大型マンション全面リノベーションプロジェクトの西麻布N邸は、解体工事が概ね済み、現場側が行った墨出し作業のチェックにスタッフの前田君と一緒に伺ってきました。
墨出しとは、壁や床を解体撤去した状態で、リノベーション後の間取りを考えながら、どの位置に壁下地を作ってゆけば良いかを、表しになったコンクリート躯体(くたい)に墨で書いてゆく作業のことです。
この様子を写真で見ると、簡単そうに見えますが、最終的な仕上げの寸法から逆算して壁下地の位置を決めてゆくのは、設計者のデザイン意図を良く理解した経験者の現場監督でないとうまくできない作業です。
建物には多少の歪みもありますし、現場監督の石山さんとうちの前田君が見ている竪管(タテカン:マンションの上下階を貫通している設備配管)の位置などの細かい点も考えて墨出しをする必要があります。
こちらが用意した図面通りに墨出しをしても、上記の理由でうまく整合性が取れない箇所が出てくるものなので、それらの問題点を僕らが現場で見ながら、調整してゆく作業が墨出しのチェック確認となります。
ここでは、玄関ホールからリビング入ったすぐに、どうしても部屋内に表れてしまう竪管と新しく作る壁の位置関係をどのように調整するかを相談している様子です。
一通り問題点をヒアリングした後で、それらの解決方法を考えて、現場側に伝えるスケッチ図面を描きます。因みに、机代わりに使っているのは取り外したばかりの天井裏に吊られていた隠蔽型のエアコン本体です。
こちらが、墨出し翌日に設備屋さんが天吊り式のエアコン本体を外す作業をしていた際の様子です。結構な重量がある機器なので、三人掛かりで取り外していました。
築浅のマンションではありますが、床下の給水給湯配管も古いタイプの配管材料が使われているので、ほぼすべて取り外して交換することになっています。
取り外されて、現場に整理されておかれた設備機器・配管類です。
工事騒音との関係で、工事が始まってから水回りの位置を大変更することになったことに関連して動いたガス式乾燥機の乾太くんの排気ダクトの結びなおし作業の様子です。ガス式乾燥機は高性能でお客さまからリクエストされることも多いのですが、乾燥機から外部へと続く排気ダクトの太さや長さ、さらには曲がり回数にも厳しい制限があります。今回は天井裏の梁のちょうど良い位置に貫通スリーブが空いており、そこを使ってダクトを通すことができました。
こちらは、後日設置された、新しい天井裏隠蔽型のエアコン本体です。機械のサイズがほぼ同じなので、ダクト類は清掃の上再利用し、ブリーズライン(吹き出し口)は一旦取り外して焼付塗装後に新しい位置に再設置する予定です。
床下の給水給湯管もこのようにすべて交換致しました。築10~20年のマンションでは、リノベーション時に設備機器や配管・ダクト類をどこまで交換するかが迷い処ですが、今回はお客さまの判断でほぼ全て交換となっていますので、これで安心して長く住み続けることができると思っております。