Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

アレキサンダーラモントの魅惑的な素材について 

港区R邸

素敵なインテリア素材を扱っているエルクリエーションの高田さんが扱っているアレキサンダーラモントの素材を見せて頂きました。

イギリス人のオーナーのアレックス・ラモント氏が欧州や日本の装飾美術にインスピレーションを得て、タイに構えた工房でオリジナルの素材研究を行い、壁のパネル素材や家具、照明や装飾小物までを揃えた高級インテリアブラントです。
上の写真は、その素材集の一端でしかないそうですが、天然素材をそのまま使ったものは少なく、素材に独特な加工を施して、鮮やかな色味や、古びたマチエールを作り出しています。

こちらは、ストローマルケタリーと呼ばれるらい麦の茎を寄木細工のように加工したパネルだそうです。職人技で一枚ずつ手作りで作成するので、サイズも自由に作ることができるとのことでした。

色味も5種類(Beechwood / Bronze / Ebony / Mercury Gold / Argento)あるのですが、それぞれ見る角度によって光沢と反射で色が変わって見える、不思議な上質感のある素材でした。

こちらはガルーシャ革、あるいはシャグリーン革と呼ばれるエイの皮を環境に配慮した伝統的な方法でなめして磨き上げたものです(一般的な「なめし」にはクロムなめしが多く使用されますがアレキサンダー・ラモントの工房では、クロムを使わない伝統的な手法によってエイ皮を加工しているそうです。その方が強度がより強く、出来上がりが精巧で、無数の粒子の自然なトーンが美しく、またクロムなめしにより発生する汚染もなく、環境にも優しいものとなっているからだそうです)。天然素材なので、取れるサイズはバラバラだそうですが、要望の応じてこの小さなカード状のパネルを集めて大きなパネルにすることも可能とのことでした。

この白さと儚さが同居した繊細な素材は、石膏と他の素材を混ぜて板に塗って、特殊な乾燥をさせたうえで磨いたものだそうです。他にもブロンズや、漆、金箔やパーチメント(山羊皮)等の特殊加工素材も数多く揃えています。

それらの魅惑的な素材を使って、多様な置物や調度品も作っているとのことでした。当然ながらお安い金額ではありませんが、ここぞといったインテリアの見せ場で使いたいと考えていたところで、港区R邸のお客さまから、玄関ホール入って正面の壁の素材の提案がなかったので、う少しユニークな素材を提案して欲しいとのご依頼があったので、早速ストローマルケタリーのサンプルを借りてお見せすることになりました。

こちらが現地で、玄関ホールの素材として床の大理石や、横壁のサルバトーリの壁素材と並べた様子です。残念ながら、この部分の壁については他の素材を使うことになりましたが、素材自体はとても気に入ってくださったので、ダイニングの壁に使ってはどうかとのお話になりました。

リビングダイニングの奥に四角いコンクリートの柱型があるのですが、その正面はオニキス系の大理石を背面から照らして見せ、背部にはワインコーナーを作る予定となっていました。ダイニング側にはフレームを廻した塗装壁を作って、アートワークを後日探そうという方向で進んでおりましたが、その部分にこのストローマルケタリーをとの話になり、見積用の図面を前田君に作って貰いました。