Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

オーダーユニットバスのリフォーム

乃木坂U邸

一般にユニットバスは、古びてしまったら新品と交換するのが一般的です。在来工法の浴室であれば、状況次第ではありますが、浴槽だけの交換や床&壁タイルの張り替え(張り増し)なども可能なケースがありますが、マンションのコンクリート構造の中にFRP樹脂で作られた軽量なユニットバスは、後から手を加えるのが難しいが実情です。
ただ、そんな中で、オーダーユニットバスの大手である日ポリ化工が作ったオーダーユニットバスだけは浴槽交換や床の張り替えが可能なのです。

オーダーユニットバスのリフォーム

上がリフォーム前で、下がリフォーム後のビフォーアフター写真ですが、ほとんど新品のように生まれ変わっていますね。それではなぜ、日ポリの製品だけが可能なのかというと、床下の作り方が二重構造になっているからなのです。

モールディング&パネリング装飾

まずは浴槽を撤去します。浴槽下はもっとドロドロになっているのではと想像していましたが、予想よりもはるかに良い状態です。

オーダーユニットバスのリフォーム

洗い場床を撤去したことで二重床構図であることが分かるのがこちらの写真です。と言われても判りにくいのですが…。

オーダーユニットバスのリフォーム

洗面からユニットへの入り口のステンレス枠の下端をアップで写した画像がこちらです。実は防水パンと呼ばれる、水が外部に出るのを防ぐための受け皿的に働く部品と、実際に人が載る洗い場の床仕上げが分かれている二重構造になっていることが、日ポリのオーダーユニットバスの特徴なのです。
他者のオーダーユニットバスであれば、ステンレス枠の下とほぼフラットに床仕上げ材があり、そのすぐ真下に防水パンがあり、これほどの懐がないのです。

オーダーユニットバスのリフォーム

隣の部屋の壁に立てかけられていた、このステンレス製のフレームが、撤去した洗い場の床だった部品です。

オーダーユニットバスのリフォーム

その洗い場フレームをアップで撮影したのがこちらの写真です。かつての洗い場床材の御影石の破片が残っていますね。一枚の洗い場床パネルが取り外せることで、洗い場床の仕上げ材を防水パンを傷めることなく交換することができるという、日ポリ独自の仕組みになっています。

オーダーユニットバスのリフォーム

浴槽が外された様子も良くわかります。浴槽の洗い場側の腰下の壁をエプロン壁といいますが、このエプロン部分壁もステンレスのフレームで組まれています。

オーダーユニットバスのリフォーム

右側が浴槽内側から見たエプロン壁です。エプロン壁のフレームもアングル金物とコーキングで固定されているだけなので、きれいに取り外すことができるのです。今回はそのまま再利用しましたが、水栓が取り付けられているライニング部分も同じ仕組みなので、こちらも容易に取り外すことができます。

オーダーユニットバスのリフォーム

浴槽、エプロン、ライニングをすべて撤去した状態で、内壁タイル仕上げ上から重ね張りができる薄型タイルを張っていきます。以前は3.5ミリ厚のブクシースリム(アドヴァン)を愛用していましたが、廃盤となってしまったので、今回はアーバンネイチャー(名古屋モザイク)を採用しました。

オーダーユニットバスのリフォーム

この写真でアーバンネイチャーのタイルの薄さが分かりますね!割れにくいように背面にはFRP樹脂で補強されていますが、それも併せて3.5ミリの厚みなのです。

オーダーユニットバスのリフォーム

3.5ミリの超極薄タイルではありますが、ステンレス枠との取り合いでは端部が見えてきてしまうので、端部抑えのためにこのようなステンレス鏡面仕上げのアングル金物を取り付けてきれいに収まるように工夫しています。

浴槽撤去後の下地をきれいに清掃してもらったうえで、日ポリオリジナルの新品の浴槽を取り付けてもらったところです。まだライニングも洗い場床も未施工です。

浴槽設置後に、浴槽の頭側の壁のタイル施工をタイル屋さんが進めてくれています。

造作家具取付け@クラシカルハウス

エプロンパネルを取り付けて、ライニング側壁のタイルが張り終わると、きれいになってきた浴室の全容が見えてきました。

オーダーユニットバスのリフォーム

洗い場床のタイル、ライニング甲板部分のタイルを張って、水栓を交換し、照明器具を新たなものに付け替えればオーダーユニットバスのリフォームの完成です。

オーダーユニットバスのリフォーム

プロが細かく見れば、新品ではないことは分かりますが、普通の方が見たら新品にしか見えないほどの出来の良さで、お客さまのUさまもとても喜んでくださいました!
当初は、①浴室のオーダーユニットバスへの全面交換:約600~700(含む解体工事費)、②今回採用した部分交換:約280万円、③お化粧直しの美装工事:約180万円の3つを比較検討しましたが、最終的にはそれなりの費用が掛かってしまいましたが、ここまできれいになったので②で良かったとコメントしてくだいました(上記の費用に工務店の経費と設計料と消費税が掛かります)。