Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ライティングビューローを組み込んだ造作AVボード家具

渋谷M邸

タワーマンションリフォームの渋谷M邸では、リビングでちょっとしたパソコン作業ができて、お客さまが来た時には隠せるようなライティングビューローを組み込みたいというお話しが当初からありました。

こちらの写真の左奥に、木製のライティングビューローが組み込まれているのが分かりますでしょうか?

実はこのライティングビューローは、昨冬にMさまと一緒に家具選びで見学に行ったモルテーニのショールームに展示されていたものと同じものを、造作家具に組み込んだのです。中古家具を扱っているヴィンテージショップなどには色々なタイプのライティングビューロー型の家具があるのですが、どれも華奢で、ノートに鉛筆でサラサラと書き物をする程度であれば良いのですが、現代のラップトップ型コンピューターを置いてキーボードとマウスで作業するには強度が足りないのです。

モルテーニ社(イタリア)の505シリーズのこのライティングビューローは、モルテーニが金物メーカーと独自に開発した特殊な金物で、フラップダウンする机部分も、スライドアップする扉部分の金物も、目立たないデザインながらしっかりとした強度を持った優れものなのです。

こちらがテーブル部分をフラップダウンした様子で…、

こちらが、テーブルも扉も閉めた状態です。このようになっていると、この後ろにミニ書斎コーナーが隠れていることが全く分かりませんね。

ライティングビューローは奥行き寸法が400mmとそれなりの大きさとなるので、テレビボードの横にそこだけ出っ張っていると唐突に感じられるので、まずは直上に同じ寸法で、スライドアップする扉がぶつからない飾り棚を取り付けました。また、テレビボード背面部分には、フィアンドレの黒い大理石調タイルを張り、その下には、斜めにカットされた形状のカウンターを設置します。
飾り棚の左面はカーテンボックスと、そして右側は折り上げ天井のアゴ部分とピタリと合っていることで、出っ張りが不自然に見えないように工夫しています。

こちらの図面が、弊社担当の岸本さんがお客さまへの説明用に作ってくれた展開図で、

こちらは、それをベースにリフォームキューの森井さんが作ってくれた製作図です。

家具取付け職人の根津さんが作業している手前に、灰色に塗装された斜めの大きな板がカウンター材です。直線部分の下には、DVDとゲーム類を納めることができる収納を設けています。

箱の取付けが終わったら、カウンター材の裏側に補強材を入れて…、

ちょうど学校が休みだったという学生の息子さんに手伝ってもらいながら、斜めカウンター材を載せてゆきます。

鏡面塗装をされたカウンター材は上からビス留めすることはできないので、仰向けに寝っ転がって、箱の下側からビス留めしてゆきます。左側の立下り部分ともピタリと合って、重厚ながら、滑らかに見えるデザインとなっています。

ライティングビューローを組み込んだAVボード家具が完成したところで、SONYの4K有機ELテレビのブラビア77インチが運び込まれ…、

リフォームキューの現場監督の滝川さんたちが壁掛け金物に取り付けてくれました。大理石調タイル壁の裏を伝って、テレビとDVDプレーヤーを繋ぐ配線も渡して貰っています。

完成して、他の家具搬入設置も終わった段階でのライティングビューロー組み込みのAVボードです。ライティングビューローの下には、テレビ用のウーハーのスピーカーもすっぽりと収まっています。

ライティングビューローを閉じると、その存在感もほとんどなくなってしまいます。斜めのカウンターで、出っ張り感を感じさせない中で、DVD収納やウーハースピーカーを設置するスペースを確保したのが、デザイン上の工夫点でした。

ライティングビューローをあけると、自動に間接照明が点灯され、奥のブロンズ色のミラーも見えてくるので、華やかな印象になりますね。図面やスケッチで、幾度もお客さまにご説明していましたが、完成してようやくお客さまも僕らのデザイン意図が分かったと喜んで下さっています!
因みに、こちらと同じモルテーニのライティングビューローは、麹町K邸でも採用しております。その時の様子はこちらのブログに書いております。