Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

新築マンション2住戸リノベーションの城南R邸が始まります

城南R邸

都内城南エリアの新築(まだ未完成)マンションリノベーションのプロジェクトがスタートします。それも同じマンション内に2住戸(ともに180平米超え!)ご購入なさったお客さまのRさまが、最上階住戸Aはご自宅用に、庭付きの1階の住戸Bをゲストハウス用になさりたいとのご要望のプロジェクトなのです。

色々な事情があり、最上階住戸Aが最初にお引き渡しを受けることになっております。住戸Aについては、大きく間取り変更は考えず、マンション開発事業者(デベロッパーの略で通称デベ)が対応してくれる新築オプションで軽度な仕様変更を行ったうえで、完成お引き渡し後にLDKを中心に僕らがリフォームをお手伝いすることになりそうです。
それに対して住戸Bは、間取りから全てをスケルトンまで解体して作り直すスケルトンリノベーションをご提案することになりました。

こちらがこの新築マンションのモデルルームです(僕が映っている以外は全てモザイクの不自然な写真で申し訳ありません…)。最近の高級マンションの傾向で、モデルルームと言いながら、ほぼ全てがオプションでグレードアップされているモデルルームなので、部屋の広さ感覚や天井の高さ、窓サッシの作り方以外はほぼ何の参考にもならないのです…。

僕らが一番見たかったのが、モデルルーム内の打ち合わせ室のコーナーに置かれている、こちらの仕上げ材サンプルボックスとなります。

こちらのマンションでは、2パターンの内装材が用意されていたとのこと、Rさまご夫妻が選んだ仕様の内装材ボックスを打合せ室で確認させて貰いました。

見た目の色味は当然重要ですが、実はサンプルの裏側に記載されているメーカー名や品番などが新築マンションリノベーションの場合、かなり重要となってくるのです。新築なので、使える部分はなるべく残して、部分的に解体して工事を進めることになるのですが、同じ品番、同じ生産ロットのフローリングやタイルを見つけることができれば、継ぎ足しながらの工事が可能となるので、無駄が少なくなるのです。

今回はRさまの奥さまとご一緒のモデルルーム訪問でしたが、マンション・デベの担当者と新築オプション工事のデザイナーと一緒のお打合せで、以下の様な方針が決まりました。

  • キッチン&パントリーは新築お引き渡し後にカガミ建築計画+リフォーム会社で作り替える
  • 廊下突き当りの来客用トイレと手洗いも同様
  • もう一つのトイレについては洗面側の収納をつぶして、拡大する工事はデベ側の新築オプションで
  • 洗面所及び洗濯機コーナーはお引き渡し後に作り直すことに
  • 主寝室とウォークインクローゼットは、床・壁・天井の仕上げ材はデベの新築オプションで選び、ベッドのヘッドボードやお化粧コーナー、クローゼットの棚はカガミ+リフォーム会社での後工事に

その他は、新築オプションで工事すべきか、お引き渡し後のリノベーション工事にするか、どちらが効率的なのかを相談しながら、細かく決めてゆくことができました。

以上の内容を、後日、弊社担当者の前田君が取りまとめてくれたものがこちらとなります。これをデベ側のデザイナーに渡して、先方でオプション工事の見積もりを出してもらう流れとなります。

こちらの住戸Aではキッチンとパントリーのレイアウトが一番重要なので、僕らはキッチンレイアウト案と合わせてダイニングテーブルの形とレイアウトの検討をスタートしました。

奥さまから以下のご要望を伺っていました。

  • ダイニングと窓に向けて明るい側にキッチンシンクをレイアウトすること、
  • 大きめのパントリーが欲しい

それらを勘案してのレイアウト案4案です。A案とB案はキッチン内部が広すぎて、冷蔵庫とシンクとコンロを結ぶ三角形が大きくなってしまうので、C案とD案では、玄関側に靴収納やSIC(シューズ・イン・クローゼット)を作って、キッチンを少し狭めにしてみた案です。

全く違った発想で、玄関からパントリーを経てダイニングキッチンへアプローチできる案を考えてみたのがこちらの2案です。上のE案ではキッチンを「ニ」の字型にしてみましたが、アイランドカウンターがかなり飛び出てしまい、ダイニングスペースが狭くなってしまうので、奥さまのご要望とは違ってしまいますが、壁面一文字型のキッチンを入れてみたのが下のF案となります。
リビングとダイニングがスペースとして一体に繋がるという良い点があるのですが、冷蔵庫や冷凍庫を開けるとリビングのソファから丸見えになってしまったり、キッチンそのものが露わになり過ぎているかもしれませんね。

G案は、これまでの案を折衷したようなアイデアで、パントリーが無いキッチンとなります。H案もパントリーなしで、その代わりにコンパクトなイートインカウンターを設けた案となります。ただ、これもダイニングスペースが窮屈になる難点がありました。
これだけ沢山の案をご説明しながらお見せしたところ、「こんなにバリエーションがあるとは!」と、とても喜んで頂きました。住戸Aのキッチンは普段使いのキッチンとなるので、使い勝手やダイニングのバランスを考えて、D案を発展させてゆくような形で考えていきたいとのことに基本方針が決まりました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込むLED照明

新宿区T邸

新宿区T邸の洗面カウンター上のメディシンキャビネットの三面鏡に、女優鏡のように正面から照らせる照明を入れて欲しいとのご要望がありました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

最終的に出来上がったものはこのようなもので、僕ら設計側の満足度はかなり高いものができました。設計するプロセスが面白かったので、こちらのブログで紹介しておきます。

これまでは、このようなものをご提案してきました。最初の写真と比べてもデザイン的なそん色はほとんどありませんが…、

扉を開けると内部が違うのです。こちらのケースでは鏡に照明を仕込んだのではなく、鏡の裏面のアルミ蒸着面を部分的に剥がして、扉材に細長い穴をあけて光を通すようにして、背面の収納箱に照明ボックスを作るという非常に面倒な仕組みになっているのです。

背面の収納部分はこれだけの寸法が無駄になっている訳です。因みに光が均一に見えるように、箱の奥にLED灯具を仕込み、手前にフロストシートを張ったアクリル板を置いて光を拡散しています。
これだと造作家具屋の工事の手間も費用も掛かり、かつ内部収納量が減ってしまうので、何とかしたいと考えていました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

こちらのプロジェクトの担当の前田君が、ハーフェレ社のLED照明1163のデモ機を持っていたので、このごく細ライン照明を使って何かできないかと考えました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

こちらが僕、各務が描いた簡単な初期スケッチですが、細いLED照明を鏡扉の戸先と戸尻に仕込めないかと、施工をお願いしている青の樋口さんと造作家具屋の大沼さんに相談しました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

僕のいい加減スケッチから、もう一人の担当の岸本さんが起こしてくれたスケッチ図面がこちらです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

どうしてもLED照明の端部、電線と灯具が接着されている部分に白いプラスチックがあり、それが見えてしまうので、一番上にステンレスのカバーを付けないで収まらないだろうとのことになりました。また、動く扉の戸尻側の電気コードをどうするかも問題になりそうです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

そんなところで、設計側で悩んでいたところ、樋口さんと大沼さんでモックアップ模型を作ってみたとの連絡を貰いました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

やはりLED照明の大元のプラスチック部分を埋め込むことが難しいので…、

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

SUS(ステンレスのことです)と書いてある部分をステンレスでカバーするのが良いだろうとのことになりました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

さすが家具屋のモックアップで、実際にこの扉が開閉するのです!作ってみると電気コードが絡む恐れはほぼなさそうなことが判りました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

扉裏面の上部、ビス止めされた部材の裏に溝を掘って、電気コードを戸先まで持ってゆくことも問題なくできることが判りました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

このモックアップでの検証をもとに大沼さんが書いてくれた製作図がこちらです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

そしてそれをもとにして作られたのがこちらのメディスンキャビネットです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

正面から担当の岸本さんが撮影してくれた写真です。

点灯していないときはこのような状態です。

どうしても鏡扉の開閉をするスライド丁番の軌跡の関係で、戸先も戸尻も少し隙間が空いてしまうのです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

点灯するとその隙間もほとんど気になりませんね。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

扉を開けると上部をステンレスのL型金物で押さえているのが良く分かりますね。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

戸尻の吊元側のコードもほぼ気にならないように隠されていました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

このLED灯具は低圧タイプなので、どこか1か所にトランス(変圧器)を入れておく必要があり、一番右側の上部にトランス置き場を作ってもらいました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

色々と工夫をしてこのようなものができましたが、まだこのLEDのライン照明は、調光は可能ですが、調色(電球色から蛍光色まで色味を変えること)はできないので、女優鏡としてはまだ不満な点があります。おそらくここからもっと細くて、調光調色が可能なLEDの新製品が開発されると思いますので、その都度工夫をしてゆくことになるのだと思います。

オーダーキッチンのレイアウト検討

大田区S邸

ヴィンテージマンションリフォームの大田区S邸は、基本的な空間はクラシカルなイメージで進んでいますが、キッチンだけはモダンでシャープなデザインになさりたいとのことで、打ち合わせが続いています。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

先先回のブログ記事で、リネアタラーラともう1社の2社に絞ったところまでを説明しましたが、その後の提案の中で、リネアタラーラ1社に絞ってキッチンレイアウトを検討してゆくこととなりました。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

用賀のショールームのシャープなデザインと最新のビルトイン調理設備が展示されていること、更にはカガミ建築計画での実例が一番多いことも信頼できるし、担当の牧野さんもキッチンにとても詳しく、リネアタラーラに決定した次第です。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

ここまで弊社担当の松藤さんが作ってきたキッチンレイアウトでは、シンクがダイニング側の対面カウンターに、コンロが背面の壁側にむいたカウンターにあるのですが、対面カウンターをフラットにするのか手前を少し隠せる2段カウンターにするかで迷っていらっしゃるSさまは、リネアのこの2段カウンタースタイルが参考になると色々な角度から使い勝手を想像してくださっています。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

左の案が当初案なのですが、これだとうまく電子レンジや炊飯器などを隠すことが難しいのではとのことで、Sさまからの発案で、玄関側からの動線を封鎖して、冷蔵庫を位置を90度回転したらどうなるかを検討したのが右の案です。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

なんとなく纏まってきたような気がするのですが、リネアタラーラの牧野さんに、プロとしての忌憚のない意見を聞かせて欲しいとお願いしたところ、このようなコメントを書き込んでくれました。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

年に十数件のコダワリのお客さまのキッチンを作り続け、更に施工後の細かいクレーム対応もしてくれているだけあって、かなり細かい所まで指摘してくれるのでとても頼りになるのです。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

仕上げ材のイメージも少しずつ固まりつつあります。コンロのある壁側ユニットは、なるべく調理機器が露出しないように金属塗装の扉でカッチリ作り込むのに対して、ダイニング側の対面カウンターは明るい大理石調の素材を使いたいとのことでした。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

本当は天然大理石を使いたいところですが、メンテナンスのことを考えると二の足を踏んでしまうとのことで、現時点ではセラミックかクオーツストーンで検討中です。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

人工照明の打合せテーブルの上だと、色味が判り難いので、ショールームの窓際にで扉材の候補をカウンター材の候補のマッチングを確認させて貰いました。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

ご主人も交えてのお打合せ中で、玄関からキッチンの動線を本当になくして良いのかを再検討した結果、これから歳をとっていった場合、お子さま達やヘルパーさんに食事を作ってもらったりすることになったら、やはり玄関側からの動線があった方が良いだろうとのことで、当初案に近い形のレイアウトに戻りました。一旦キッチン部分だけでも概算見積りを出してもらおうとのことで、仕上げ材とビルトインの調理機器を暫定的に決めたうえで、お見積りをお願いすることになりました。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

設計側が描いてきた図面をもとに、リネアタラーラが作ってくれた見積り用の図面がこちらです。

オーダーキッチンのレイアウト案検討

細かい材料の指定や、部材同士の取り合いまでを考えてくれた展開図も含めて、相当にしっかりと検討をしてくれました。