ここからは、私共カガミ建築計画が日本のプロジェクトで良く使っている建築材料や照明器具ブランドの市内ショールームを見学した様子をお伝え致します。
大理石柄大判タイルのフィアンドレ、サピエンストーン、アリオステア等を傘下にもつグループ会社のイリス・セラミカ・グループのショールームです。
美しい表情・柄の大理石が世界中の富裕層に引っ張りだこで、資源が枯渇しつつある中、きれいな大理石柄を転写したタイルの需要が増えています。地中海沿岸(イタリア、スペイン、トルコ等)で大判セラミック生産が盛んですが、その中でも白系の大理石柄セラミックで一番美しいのがこちらイリスグループのフィアンドレだと考えています。
セラミックは光沢感もきれいで含水率が低く(つまり汚れにくい)、キッチンや水回りのカウンター材として優れた点が多くあるのですが、表面にしか柄が転写されていないことが大きな問題の一つでした。
以前はコーナーをトメ加工(各部材を45度にカットしたうえで接着する)でも2ミリ程の隙間が出来ていましたが、近年はほぼゼロに加工できるようになってきたとのこと、その問題も大きな要因ではなくなってきたのかなと思っていたところ…、
いつもフィアンドレとサピエンストーンの仕入れと加工をお願いしているアークテック社からタイルをどの面で切っても小口に模様が繋がる新しいタイプのセラミックの開発に成功したらしいとの話を聞いていました。それがこの製品なのです!
元々フルボディーと言って、表面のベースになる色味とセラミックの基材の材料の色を揃えてはくれていましたが、ここまで小口に染料を含浸させる技術ができたとは…。まだ、石種、色味によってはそこまできれいに出来ていないものもあるようですが、
切る個所をうまく指定すれば、こちらなどはかなり本物の大理石に近く見せることができるのではないでしょうか。
上階のこちらのテーブル天板も大判セラミックです。パッと見ても小口まで柄が続いていますが、
アップで見てもこのようになっています。ここまで繋がってくると、もう十分なのではないでしょうか。これがどこでカットしても実現するというのが本当に凄いことなのです。現在は厚み2センチのものでしか実現できていないそうですが、追々他の厚みでもできるようになりそうですね。
石種のタイプも着実に増えているようです。こちらは世界中で大人気のパタゴニア柄の水磨きです。本磨きになると、透明な部分はどうやっても印刷では表現できないので、水磨きにしているようです。
こちらもアップで見て、触ってみると、凹凸もかなり正確に演出出来ていることが分かります。
技術革新はどんどんと進んでいますが、現場での加工を考えると、小口を如何に隠すかはやはり大判タイルの大きなデザイン的な課題となってきます。こちらの造作家具では、サハラ・ノワール柄を使っていますが、
小口をほぼゼロに見せるディテールとしていました。
トメ加工の技術もかなり進化し、このような薄いパネル材でも三方トメがきれいに出来ていました。
こちらの上階の打ち合わせ室では、タイルの小口に金属の金物を廻して隠していました。
コーナーのカーブした箇所では、セラミックを細く割いて張り合わせるという高等技術を使っています。
とはいえ、出隅が現れてこない奥まった壁、こちらの折り上げ天井の上面のような箇所の方が、まだまだ安心しますが。