Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

解体時に外壁からの水漏れ発覚!

乃木坂U邸

乃木坂U邸のリフォーム工事ですが、解体時に個室の窓際の外壁から水漏れの跡が見つかりました。

外壁からの水漏れ

こちらのお部屋の窓枠付近で、サッシ枠の上下に水漏れの跡が見つかり、工事をお願いしているリフォームキューの坂本さんが原因を探るべく、壁ボードを剥がしておいてくれていました。

外壁からの水染み

実は、それまで賃貸で出していたお宅が編曲された際に、窓際にこちらの写真のような水染みがあることは当初から気が付いておりましたが、窓ガラスの結露水が枠上に溢れてボードにシミを作ったものだろうと推定しておりました。

外壁からの水染み

ところがこの部屋の窓周りだけは、窓下部だけでなく枠上部にも水染みがあり、坂本さんと大工さんが不審がってボードを開口してくれたところ…、

外壁からの水漏れ

ボード裏のGLボンド周り、枠を固定する木製下地にカビが回っていました。

外壁からの水漏れ

アップで見るとこのような状況でした。窓枠は黒カビが発生して相当に傷んでおりました。

外壁からの水漏れ

窓枠下部までは水は回っていないようでしたので、特別な風向きの時に水が浸入したのか、或いは大規模修繕の前に一時雨漏りしていたのか分かりませんが、ずっと継続的に水が浸入してきていた訳ではなさそうな状況でした。

外壁からの水漏れ

天井裏をのぞき込んだ所、ダクトが外壁を貫通しており、その周囲が黒くカビていましたが、水染みはその箇所には見られませんでした。どこからどのような量はどのような頻度で水漏れしているのか分かりませんでしたが、当該箇所の天井裏には給排水の配管、或いはエアコンのドレイン管などの配管は無かったので、恐らく外壁或いはセットバックされた上階のバルコニーからの雨水の水漏れだろうと考えました。
とにかく、この状況は放置しておくわけには行きません。かといって、専有部内だけの工事で水漏れをストップさせることはできませんので、お客さまのUさまに事情をご説明して、以下のような文案を作って、お客さまから直接管理組合宛に写真を添付の上メールをお手紙を送って頂きました。

「△△マンション管理組合理事長様、
△△マンション○○号室を所有しておりますUと申します。現在、リフォーム工事の最中なのですが、外壁側の壁クロスを何カ所か剥がしたところ、下地のプラスターボードに水染みが発生している個所があることが分かりました。 幾つかの箇所は、窓周りで下部の部分のみの水染みのようで、これまで賃貸で貸していた方が雨天時に窓を開けてしまっていたか、サッシ枠の結露水を放置していたことでできたように見受けられましたが、個室の一カ所については、窓枠の上部にも水染みがあり他とは状況が違っているので、リフォーム工事会社に下地の石膏ボードまで撤去して調査して貰いました。

窓より上の位置の壁内部の様子が添付写真ですが、外壁の断熱材が埋まっている木下地にも水染みや黒カビが見られました。サッシにからんでいる部分ではないため、窓を開けていたことによる雨の吹込みや、冬場の結露というよりは、ちょうど真上に当たる上階のバルコニーか外壁からの水漏れではないかと設計事務所とも推測しております。上階バルコニーや外壁からの水漏れの可能性がある場合、専有部の範疇を超えた共用部にあたりますので、リフォーム工事会社に修繕をお願いすることはできないと考えております。

工事のスケジュール的には、あと2週間程度は写真と同じ状態を目視で確認できますので、その期間中に、マンション管理組合の理事会に報告を挙げて頂いた上で、専門の方に状況を確認して頂き、早急に水漏れの原因究明と対処方法を考えて頂けないでしょうか?折角のリフォーム工事を行った後に、また同じこと水漏れが原因で、室内が傷むことがないようにご配慮お願いできれば幸いです。」

その後、管理会社から以下のようなメールが届きました。

「U様、お世話になっております。
ご連絡ありがとうございます。当社建築担当に報告の上、管理組合で漏水調査を行えるよう調整いたしますが、2週間以内に現地確認、散水調査、原因改修工事等までは時間的に難しいものと思われますので、今後のスケジュール間含めて、改めてご相談させていただきます。

早急に対応できるよう進めていきますので、何卒よろしくお願いします。」

とのことでした。管理会社の修繕担当者とリフォームキューの現場の坂本さんに直接のやり取りでお願いして日程調整の上、水漏れ調査に入って貰いました。二酸化炭素ガスを水漏れ箇所から注入して、外壁側で検出する方法で、何カ所かの雨水の侵入箇所が分かったとのこと、その補修工事まで迅速に進めてくれたようです。

リフォーム工事側としては、調査用に開口した部分の復旧、点検口を設けるようならその設置費用まで、管理組合負担でお願いしたいと考えておりましたが、Uさまからその交渉で時間が掛かってしまうことの方が面倒が多いので、石膏ボードの開口と復旧分の5万円弱のお見積りを作ってお願いしてみましょうとの方針になりました(この金額の多寡については、色々と考え方がありますので、あくまでもこれは参考と考えてください…)。

その後「U様、お世話になっております。漏水調査の報告書を提出させていただきます。〇月△日に原因箇所の補修工事を実施予定(組合負担)です。現在管理組合理事長にて内容確認中のため、確定次第手配予定です。また、下記いただきました内装リフォーム工事の見積書、承知いたしました。管理組合様にて保険申請させていただきます。また進捗報告させていただきます。」
保険で無理なくおりそうな金額にしたことで、とてもスムーズにことが進んでいます。

水漏れ調査報告書

こちらが調査会社から管理会社経由で届いた水漏れ箇所の報告書です。

現段階では、補修工事は終わったところまで連絡が届いていますが、水を撒いて実際に水漏れが無いかを確認する散水試験を行った形跡がなかったので、そのことだけUさまから管理会社に指摘して返事待ちの状態となっております。

実はこれまでにも幾度か、特に古いヴィンテージ系のマンションリフォームでは似たような経験があるのですが、管理組合や管理会社の対応が遅く、水漏れ調査のために工事スケジュールを伸ばすことになったり、リフォーム工事が終わった後になっても補修工事がなされたのかどうかも分からないようなケースもありました。今回は築年数もまだ浅く、管理組合もアクティブで、管理会社の動きもスムーズで、工程に乗った形での調査・補修が進み、お客さまのUさま共々、ホッとしております。