Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ウッドショックならではの軽量鉄骨と木製下地の組み合わせ

六本木Y邸

六本木Y邸の工事が順調に進んでいます。この日は、大工さんと軽鉄屋さんが入っての工事でした。

既存は壁下地が木製下地で、天井は軽鉄(LGS)でしたが、新しく作る天井や壁の一部は軽鉄で進めて貰っています。

天井は折り上げ範囲を大きく変えること、そのためにダクト類を大きく動かしているので、ほぼスケルトンになっているので、新たな軽鉄下地を作ってゆく必要があります。

天井のコンクリートスラブをアップで見た写真ですが、赤や緑色の丸いマークのようなものがコンクリートに埋まっています。これがインサートと言われる金物です。インサートはコンクリートアンカーともよばれますが、コンクリートを傷つけずに軽鉄の下地や、エアコン、ダクトなどの設備類を天井から吊るための金物です。

インサートに合った径のツリボルトとナットと野縁受け金物をドリルで取り付けながら天井LGSの下地を組んでいきます。

軽鉄工事の特徴は、木製下地に比べてとにかく早いことです。細かい造作には向かないですが、文字通り軽量で組立てや接続用の部材が揃っているので、ビス打ちなどの手間が少ないのです。

壁下地や天井下地用の軽量鉄骨の束です。中空の素材なので、これだけの量があっても搬入が楽なのです。特に、現在のウッドショックによる木材不足の中では、有効な建材なのです。

主寝室の折り上げ天井は既にLGSで組み上げられていました。

大工さんはその間に、造作本棚が入ったり、引き戸を納めるための壁などを木製下地で作ってくれています。

玄関入って左側の壁の端部は、まだ下地状態ですが、カーブしているのが判るでしょうか?

天井を見るとカーブの具合が分かるのですが、この箇所を少しでも空間的な広がりを感じさせたかったので、カーブの壁を作って貰っています。こういった複雑な下地には木製下地材が合っているのです。

大工工事で作って貰う本棚を設ける書斎壁も木製下地ですし…、

吊りレールで一本引きの扉を納めるポケット部分もランバーコアなどの木製建材を大工さんにお願いしています。

こちらは洗濯機用の給水給湯栓を壁に埋め込んだ部分ですが、やはり細かい調整が必要なので木製下地になっています。ただし、こちらの木製下地はLGSのランナー(天井と床に取り付けるガイド的な金物)と組み合わせることが可能なLVL(ラミネーテッド・ベニヤ・ランバー)を組み込んだハイブリッド工法となっています。木材不足の中での工事で、リフォームキューの営業の坂本さんと現場監督の神成さんが建材も色々と工夫して調達してくれています。

床下地については、遮音性能のことがあるので、木製下地となります。このベニヤ板の下に、置床システムとパーチ合板(パーティクルボード)と呼ばれる木屑を接着剤で固めた建材を組み合わせた下地が組まれていますが、そのパーチ合板がウッドショックで中々手に入らなくなっているとのことでした。
床に何カ所が四角い穴が空いていますが…、

それは床付けコンセント用の孔となっております。リビングに置く家具のレイアウトを考えたうえで、スタンド照明や携帯の充電用のコンセントを壁に見せないために床付けにしています。美術館やギャラリーのようなシンプルなスッキリした空間が六本木Y邸のテーマですので、僕ら設計側はとにかく壁をシンプルにそしてきれいに見せるために、コンセントやスイッチ類はなるべく壁から消す努力をしているのです。

天井裏にこちらの配線は、窓に取り付ける電動ブラインドの配線です。今は電池式のブラインドもありますが、電池が切れた時の交換が面倒なので、なるべく配線を通すようにしています。ただ、今回は窓際に梁が通っており天井裏にスペースがないので、コンセントを埋め込むことができないのですが、現場監督の神成さんの工夫で、先に電動調光スクリーンとして採用することになっているWISのフーガの延長コードを取り寄せて、先に天井裏に仕込んでおいて貰ったのです!

まだ決まっていないディテールや今後の工事の流れを、神成さんと弊社の設計担当の前田君が綿密に打ち合わせてくれています。