白金台のマンションリノベーションのS夫妻がリビングと玄関に敷く、ラグを探したいとのことで、ご相談に伺ってまいりました。
日本では、折角きれいなフローリングを張ったのだからと、ラグを置かないで生活をしている方も多いのですが、リフォーム設計の修行をしたニューヨークでは、ラグ選びはインテリアにおいて相当重要なポイントと考えられていました。
大きなリビングやダイニングにラグを敷くことで、視覚的なエリア分けを行ったり、アートと同じような意味合いで、きれいな手工芸品としてのラグを敷いたり、(靴生活のアメリカでは床が固いのが一般なので)ラグの柔らかい触感で空間にリズムを付けたりしていました。
数百万円もする華麗なペルシアのシルクカーペットから、カラフルなイメージのトルコのキリム、素朴で力強い南米の敷物まで、素敵な空間と家具とコーディネートされた実例を見てきました。
今回は約40平米を広いリビングダイニングを、よりゆったりとした雰囲気の空間にしたいとのご依頼だったので、2m×3m程度の大きなラグを探すことにしました。
幾つかの候補の絨毯屋さんをリストアップしましたが、目の細やかさと質感のよさ、そして何より自然素材へのこだわりから、チャイニーズ・ラグのMUNIさんに協力してもらいました。
リビングの候補として4枚の大判の段通(段通とは手織りの絨毯のことです)を運んで貰い、実際にソファーの下にまで敷きこんで、テーブルも載せて、Sさま夫妻に実感して頂きました。
似たような色でも模様によってイメージが微妙に変化し、色の濃淡’によって空間がガラリと変わる様は、歌舞伎の場面転換のようで実に興味深かったです。
結局一枚目のベージュ地に紺色の蓮の模様を散らしたものが、一番馴染んでいるように思えましたが、まだ決め手がないので、再度ショールームに伺って拝見させてもらうことになりました。
玄関にも四枚ほどラグを敷いてもらい、こちらは二つの候補のどちらかに決まりそうです。