南平台のN邸の浴室には、特注でお願いしているサウナユニットが設置されることになっています。元が広い在来方式の浴室で、既存状態では広いことが肌寒く感じるような浴室だったので、余ったスペースを有効活用するために、サウナをご提案致しました。
通常のユニットで販売しているサウナもあるのですが、今回はデザイン的にもモダンでスタイリッシュにしたいとのご要望があったので、上記のような欧州のサイトでモダンデザインのサウナを研究した上で、特注でお願いすることになりました。
とは言え、サウナの機械や仕組みは簡単ではないので、お施主さまに立ち会いのもと、スウェーデンの家庭用サウナメーカーTYLO社の代理店であるオスト・コーポレーションに立ち会って貰い、まずはドライサウナとミストサウナの違い、そして実際にユニットでサウナを組み立てて貰う東京バススタイルの眞柄さんからも注意すべきことをヒアリングして貰いました。
その後、寸法的にどれだけのサイズのサウナを入れることができるか、東京バススタイルとリフォーム工事のリフォームキュー岩波さん、うちのスタッフの竹田さんとで実測しながら検討している様子です。
上記で実測した寸法を元に、まずは素案となる図面を東京バスに描き起こして貰い、浴室の他の部分との取り合い、またサウナの入り口周りの納まりを検討して、赤でチェックを入れさせてもらいました。
寸法やディテールを決めながら、サウナの内装についても2種類の木を使って、カッコ良いデザインになるようにスケッチを進めてゆきます。
工事が着工すると同時に、既存浴室は天井を剥がし、ライニング部分(浴室で水栓が設置された出っ張り部分=この部分に水やお湯の配管を通しています)の石を剥がし、水栓の移動準備を始めて貰いました。床にピンク色のテープが張られているのが、サウナを設置する位置です。
幾度かのやり取りを経て、サウナの図面も出来上がってきました。無地のスプルース材とスプルース材にミディアムブラウンの染色をして貰ったものの2種類を張り分けて、エッジの効いたデザインに仕上げる予定です。
そうこうしているうちに、早くも現場にてサウナの組み立てが始まりました。現場に行ったタイミングでは、既に壁も立ちあがっており、ほぼサウナの全容が見えていました。
浴槽内からサウナ側を見返したアングルです。座る部分をダークに着色して、少しこもった感じに仕上げ、その他を明るくして貰ったデザインです。浴室と一体的に使うので、浴槽側は全面ガラスにしています。
珍しい天井から見下げの写真です。二色の張り分けのイメージが判るでしょうか…。
職人さんが扱っているのがドライサウナの機械本体です。電源に接続するだけでなく、安全装置となる温度計との接続、また設置位置などに細かい決まりがあり、マニュアルに従いながら職人さんが取り付けてくれました。
サウナ内にもテレビを設置しているので、枠のステンレスと木の間をコーキングして貰いました。
洗面側から浴室を見た写真で、正面右にサウナの端部が見えています。ここからは浴室内部の石張りと出入り口のガラス扉移設で、きれいに納めてゆくことになります。
オーダーサウナユニットのダウンライトを点灯させた様子です。ドライサウナでは、天井付近の温度が高温になるので、一般的な照明器具を取り付けることができません。サウナの機械メーカーのTYLOのドライサウナ用のダウンライトを取り寄せて、付けて貰いました。
天井を見上げた写真で、中央の点検口を挟んでダウンライトが2灯見えます。調べた限りでは、少なくとも家庭用では、国産のダウンライトは使えないようでした。まだまだ、サウナは輸入する物で、十分に国内では流通していない感じがしました。
サウナユニットの周囲が、ラスカットで囲まれました。周囲を石張りとして、浴室と一体化させるデザインとなっています。
既存の浴室内部壁、天井との取り合いディテールです。因みに、ラスカットとは耐水ベニヤにモルタルを塗りつけたボードで、表面にモルタルが付着しやすいようにゴワゴワに仕上げている製品です。今回は石を張るための下地として使っています。天井との取り合いは、少し隙間を空けて、空気が循環するようにしています。
その後、水栓がある正面壁と合せて、グリジオカルニコがサウナ周りの壁にも張られました。
手前に見ている小壁は既存の浴室壁に合せてベージュトーンの大理石で張り、ステンレスフレームが周るサウナ周りは濃灰の大理石を張っています。
こちらが完成後のサウナです。
とにかくカッコよいサウナをとのお客さまのご要望には何とか応えることができたようで、とても喜んで下さいました!