいかと説明している様子です。

リフォームキュー側は分電盤からチェックを始め、

キッチンの引き出しを開けさせてもらって、排水経路を推察してくれています。図面と現地調査で、新しいキッチン案のようにシンクと水栓を対面側に移動しても、排水経路は確保できそうだとのことが判りました。

東京バス側は脚立も持参での調査です。

まずは既存の浴室の内寸を実測した後は、

天井の点検口に頭を突っ込んで、巻き尺とレザー測量機を使って、リフォームした場合、どのサイズの浴室を入れることができるのかを調査していきます。

因みに点検口の中でみえる景色はこんなもので、ダクトと配線や配管が縦横無尽に走っていて、見ているだけでは何が何だか分からないのですが、図面を見比べながらじっくり考えてゆくと、どこをどうすれば整理できるか、何が問題になりそうかが見えてくるのです。

最終的にこの日東京バスの眞柄さんが纏めてくれた資料がこちらです。パッと見ると、何が描かれているかが分かりませんが、説明してもらうと、既存のユニットバスを、新たにオーダーユニットバスに変更すれば、長手方向であと15センチ程度サイズアップをすることができることが判ったそうです。既製品のユニットバスでは細かい寸法を浴室に取り込むことが不可能ですが、サイズを自由に変更できるオーダーユニットバスにするメリットがより大きくなることが判りました。

調査をして貰っている最中は、前田君と各務です。新しく考えたキッチンや浴室のリフォーム案をDさまご夫妻にご説明させて頂きました。このスケッチ図の一番上、主寝室の奥のウォークインクローゼットは、先回のお打ち合わせ時にこちらからご提案したオプションの内容となります。

キッチンについては、まだ奥さまのご要望はほとんど伺っていない段階でしたが、まずはどのようなことができそうかを、こちら設計側で簡単に纏めてみた資料です。4面の展開図のうち、右下の展開図にアーチが見えていますが…、

先回のお打ち合わせ時の最後に、アーチをどこかに取り入れることができないかとのご相談があったことから、ダイニングとキッチンの開口部をダブルのアーチにする案を前田君に考えて貰ったのがこちらのダイニング側からの展開図となります。

ウォークインクローゼットだけの説明図も作りました。かなり大きなクローゼットが作れそうですが、お打合せの中で、廊下から寝室への扉の位置を90度移動すれば、もっと大きなクローゼットが作れそうだとのことも判り、次回改めてその案も纏めてみることとなりました。
因みに、クローゼットエリアになる部分の湿気が気になるとのこと、何とか湿気を除去する方法も検討してくれないかとのご依頼も頂いていたのですが、新しくエアコンを入れることは冷媒管とドレイン管のルート的に難しく、連続運転できる除湿器を入れることについても排水を確保するルートが取れないことから、この点については市販の除湿器を使って頂くことになることもご説明させて頂きました。

こちらは、東京バススタイルの調査を受けて、後日Dさまにお送りした浴室サイズと浴槽の関係を纏めたシートです。ウォークインクローゼットについては、見積もり次第とのことでしたが、キッチンと浴室については超概算をお伝えしたところ、そのくらいの費用であれば問題ないので、進めて欲しいとのご依頼を頂きました。