Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

照明実験&実検@千代田区M邸

千代田区M邸

ヴィンテージマンションリノベーションの千代田区M邸の現場で、照明について実験と実検を行いました。

実験は、2種類のダウンライトをルートロンの調光器でスムーズに調光することができるかについてです。

天井に2種類のダウンライトが仮吊りされています。手前に吊るしてあるのが、グレアレス(眩しくない)・ユニバーサル(向きを変えることができる)タイプのダウンライトで、奥に吊るしているのが一般的なダウンライトです。

左が全般的なダウンライトで、右がグレアレスタイプです。グレアレスは真下に立たないと眩しく感じないことが、この比較写真で判るでしょうか?カガミ建築計画では、右のグレアレスをA照明、左の全般ダウンライトをB照明と称名付けて、キッチンや水回り等で絶対的な明るさが必要なシーンではB照明を中心にレイアウトし、リビングや玄関、飾り棚周りや寝室の壁際といった、暗めの空間にスポットライトのようにドラマチックな光で演出したいときにはA照明を採用しています。

通常は、A照明とB照明は違うグループ分けをして、それぞれを別々のシーンとして設定して調光してきましたが、調光装置の一種であるルートロン(写真で箱の中に入っている黒いミニ操作盤)の価格がそれなりに高いのと、シーン数にも制限があるので、今回は実験的にA照明とB照明を同じグループに入れてスムーズな調光が可能かを現地で実験させて貰いました。

電気屋のムラデンが調整してくれたセットを使って、青の片岡社長、現場の樋口さんと石坂さんに立ち合って貰っての実験で、無事問題なく調光できることが確認できました。

こちらは、その後に行った実検の為の準備段階です。

M邸のダイニングは、お手持ちの一枚板のテーブルを少し斜めにレイアウトして、奥さまが最近手に入れることができた、富山のガラス作家、Peter Ivy(ピーター・アイビー)氏の照明を2灯吊ることになりました。

今回は、天井が本漆喰仕上げとなっており、一旦照明用のシーリングを設置すると後で動かすためには、梁で囲まれた天井面一面を漆喰塗直しとなってしまうのです。そのため、上記の図面に従った位置に仮の裸電球を吊るし、お手持ちのテーブルに見立てたベニヤ板の仮設テーブルを設けて、照明とテーブル、そして全体の空間内での照明位置をお客さまに確認して貰うことになりました。

ご主人さまが現場に来て下さり、テーブルの周りを一回りして、OKを出してくださいました。

今回は位置さえ決まれば、ペンダント照明の高さは後で調整ができるのですが、一応関係者が揃っていたので、高さについても石坂さんの調整して貰いながら確認して頂きました。

この見上げの写真では、良く分からないでしょうが、この2つの裸電球を吊るした位置に、引っ掛けシーリングを設置することが本決定となりました。
このような難しい判断をお客さまにお願いするのは、中々難しいものがあることは重々分かっているのですが、かといって、すべてが出来上がってから照明位置を調整することは工期的に無理ですし、こちらが仮決めした位置で、後からお客さまに移動して欲しいとお願いされてしまった場合の天井左官塗りの作業費用を、こちらで負担することも難しいので、お客さまにご負担になってはしまいますが、現地での実検をお願いしたい次第です。