大型メゾネットリノベーションの渋谷区L邸の現場は、上階に造作家具が入り始めています。
今回の設計では、造作家具から建具まで、全てにラインが通るテーマで設計しています。玄関の本棚から始まり、ミニキッチン、収納、洗面へと続く腰高のラインが、空間全体を一つの流れとして纏めてゆくのです。

上階の造作家具の取り付けで一番難しいのが、この幅広の廊下に面したミニキッチン部分だと思われます。

上階の玄関からは造作本棚収納で始まり、そこから腰高のラインを通してミニキッチンカウンターへと繋がっています。

ミニキッチンはシンクとカウンターにビルトインの冷蔵庫と電子レンジを隠せる収納付きとなっていますが、そのカウンター上に横長の開口部が開いていますが、それが壁裏にある浴室の欄間窓となっているのです。

さらにカウンター上のフレーム部分はステンレス板で囲まれており、左側の壁部分は非常に繊細なオニキス(光を透過する特殊な大理石)を張るデザインとなっているのです。
青いパネルのように見える箇所がステンレス板で、青い養生ビニールが傷がついたり汚れるのを防ぐために貼られています。

更に、腰高で続くラインは、ちょうど養生と立て掛けられた材料で隠れてしまっていますが、右側の廊下までラインが回り込んで続いていくのです。左側に立っているのは造作家具屋の有富さんです。写真では穏やかな顔をしていますが、この複雑に絡み合う取り合いをどう納めるか、現場ではずっと頭を悩ませてくれていました。
造作家具は図面通りに作れば終わりではなく、最後は職人の判断力と経験に支えられて完成していくのです。

コーナーを回り込む腰高のラインの下部は、ランダムに配置された木製ルーバーパネルとなっています。

そしてこのランダムパネルは、奥の洗面入り口まで続いていくのです。

洗面入り口の枠まで到達したルーバーパネルです。

先ほどの廊下の途中に造作棚を組み込んでいる職人さんの様子です。勿論、この造作棚の下部にも同じルーバーパネルの扉がついており、扉を閉めていると収納があること自体が隠れて分らなくなるのです。

この写真が完成時のものですが、左側に隠し扉があります。

特注で作った金属取っ手があることで収納であることが判りますが、下部のパネルは腰壁と一体化していますね。

扉下部にはお掃除ロボが入るように穴が開いています。左右にぶつかりながらロボが入ってゆくので、端部に傷がつかないようにステンレスをL字型に曲げた金物を付けています。

こちらはミニキッチンのカウンター上のステンレスフレームとオニキスと飾り棚が組み立てられた様子です。どこにも逃げないように見える、本当に難しい組立だったとのことです。

お引渡し寸前でビルトイン冷蔵庫を隠す扉もついて、完成状態のミニキッチンです。上部の欄間窓から浴室側の光が透けて見えていますね。
カガミ建築計画の設計では、木、金属、石、レザーという異なる素材を組み合わせながら、一つの空間の流れとして纏める傾向があるので、初めて施工する工務店や造作家具屋は、皆その複雑な絡みに戸惑うとのことでしたが、出来上がりを見ると複雑な分素材が絡み合って素敵になりますねと感動してくれるのです。

また時間を遡って造作家具組立中に戻ります。こちらに穴が開けられているのは、スイッチパネルとなります。インターフォンや床暖房、照明のスイッチなどが所狭しと入ってくるのです。

洗面まで入ってくると、こちらの造作家具はキッチンのクチーナの家具となってきます。

正面が浴室入り口で、左側が下着やパジャマ類を仕舞う引き出しカウンター、右側がダブルボウルの洗面カウンターとなっています。

洗面カウンターは、お客さまと一緒に石探しに伺った関ケ原石材アントリーニギャラリーで気に入ったパタゴニアの大理石が壁面とカウンター面に使われています。

そしてこちらが完成後の洗面です。パタゴニア大理石の柄が華やかな洗面スペースになりました。

こちらは上階の主寝室です。ビニールで養生されているのが、ベッドのヘッドボード代わりのレザーパネル壁です。

養生を少しはがしてレザーパネル壁を見てみました。難しいコーナーのカーブの収まり、そして建具枠際のレザーパネルの端部の収まり、ともに打合せ通りにきれいにできていました!

主寝室には、ちょうど組み立てるガラス扉のこのトール収納も組み込まれます。

このトール収納にも間接照明が入るので、電気配線が事前にされています。内部背面には大理石を貼る仕様となっており、単純に仕上がった箱を組み立てるだけではないので、それぞれがかなりの難工事になっています。主寝室には、この他に、ミニ冷蔵庫とゴミ箱を収めるカウンター収納が取り付けられることになっています。

主寝室奥にあるウォークインクローゼットには、ポリフォームのクローゼットシステムが入ってきました。約8畳の広さの空間に、これの四分の三サイズのクローゼットが対面壁にもついています。

後日、造作家具で作った中央の腰高の引き出しカウンター、そして置くに見えている和服用に造作の桐製トレイ付きの箪笥が入ってきた様子です。まだ完成形ではありませんが、かなりのサイズのウォークインクローゼットになってきました。

先にお引き渡し予定の上階は、竣工までの道のりが見えてきましたが、後日のお引き渡し予定の下階は、まだこのような状況です…。ちょうど石膏ボードが積まれている辺りが完成後はダイニングテーブルが置かれる予定ですが、その上から吊るすペンダント照明の吊るし方の工夫を関係者揃って打ち合わせをしてきました。