無垢フローリングの再活用リフォーム _オスモ塗料とボナのメンテシステムを使っての色合わせ
ヴィンテージマンションリフォームの大田区S邸は既存のリビングダイニングのフローリングが無垢オーク材のとても良い材料を使っていることが判ったので、既存を活かして、表面のワックスを剥離したうえで、再塗装することとなりました。

こちらが既存の床フローリングの状況です。住み始めてから20年近く、これまで何度もお客さまご自身でワックスがけしながら大切に使ってきたそうです。設計者として現地を拝見した瞬間から、この素材は「残して活かす価値がある」と直感していました。ただし、ワックスが所々で剥がれてムラが出ている状態でもあり、全面的に手を入れることになりました。
当初は目立たない箇所で現地サンプルとして試す計画でしたが、スケジュールの都合や、濃い色を付けてしまうと薄く戻すのが困難であることから、キッチンとダイニングの混じりき部分で不要となったフローリング箇所を剥がしてもらい、これをサンプルとして色合わせを行うことにしました。

現場では、幅3本分が繋がった状態で約80cmほどのサンプル材を用意し、手前は既存(ハゲハゲのワックス付き)、奥はワックスをサンダーで剥離した状態にして貰っています。

そしてそのサンプルを持って相談に来たのが、こちら新宿にあるオスモのショールームです。
オスモはドイツの自然系木材塗料ブランドで、植物油と天然ワックスを主体にした浸透型塗料で、木材内部に浸透して保護する塗料を販売しています。塗膜を作らず木材が呼吸でき(通気性)、木材の質感を活かした仕上げが特徴です。似たような塗料としては、リボスやアウロがありますが、今回は天然成分の配合度合い、耐久性とカラーバリエーションと価格のバランス、またサンプルを持参しての色実験ができることを考えてオスモを採用することとなりました。

きれいなショールームの奥に、このような実験室(?)があります。

壁に立てかけられた塗装カラーサンプルがありますが、派手な色味はあり得ないですし、木目をつぶしてしまうタイプのものも適していませんね。

ショールームの担当の方が見せてくださった、こちらのふたつのサンプルブックの中から候補を選ぶのがよさそうでした。その中でも、フローリングサンプルを見て貰っても分かる通り、既存のワックスや塗装された層を削っても、どうしても木管の奥やサネ(フローリング同士の連結する箇所)にしみ込んだ色は削れないので、既存の色と同等或いは濃い色味にしないとうまくいかないので、選べる色も限られてきます。ただ、同じ塗料であれば、半分半分の簡単な割合であればミックスすることも可能とのことでした。

すぐに塗装してくれるのか思っていたところ、フローリングの表面を確かめてくれた担当者が、これではまだ削り足りないので、もう少し削る必要があるとのことで、すぐにサンディングから取り掛かってくれました。現場でも、いい加減に削っただけだと色の載りが悪くなってしまうので、「サンドペーパー(紙やすり)は荒い順から80→120→180へと細かくしていき、塗膜を完全に剥離すること」との指示をしてくれました。
壁や天井の塗装仕上げでもそうですが、塗装用の下地つくりが大事なのですね!

ここからようやく塗装のプロセスが始まります。塗料が入っている缶を開けたら、まずそこまでよくかき混ぜます。そのうえで、缶から直接ではなく、小さな紙コップに塗料を出して、何度も刷毛を浸してはしごきを繰り返してから塗布するのです。

なるべく塗料を最小限にして、拭き取らないでよい程度に薄く塗布するのです(拭き取りはしません)。一度塗布してからよく乾燥させてから二度塗りをするのですが、今回は時間がないので、まずは一度塗りを実施してもらいました。

この実験室にはこのようなコーナーがあり、サンドペーパーや刷毛を洗うための液体などが常備されています。通常は塗装サンプルを作ると、かなりきつい揮発性物質に臭いが部屋中に充満するのですが、さすが天然系塗料(溶剤として精製されたミネラルオイルが使われているので「100%天然」とは言えないそうです)、塗装中にも臭いは全く気になりませんでした。

塗料を変えるたびに刷毛も変えて、塗布したサンプルの箇所に、何を塗ったかをメモをしてくれています。先ほど書いた通り、一度塗だと塗装の深みが出ないので、この日の作業としては一度塗りをしてもらいましたが、完全に乾燥させてから、二度塗りまで仕上げたものを郵送してもらうことになりました。

当初は考えていませんでしたが、既存のフローリングの塗装を剥離せずに上から塗るサンプルも最後には作って貰いました。この日は天然系塗料の特徴や、その塗布の仕方を丁寧に教えて貰い、とても勉強になりました!

そして数日後にきれいに仕上がった状態で届いたのがこちらのサンプルです。手前側の中央が既存状態ですので、どのサンプルもかなりきれいになっているのが分かりますね。

まだ白金台だった頃の事務所にSさまの奥さまに来ていただき、サンプルを見ながらどの塗装で仕上げるかを決定させていただきました。最終的に決まった仕様はオスモ・フロアカラーのテラ色(2回塗り)となりました。
塗布作業の注意点としては、
- 現場コテ刷毛で塗装(専用コテバケ、購入可能)
- 拭き取りはしないこと
- 刷毛跡が出ないくらいが適量
- 乾燥時間は12時間
- 二度塗りで完結
- テラは三分艶ありの仕上がり
オスモに慣れていない塗装屋さんだと、色ムラや液垂れが出たりするようなので、一度オスモに問い合わせて貰い、作業手順の確認をきちんとしてから作業に入ってもらうことを勧めて貰いました。

こちらが既存フローリングの研磨に入った様子です。手前の大きな機械が研磨機ですが、最初は壁際で研磨機が動かせない箇所を手持ちのサンダーで削るところからスタートです。

こちらが細かく壁際まで削れる手持ちサンダーです。機械の後ろの膨らんだ布袋部分で集塵されています。

同時並行でダイニング側は壁端部からではなく、大型サンダーで削り始めています。

こちらが大型サンダーの雄姿です(笑)!立った姿勢のまま作業ができるのと、削れる面積が大きいので、当然ながらよりスピーディーに作業を進めることができます。

そしてこちらが大型機器用の集塵機です。

大型機だけで削ると、このように壁際やタイル際は少し削れない部分が残ってしまいます。先ほど先行してリビングで使っていた小型の手持ちサンダーをこちらに入れて壁際を削ってゆく、大型機はリビング側に移して大面積を削るというプロセスで進めていきます。

こちらがリビングのサンダーのビフォーアフターです!朝からスタートして夕方までの作業で、ここまできれいに削りあがりました。

約55平米のリビングとダイニングの床材の表面を削ってでたおが屑の量はこれだけになるのです!

そして、そこからが着色です。二度塗りで、最初の塗装後12時間かけて乾燥させる必要があるので、夕方になってしまいましたが、頑張って一度目の塗装を進めてくれています。窓際のプラスチック容器が塗料のボトルとなります。
左側の職人さんのTシャツに、Bonaというロゴがありますね。機械も良く見ると同じロゴが入っているのですが、このボナというブランドが、スウェーデンのフローリングメンテナンスブランドで、環境に優しい高品質な床材メンテナンス製品(クリーナー、モップ、ポリッシュなど)やシステムを提供しているのです。塗料のオスモと同様、有害物質を含まない製品開発や、研磨時の粉塵を抑えるダストフリー方式の研磨などで知られているブランドなのです。

翌日の午前中に乾燥したことを確かめて、奥のリビングから二度塗りが始まった様子です。

そして最終的に仕上がった様子がこちらです。

陽が当たった個所をアップで撮影するとこのような風合いです。しっとりとして、深みがあるとても良い風合いに仕上がりました!