乃木坂U邸では、当初のお客さまからのご要望として、リビングにはマントルピース型を置いて、その左右に飾り棚を設けたいとのお話しがありました。
因みに「マントルピース」とは、暖炉そのものをさす「ファイアープレイス」に対して、壁に取り付ける枠とその装飾要素を意味する建築用語です。和室の床の間のように、部屋の重心がどこにあるかを意味づけるものでもあります。
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こちらが完成したマントルピース型と左右の飾り棚です。本物の大理石で作ったマントルピースの重厚さはさすがの存在感に仕上がりました。開口部分に黒いカラーガラスを貼ったので、奥行きもあって本当に火を燃やせそうな雰囲気になりました!
![代々木上原I邸の大理石製マントルピース](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/12/DSC_3728-2.jpg)
Uさまご夫妻は、以前弊社が設計した代々木上原I邸の無垢大理石製のマントルピースをホームページでご覧になったことがあったそうで、あまりクラシカルでないモダンデザインのマントルピースが良いとのご意見でした。この時のマントルルピース型の組立ての様子はこちらのブログに書いています。
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代々木上原I邸のイメージからモダンデザインの大理石製マントルピースのイメージを幾つか探して作ったイメージシートです。①や④も良いけど、②の黒い大理石製のイメージで進めたいとのご意向を伺いました。
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プロジェクトの担当スタッフで副所長の竹田さんがまずは見積り用に作ってくれた図面がこちらです。
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概算見積りの段階でお客さまから是非作りたいとのことで進めることが決まり、工事会社リフォームキューの下に入ってくれているキダマーブルが素案として作ってくれた施工図がこちらです。
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施工図と同時に探してくれた大理石のスラブ写真がこちらです。設計側からは石種は「ゼブラカルニコ」でと希望していましたが、良い石材が見つからず、キダマーブルの齊藤副社長が見つけてくれたものがこちらの「グリジオカルニコ」でした。今回は艶(ツヤ)を一段階落とした水磨きで仕上げるのでで、黒い部分が真っ黒でなくても良いとの判断です。
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現場での寸法確認や左右の飾り棚の寸法変更などもあって、最終的にほぼ決まったのがこちらの図面となります。
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ここからが制作プロセスとなります。上記の施工図の下地ラインに従って、ベニヤ板でマントルピースの下地型を大工さんに作って貰いました。もう、これに真っ黒な塗装を掛ければ、それだけでも立派なマントルピースになりそうですが(笑)。
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大理石工場で加工されてきたパーツを組み立てていきます。職人さんがねっとりとした接着剤を団子状に塗ってベニヤ下地に接着していきます。
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使用している接着剤は2液性エポキシ性接着剤で、団子状接着剤で厚みを持たせて不陸(ガタツキ)を調整します。約40分で硬化し始めるのですが、比較的ゆっくりと慎重に作業ができる接着剤を使っているそうです。
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一番内側の枠の部分だけ、黒く塗装した細身の木製枠を造作家具工事で取り付けていますが、底板と天板から順番に石材パーツを張っていきます。
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各パーツは、スラブから石の柄が繋がるように切り出されており、また接着順によって小口(石材の端部)が磨かれている部分や磨かれていない部分が分かれています。こちらのパーツはL字型に工場接着された物で、黒い割りばしのようなものがはめ込まれていますが、これが石材パーツが折れたり割れないようにするための補強鉄筋となっています。
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竪の部材を全て張ってから、横のパーツを小口に載せながら張っていく順番となります。
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まだ、開口部内の黒いカラーガラスが張り上がっていませんが、黒い水磨きのマントルピースの完成です!
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正面か見るとこのようになっています。石の柄が繋がっているのが判るでしょうか?
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カラーガラスを貼った後の完成後のマントルピースです。これでUさまのお宅のクリスマスのサンタさんに間に合わせることができました!
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最後の写真はディテールです。
今回の大理石製マントルピース造作工事ですが、見積り金額としては、大理石と木製下地造作まで含んだ工事費が約100万円でそこに工務店経費が10%、僕らの設計監理費用が15%、更に消費税が加わって最終的な金額は約140万円となりました。単体で考えると、確かに高い金額ではありますが、好きな石種を選べて、デザイン(クラシカルな装飾があるタイプは無理です)やサイズをカスタマイズできることを考えると、可能性が広がる選択肢だと思っております。