神戸M邸リノベーション現場では、造作家具に先立って、建具の枠材や見切り材が取り付けられていました。同じ建具枠と言っても、上吊りレールや、スチール製の細いガイド枠等、同じものが二つとない複雑な設計をしています。
主寝室からリビング、水周りボックスを見返したアングルの写真です。向かって右側の長方形の部分には半透明のガラスが入ります。右側には2枚の建具が入る予定ですが、上を通っているスチール製の枠を補足することで、扉を開けている時には枠の存在感が消えるようにデザインしています。
こちらは枠が交差した個所をアップで見上げた写真です。T字形のガイド枠と、半透明のガラスが入る木枠、更に壁端部の見切りのスチールフラットバーが立体的に交差している状況が判るでしょうか。
主寝室の反対側にある子供部屋の引き込み扉の枠納まりは、同じT字形のバーですが、引き込み用のポケットの中に、差し込まれています。
こちらは玄関と玄関ホールを仕切る引き込み建具の枠です。上と同じ引き込み扉ですが、ここでは下にV字レールを見せたくない個所なので、垂れ壁を作って上吊用のレールを埋め込んでいます。ポケットも片側は壁、片側は靴収納の造作家具となっています。
南面したベランダ側の枠細工は、より複雑で重厚なディテールとなっています。チークフローリング材と練り付け材を組合せたシックなデザインを目指しています。上枠に一本だけガイドレールが通っていますが、このガイドに沿って、木製ルーバー戸が4枚動く仕組みとなっています。横枠に丸い孔が空いているのは、給気孔です。
洗面カウンター側からキッチンカウンターを見たアングルです。段差を設けた人工大理石のカウンターにガラスを入れて、二つの機能の間仕切りとする予定です。壁と壁から飛び出た棚にスリットが空いているのですが、そこにガラスを差し込むディテールとなっています。
こちらがその部分のアップの写真です。段差のあるカウンターの上部に小さな凹みが見えますが、そこにガラスの間仕切りが入ります。また、ちょうどこの個所に、洗面とキッチンを分ける引き戸が当たるので、人工大理石カウンターを床まで垂直に伸ばして、戸当たりとしています。
枠とは違いますが、違う素材がぶつかる箇所には、見切り材も入れています。こちらはキッチンパネルと普通の塗装壁の見切り材です。L字型のアルミアングルを壁に埋め込んだ上に、キッチンパネルを当てて、石膏ボード壁と面(ツラ)に収めて貰っています。
色々と複雑な枠や見切りの納まりをお願いしていますが、こちらはそれらを施工会社の越智工務店に依頼した際のスケッチ図です。施工図では、ここまで細かく納める図面を描く余裕がなかったので、作業が進むに従って、スタッフの竹田さんがスケッチを描き起こし、これを基に現場監督の金平さんが製作図を描き、それを幾度かチェックバックして最終的な製作のGOサインが出るという流れになっています。
ロフトの梯子の固定部分もすっかりボードで隠されて、上部の握り棒や手すりも取り付けられていました。
こちらがロフトに登って見た手摺の詳細ディテールです。手すりの端部が角張っていると上り下りの際に怪我をしやすいので、写真のようにフラットバーを曲面で折り曲げて貰っています。焼き付け塗装の白で塗って貰っています。
今回は細かいディテールのチェックで大変で、ほぼそれらの確認で現場監理が終わってしまいました。