Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

特殊な作りのオーダーユニットバス

文京区S邸

文京区S邸の浴室とシャワーブースは、東京バススタイルのオーダーユニットバスを使っていますが、いくつか特殊な作り方をして貰っています。

主寝室から使うシャワーブースは、ブースという割には大きめのサイズで、1414サイズのシャワーブースです。小型のユニットバスだと1014といったサイズもあるようなので、ユニットバスよりも大きいシャワーブースとなります。

最初に防水パン(床タイルも張られたパンです)を設置し、入り口の枠と四周の壁を立てます。ここまでは普通の作りですが、壁のタイルが張られていないことに気が付いたでしょうか?通常のオーダーユニットバスでは、タイルを張った壁パネルを立ててゆくのですが、ここでは真っ白なボードだけとなっています。

そして、壁にはこのようなニッチが作られていますが、これも仕上がっていません。今回はほぼ目地なしで貼る特殊なタイル、モロッコ産のゼリージェタイルを内部に張るので、パネル壁を立てた後に、現場側でタイルを張るという特殊な作りとなったのです。

そして、こちらが家族用の浴室です。2320サイズの大型浴室です。防水パンが特殊な仕様となっています。大きい浴室になると防水パンは2分割となることが多いのですが、今回は4分割となっています。また、防水パンのサイズが大きくなると、浴室の周りから脚の高さを調整することが難しくなるので、防水パンに穴をあけて、そこから脚を差し込んで調整するという特殊な作りとなっています。

防水パンの脚とは、この写真の赤丸で囲んだものです。下にはゴム付きのプレートを敷き、脚はナットを回転することで高さ調整をして、防水パンのレベル(水平性)を確保することができます。

防水パンの上に置かれている四角いプレートが時にゴワゴワしているコンクリートスラブ面に平滑面を作るためのプレートです。

そしてスチール製の脚がこちらとなります。

防水パンの穴の使い方ですが、このように穴から手を差し込んで手前右にあるレンチ(スパナ)で占めてレベルを調整してゆくのです。そして…、

脚を設置した後はこの樹脂板を使って穴を塞ぐのです。

防水パンの穴の淵に接着剤を充填して、

このようにフタをしてゆくのです。フタのサイズはそれぞれ似ているので、事前に暗号のような印をつけておいて、セッティングを間違わないように工夫しているそうです。
最初のご紹介したシャワーブースでは、防水パンにすでに床用のタイルが敷かれていましたが、こちらは大型サイズで、かつ段差もある特殊な作りなので、この上から床タイルを現場施工で貼ってゆくのです。これも普通はスピード重視と現場作業をなるべく少なするために工夫しているオーダーユニットバスでは特殊な作り方と言えるでしょう。

床に段差があると書きましたが、実はこの家族用浴室には置き型の浴槽を設置するのです。これまでの在来工法の浴室では置き型浴槽を設置したことがありますが、オーダーユニットバスでの置き型浴槽は初めての経験で、東京バススタイルさんともかなりの事前打ち合わせを致しました。因みに浴槽はSTR18585-VSバステック社)のものです。

写真ではコンパクトに見える浴槽ですが、幅が1850ミリ、奥行きが850ミリ、深さが420ミリで、重さが88キロもあるかなりの大型サイズの浴槽で、浴室の入り口のスチールサッシを取り付けてしまうと、内部に運び入れらなくなってしまうので、床を仕上げた後、ベニヤ板で作った養生で囲った浴槽を入れて、この状態で浴槽を動かしながらタイルを現場で貼ってゆくことになっているのです。

こちらはお子さまの寝室側から見た家族用浴室の様子です。通常は、後日手すり等を取り付ける可能性がある場所だけベニヤ板を張る仕様なのですが、今回は重量のあるタイルを現場張りするので、ベニヤ下地を一面全部に入れてくれています。

こちらは内部から見た浴室の天井です。梁が下がっており、その下がり梁を避けながら最大限の天井を張るために、ギリギリの寸法まで攻めてくれています。

洗面側のスチール枠が入った家族用浴室がこちらです。まだ浴槽は養生されたままですから、壁タイルは貼られていませんね。そしてこのスチール枠もちょっと特殊な仕様となっているのです。

こちらは浴室内部から見たスチールサッシとガラス窓とガラス扉です。

通常はステンレス鏡面仕上げか、ステンレスヘアライン、凝った時にはステンレスバイブレーション仕上げまではしたことがありましたが、今回はカラーステンレスで色を付けているのです。

このバイブレーション仕上げにシックゴールドという色味をつけて貰っているのです。因みに、このカラーサンプルは日本遠東ケーピーケーのものです。

ステンレスヘアラインだと可能なスチール枠の加工が、カラーステンレスだとできないこともあるので、枠加工もかなり工夫をして貰いました。

実はこのスチール枠、浴室の内側の枠はオーダーユニットバスと一体で、東京バススタイルに作ってもらういましたが、洗面側の外枠はリフォーム工事をお願いしている施工会社の青さん経由で施工してもらうのです。写真は内枠だけの段階のものです。

ただ、カラーステンレスの色味が違うと悲しいことになってしまうので、青の現場監督の織田さんが加工図を作って、枠の材料の手配は東京バススタイル、そして枠製作と取り付けは青お願いしました。

このようにして苦労して作ってもらった外枠が付いた状況がこちらです。とは言いつつ、まだ白い養生テープが張られた状態なので、良く分かりませんね…。

養生テープが外れていた窓枠を下から見上げた写真です。養生テープを一気に剥がして全貌を見たくて溜まりませんが、工事途中で傷がついてしまったら大変なことになるので、しばらくの我慢です。
まだ、シャワーブースも浴室も内部のゼリージェタイル張りもあるので、しばらくは水回りには大注目です。