Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

家具選びと模型づくりから見る、300㎡リノベーションの裏側

渋谷区L邸

大型マンションリノベーションの渋谷区L邸ですが、色々なことが重なって、当初はメゾネット上階の寝室と水回りだけ(約50平米程度)のご依頼から、上階全てと下階も70%程リフォームすることになったので、約300平米と当初の6倍ほどの規模に膨らむこととなりました。また、一旦完成していた上階も新しく生まれてくるお子さまのことを考えて設計し直しとなっております。

お打合せと設計を地道に進めながら、設計協力をして貰っているハクの後藤さんと関さんに模型作業も進めて貰い、まずは上階の模型が完成しました。

Lさまご夫妻もとても興奮しながら模型を見てくださいましたが、設計と施工をお願いしている三井デザインテック(三井DT)の蛭川さんと風間さんもかなり嬉しそうな顔をしていますね!

手前が主寝室で、奥がウォークインクローゼット(WIC)となっています。以前の間取りでは主寝室とWICが廊下で隔てられていたのが、今回のニュープランでは、直接引き戸で行き来できるようになったこと、奥さまが何よりとても喜んでくださいました。

下階はリビングダイニングキッチンだけで150平米ほどある大型空間となります。リビングのソファはこれまで使ってきたコネリーミノッティ)を再利用することで決まっていますが、ダイニングテーブルセット等の家具探しも同時に行っています。

以前作ったCGにも仮で入れ置いたモルテーニのAVボードのリビングボックスを見て頂いたところ、是非これを入れたいと言ってくださいました。ダイニングテーブルは天然石の天板のなるべく大きなものをとのことで、モルテーニとポリフォームを同時進行で検討していったところ、モルテーニのオールドフォードは天板と足が分割できないのに対して、ポリフォームのカーブは分割可能で、エレベータには入らないが、階段を使えばお部屋への搬入ができることが判り、こちらに軍配が上がりました。

軍配が上がったポリフォームのカーブは現品展示が無いとのこと、仕上材を借りてきて大理石天板と木製の脚、更に木部に巻くレザーの色も決定となりました。

ダイニングチェアについては、以前より奥さまがお好きだったフレックスフォルムの木とレザーとコードを組み合わせたクロノを推薦させて頂きました。ショールームには現品はなく、同じ作りのラウンジチェアしか展示されていませんでしたが…、

ラウンジチェアを見ながら、ダイニングチェアの仕様を決めてゆくことができました。

リビングのテレビ横と、階段の踊り場にご提案していた、照明器具のノクタンブルフロス)がB&Bイタリアの新しいショールームに展示されていたので、それもお二人にご確認して頂くことができました。

地階のマクサルトに展示されていたカラトスのハイチェアもお勧めしたところ、実際に座ってみてとても良いとのことで、採用になりそうです。三井DTの武智さんがキッチンカウンターの高さを当てて、使い勝手を見て頂いている様子です。

納期的に早めに決めて発注しなくてはいけないB&Bイタリアの屋外家具のカナスタについては、ショールームに実物展示が無かったので、こちらで張地の候補を持参して、ご自宅でお打合せをして決定して頂きました。

下階については、これまで調査もしていなかったので、大工さんと設備屋さんと電気屋さんに来てもらって、上階の時と同じような部分解体調査をさせて頂きました。

イートインキッチンから書斎へ続く廊下への扉を引き込み扉にできるかどうかを確認するために、窓下カウンターの中に構造体が隠れていないかを調査するための穴です。

こちらはプライベート廊下に当らに設ける手洗いカウンターの排水を、床下にうまく通すことができるかを確認するために、収納内部に空けた調査用の穴です。

廊下に空けた穴からは、携帯電話を差し込んで、動画をとりながら排水管ルートが取れるかを確認したところ、廊下の床下の他の設備配管類をやり直せば、排水管を通すルートが確保できることが判りました。

また、壁裏にも点検口を開けて、PS(パイプスペース)の内部を確認して、もう少しPSを縮めることができることも確認しました(PSについては共用部PSと専有部PSがあり、こちらのPSは専有部PSで動かすことができるPSです)。

お客さまとの打合せの合間には、設計協力をしてくれているハクの後藤さんと関さん、そして設計施工で受けてくれている三井DTの面々、更には大工造作や家具造作の下請けで入ってくれている関係者が全員揃っての図面読み合わせも2度ほどさせて貰いました。

以前のオーナーがアルクリネアのオーダーで作ったキッチンは、Lさまは使い勝手に不満はあるとのことでしたが、時間的なこともあるので、そのまま使うことになっていますが、僕らが良くお世話になっている整理収納アドバイザー、Tidyupの片岡さんに入って貰って、作り直すことになったパントリーも含めて収納計画をやり直すこととなりました。

そうこうしているうちに、ハクさんにお願いしていた下階の模型も出来上がってきました。

奥さまが模型を眺めている横で、蛭川さんにだっこされた愛犬のMちゃんも嬉しそうにしています!

リビングソファのミノッティのコネリー、ダイニングテーブルのカーブとダイニングチェアのクロノまできちんと作られているのです。

そしてなんと、右にある上階模型と、左にある下階模型は…、

中央の階段部分を介して、上下にドッキングできる作りになっているのです。これにはLさまご夫妻も手を叩いて喜んでくださいました!

上階の見積りはタイミング的に作り直すことができましたが、下階はまだ見積もりが纏まっていませんが、全体の工程を考えると、下階にお住まいだったLさまご夫妻も、そろそろこちらを引き払った仮住まいに写って頂き、解体工事をスタートさせることとなりました。そこで解体前に皆で集まっての記念撮影をさせて頂きました。左から、三井DTの蛭川さん、三井のプランナーの風間さん、各務、Lさまごご夫妻、三井DTの武智さんです。ハクの後藤さんと関さんは都合がつかずこの日の打ち合わせに参加していませんでした。

解体する前に、お手持ちだったチェコッティのテーブルやフレックスフォルムとマクサルトのイスは中古で下取りしてもらうことになり、僕らが良くお世話になっているインテリアバイヤーの村上さんに現地に見積りに来てもらいました。下取り価格が100万円を超えたことをLさまにお伝えしたところ、以前にイタリアハイブランド家具を売った際には数万円にしかならなかったとのことで、喜んで頂けました。因みにインテリアバイヤーの村上さんはB&Bイタリアから独立した方で、欧州の高級家具にかなり詳しく、下取りしたものを五反田のご自身のショップ、バックツーザファーニチャーで販売しているので、かなり良い価格を出してくれるのです。