ヴィンテージマンションリノベーションの千代田区M邸では、マンションの管理規約で、構造壁ではないRC壁(鉄筋コンクリート壁)についてはエアコンや床暖房用の穴を後から空けて良いとのルールがあります。ただ、雑壁(構造壁でないRC壁)と言っても鉄筋を切ってはいけないので、まずはレントゲン撮影で鉄筋の位置を探っていきます。
ホワイトボードにはコンクリート内部検査と書かれていますね。黄色く見える部分がRC像の柱と壁で(黄色は以前吹かれていた断熱材です)、元々2か所孔が開いていましたが、その上下で鉄筋がない部分を探ってゆきます。
こちらの機械がレントゲンを照射するマシンとなります。高さに合わせて架台を組み替えます。
レントゲン撮影する壁の背面側にこのような黒いシートを張り付け…、
壁裏のシート位置に合わせて、レントゲンを照射します。
何枚か撮影した後、下に停めた車に戻って20分ほどで、このようなレントゲン撮影された原寸大のフィルムが焼き上がります。白く格子状に見えているものが壁のコンクリート内に馬こまれている鉄筋となります。
それらの原寸レントゲン写真を、撮影した位置と照らし合わせながら、鉄筋の位置を壁に記してゆきます。
上の穴は既存の穴で、その直下に7センチほどの鉄筋の隙間を狙って孔を穿孔してゆきます。
こちらが孔をあけるコア抜きの機械です。コンクリート壁にピンを打ち込んでボルトで機械を壁に固定して、丸い歯を高速で回転させてコンクリートに穴をあけます。1本につき2~30分ほどの、それほどの騒音がない作業で孔が空いていきます。
中央の2つが元々の孔で、その下に新たな孔が2本、上に1本空きました。最後の1本を上に開ければ作業は終わりとなります。
きれいに抜かれたコンクリート、いわゆるコアサンプルがこちらです。コンクリートの老朽化(中性化)を測る時にはこちらのサンプルの方が重要になるのですが、今回はこちらは廃棄するゴミとなります…。
給湯機からの追い炊き用の管と床暖房用のペアチューブを通す穴を、何とか無事あけることができてホッとしております。
ちょうど10年前にも、高輪のヴィンテージマンションでレントゲン撮影からコア抜きの流れを、もう少し詳し説明したブログ記事もありますので、どうぞそちらもご覧ください。
当日は、もう一つ別の作業が入っていました。窓のガラスの交換作業です。これまではシングルガラスがが行ったアルミサッシでしたが、管理組合の許可を受けたうえで、真空ガラスに交換します。ただし、2か所だけは、建築基準法上の「延焼のおそれのある部分」として網入りガラスが入っており、この2カ所は交換することができませんでした。
こちらが現場に入ってきていた、真空ガラスのスペーシアです。高価なガラスですが、その分だけ窓の断熱性能を向上させるので、費用対効果は十分にあるものだと考えています。
こちらのマンションは、窓外ほとんどすべてに小さなベランダがついており、窓外に立ってガラス交換作業ができるので、とてもスムーズに工事が進みました。