関西I邸では、ソファが対面しテレビを置く予定の大きな壁をアクセント壁とするために、大理石を加工したサルバトーリ(イタリア)の素材を張ることとなっています。その材料が届き、いよいよ張り始めるとのことで現場に竹田さんと行って参りました。
ちょうどベニヤ板張りのまま残っている、こちら正面の壁がサルバトーリ張りの壁となります。
そして、こちらが現場で開梱されたサルバトーリの材料一式です。
前回他の現場で同じ素材を張った際には、付属の金物が思っていたイメージと違い、イタリアとやり取りをして特別に交換して貰ったことがあったので、今回は問題ないことをまずは確認させて貰いました。
サルバトーリには色々なバリエーションがありますが、今回採用したのはTratti(トラッティ)というタイプで、短冊状の大理石と金属目地が交互に入ってくるデザインの素材です。大理石は表面に細かいスクラッチ傷をわざと入れたような風合いです。
束になっているこちらが金属の目地棒です。
張り方のマニュアルのようなものは一切ないので、普通に張ると大理石を張って、目地を差し込んで、また大理石をという順番になってゆくのですが、そうなると大理石の厚みと目地材の寸法の違いで、目地棒が大理石から出っ張ってきてしまうのです。今回は大理石の表面と目地棒をフラットに納めたいので、以前の現場で職人さんたちと工夫した時の知恵を思い出して、事前に大理石裏に両面テープで目地棒を借り固定してから、セットで一緒に張ってゆくようにお願いしました。
厚めの両面テープを使うことで表面から見るとほぼフラットになるという算段です。
僕ら設計側が描いた大理石張りの壁面展開図に対して…、
現場側が施工図として描いてくれた図面がこちらです。
まずは現場に高さを揃えるための水糸を張って、図面通りに張っていきます。
こちらが壁端部の張り始めの位置です。ピンク色の水糸が良く見えますね。コーナーは左側の白いアングル金物の位置まで折り曲げて張って貰う予定です。
接着剤は二液型のBD石貼りエースです。
端部のディテールです。目地棒と大理石をセットにしていることで、フラットに仕上がっていることが良く分かりますね。
実は、今回の石屋さんは事前に玄関ホールで違うタイプのサルバトーリの加工大理石を張って貰っているのです。横張のベニヤ板の上下に張って貰ったのが、Lithoverde(リートヴェルデ)というタイプの加工大理石です。
こちらがその玄関の展開図です。コンパクトなスペースですが、色々な素材が入り混じった複雑な納まりとなっています。
サルバトーリの加工大理石は、これまで幾度か採用したことがありますが、それらの事例を纏めたブログもありますので、どうぞご覧ください。
玄関からパントリー側の展開立面です。色々なタイプの見切りで素材を見切ってゆくスタイルです。
石屋さんとタイル屋さんは職種が違って、石屋さんはタイルはあまり扱わないそうですが、今回の石屋さんはタイル張りも上手だとのこと、こちらのトイレのタイルも張って貰ったそうです。
タイルの出隅の納まり、そして引き込み扉の隙間との納まりも細かく設計した通りに収めてくれています。扉はまだ塗装前の状態ですが、仮吊り込みをして貰っています。カガミ建築計画お得意の特注引き込み扉用の金物も上手く作ってくれていますね。
キッチンからパントリーへの引き込み戸の取っ手は、ダブルで引手がある変形スタイルです。
この状態だとなぜこのようなデザインになったのかが、イマイチ分からないと思いますが、写真左側の隙間に冷蔵庫が入るのですが、冷蔵庫の扉の開き具合の関係から、冷蔵庫が壁から扉の厚みの分の7~8センチほど出っ張ってくるので、その分取っ手を差し込み口を逃げておくためにこのような変形デザインとなっているのです。
裏側のパントリー側からは普通に使えるような特注引手の施工図です。竹田さんが細かくチェックして考えてくれたディテールです。