代官山の高層マンションリフォームN邸の現場にビニールクロス張りの職人さんたちが入ってきました。
普通のお部屋のリフォームのビニールクロス張りは、とにかくスピーディーに仕上がってゆくことに驚かされますが、僕らがデザインのお手伝いをするお宅は、クロスの張り分けなどが多く、中々大変なようです。
クロス張りの職人さんに、どのような道具を使っているか簡単に話を聞きました。
最も良く使うのがカッターと巻き尺で、カッターはどんどん刃を追ってゆくので、大量の替え刃も持ってきているそうです。あとは、入り組んだコーナーなどをカットするハサミに、クロスを張り伸ばすハケとローラー、はみ出たノリを拭き取るスポンジ、コーナーを押し込む金属製のヘラ、更には入隅コーナーにクロスを張る前に売っておくコーキング材や、下地を調整するサンドペーパーがクロス屋さんの七つ道具となります。
糊付け機で裏面にノリをつけた置いたクロスの束をピラピラを広げながら、正確にかつスピーディーにクロスを張ってゆきます。
まず最初に天井を張って、その後は壁を張って、梁型や細かい部分へとクロスを張り進めてゆきます。
上を見上げながらの作業が多く、高さによっては架台を使っての作業になるので、肉体的にも相当ハードなようです。
こちらは子ども部屋壁で、クロスを張る前のボード下地にパテをかった様子です。塗装に比べるとパテの作業はそれなりに簡易化されていますが、クロスのエンボス(凹凸の表情)の度合いによって、薄手の場合はパテ作業がより細かくなるそうです。
その裏面に当たる壁です。正面に見える壁は、リフォーム前にクロスが張ってあった壁で、既存クロスを剥いだ後の裏紙が残っています。きれいな状態で裏紙が残っている場合は、その上から張り増しをすることができるので、実はクロス貼り換え作業は、クロス剥がしの職人さんの腕が重要なのだそうです。
今回は、クロスをパネル状に張るために、目地を縦に取ったり…、
玄関横の壁には、クロスパネルが卍状になるようにパネル割をしたりと、結構面倒な張り方になっています。
こちらはトイレですが、水撥ねようのキッチンパネルとクロスパネルをフラットに仕上げる為に、面倒な下地を組んでもらっています。
玄関ホールの廊下は、天井を二色のクロスをハット目地を入れて張り分けたり、壁の一部をタイル張りにして、小口を金物で抑えて、そこまでクロス張りにしたりと、本当に面倒な作業ばかりです…。
前の週には、タイル職人さんが入ってくれたとのことで、窓周りには大理石調タイルがきれいに張られていました。
二本の柱型の間をフレーム状に囲って、その奥の面をタイルで仕上げて貰っています。フレームの上面はキッチンパネルを突き付けで張って貰っています。写真の木のつっかえ棒は、接着剤と両面テープで張ったキッチンパネルが剥がれないようにバリをかっている様子です。
柱型との取り合いは、造り付けの収納や、カラーガラス、ミラー張り、上部の間接照明まで伸びる抑え金物等の細かい細工が詰まっており、仕上げが楽しみです(職人の皆さま、お疲れさまです…)。
廊下の一角は、照明スイッチやインターフォン、設備スイッチ等の配線がなされており、あとは造作家具の到着と据え付けを待つばかりとなっていました。