ニューヨークの設計事務所訪問の第2弾です。友達が働いているPeter Pennoyer Architectsは、富裕層に特化した設計事務所としては、アメリカでも有数の有名事務所です。
ビルのワンフロアを借り切って、30人ほどのスタッフが、設計・インテリア・アーカイブ(資料庫)部門に分かれて働いています。
日本の設計事務所から見て、一番驚かされるのが、この壁に掛けられた水彩画ではないでしょうか?プロジェクトのある程度の骨子が見えてきたところで、事務所内のプロの画家兼デザイナーが、建物の立面の水彩画を描き出すのです。色まで付けてほぼ完成させた絵を、一度全て洗い流してから、再度描き直すことで深みが出てくると説明してくれました。このデザイナーの方は、立面のデザインだけでなく、装飾品や調度品のデザイン、更にはお施主様が持ってきた一つのドアノブから、そのデザインを展開して家中の金物のデザインまで作り上げることができるそうです。
詳細に対するこだわりも強い事務所で、レリーフやモールディングも、お仕着せの物ではなく、自分たちオリジナルなものをデザインして使ってゆくそうです。
こちらは、クラウン・モールディングや幅木のデザインを決める図面です。CKA在職時に、当時のボスから色々と教わったルールを思い出しました。日本では、モールディングを使った空間の設計はあまりありませんが、この事務所では、オーソドックスなルールに従ってモールディングからデザインできることは、富裕層に人気の理由の一つだと聞きました。
因みに、このモールディングは、メイン州の島一つを購入したお施主様のプロジェクトのデザインの一環で、メインの住宅やゲストハウスやプール、プールハウス等すべてを設計する予定で、約20億円程度の予算だそうです。事務所では、この規模のプロジェクトは6つ(!)同時に動いているとのことでした。
友達で、事務所を案内してくれたジム・テイラー君との記念写真です。因みに彼は、イギリスの大学でモダンな建築の勉強をして、以前働いていた事務所もバリバリのモダンデザインだったそうです。
こちらは違う友達が働くD’aquinoMonaco事務所です。ボスのフランシーヌはCKA事務所の先輩でした。
こちらは打合せ室の様子です。今はダウンタウンで三棟並びのタウンハウスを一つに繋げるリノベーション計画が進行中とのことで、その住宅のインテリアの打ち合わせの為に、壁には家具、床にはラグの候補が並べられていました。
これがその住宅のプランです。古い建物なので、内部は構造も含めて全てやりなし、正面のファサードは補修しながら今のイメージをきちんと継続してゆくそうです。
フランシーヌは残念ながら留守だったので、友達のナサニュエル君とうちの娘と一緒の記念撮影です。
因みに、日本ではあまり伝えられていませんが、米国ではサブプライム問題からリーマンショック以降まで相当な不景気で、今回見学させてもらった事務所ほぼ全てで、大規模なレイオフ(首切り)が行われ、経営的な危機に見舞われたようです。