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プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

オーダーキッチン屋さんの活用の仕方

品川区Y邸

比較的ゆっくりなスピードで進んできた品川区Y邸のリフォームですが、重要な要素であるキッチンの中身を詰めるために、Y様と一緒にオーダーキッチンのリブコンテツと幾度かの打ち合わせを行って参りました。

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初回の訪問では、ショールーム内にあるキッチンサンプルを全て全て見学させて貰い、それぞれの特徴を説明して貰いました。こちらにいらっしゃるお客様が、どのキッチンに興味を持っているかや、事例が掲載された雑誌なども見せて貰い、どのようなことが得意で苦手な部分はどんな所なのかを、じっくり説明して貰いました。

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実際には、もう1社ショールームを見学し、展示キッチンの内容や担当者との相性で、後日こちらのリブコンテンツが良いだろうと仮決定させて貰いました。一般的には、とにかく数社を訪問して、見積りを比較して一番安いところで決定という流れが多いようですが、ショールームに展示しているキッチンが、そのオーダーキッチン屋さんのフィロソフィー(考え方)を一番現しているのですから、どんな特徴があるのかをじっくり見極める必要があり、さらにどのような担当者がついて、どこまで一緒に考えてくれるかも大きなポイントだと考えています。

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また、今回のように設計者が既に決まっているなかでオーダーキッチンをお願いする場合は、お施主さまと設計者がその段階までに詰めてきたリフォーム内容をどこまで理解してくれるかを見極めることも重要です。キッチンだけ単独での使い勝手だけでなく、洗濯時の動線がどうなるか、またリビングから見えるキッチンのデザイン、他の造作家具とのバランスなども説明したうえで、キッチンの提案をして貰います。

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2回目の打ち合わせはリフォームする現地で、現在のキッチンを見て貰いながらでした。まず今のキッチンをどのように使っているのか、便利で気に入っている点や不満に思っている点などをYさまにザックバランに説明して頂きました。現地を見ての打ち合わせは、それに合わせてお施主様が過度にキッチンをきれいに見せようと、きれいにお掃除し過ぎてしまうことも多いのですが、そうなると既存キッチンの問題点が見えにくくなってしまうので、嫌がっていたYさまを説得して、なるべく普段使いのキッチンの様子を拝見させて頂きました。設備関係では、排水管の配管ルートやダクトの排気ルート、電源の通し方なども一通り見て貰いました。
この段階で担当者とお施主様がどこまでフランクに調理や片付けの問題を話ができるかも、オーダーキッチン屋さんを選ぶ際の大きなポイントになります。因みに、この時は男性の設計者がいると本音が聞けなくなる可能性もあったので僕は不参加とし、リブコンテンツの田原さんと大江さん、うちのスタッフの竹田さんで女性だけの打ち合わせと致しました。

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3回目の打合せは、2週間後で再びショールームに戻りました。ここまでの調査・ヒアリングで作って貰ったキッチンプランを見せて貰いながら、キッチン提案側が気が付いた使い勝手の問題点や、新しいキッチンの魅力を語って貰いました。同時に、概算での見 積りを作って貰い、どの部分に費用が掛かりそうかも説明して貰いました。ここで、どこまで細かく考えてくれたのかも重要なポイントなります。

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シンク横に置く水切りラック、シンク内の洗い桶、洗剤やスポンジの置き方、更にまな板の収納場所については、特に時間を掛けて話し合いました。上記のスケッチは実際にどのように調理道具が並ぶかを、スタッフの竹田さんが判りやすく説明したもので。内部の収納システムなどは、写真やイラスト入りでとても分かりやすく表現されていたので、Yさまも良く理解できたと喜んでいらっしゃいました。

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キッチンカウンターの高さや、通路の巾は何度も確認して貰います。ここでは、打合せテーブルを移動させて貰い、キッチンの通路幅をショールーム内に再現して、振り返っての使い勝手や引き出しや扉を開けた際の巾の感覚を確かめて頂きました。カウンター高さは90センチ(因みに実際の使い勝手からではなく、計算で算出する方法もあります。身長÷2+5センチという計算式です)で、通路幅は85センチ(こちらは使い勝手だけでなく、設計側で考えているリフォーム内容との絡みもあります)と決まりました。

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4度目の打合せは材料の決定です。見積り内容も各打合せの度の増減で大分詰まってきたので、目標費用を見ながら、仕上げに見えてくるカウンター材や面材の素材と色味を決めてゆきます。この時点でフローリングはリフォーム計画から決まっているので、これをベースとして、リビング側に面した2段カウンターの上は、タモ集成材で白拭き取りにウレタン仕上げとなりました。二の字カウンターなので、シンク側は軽やかに見えるようベージュトーン、ガスレンジ側は黒い機器とマッチするように濃灰トーンの人工大理石となりました。一番議論が盛んになったのが扉の面材でしたが、費用面から天然の突板は諦めて、メラミンの中から白と軽やかに見える木目を選ぶこととなりました。次回の打ち合わせはTOTOやリンナイなどの設備系ショールームで、水栓やガスレンジ、レンジフードなどの使い勝手を確認して頂くこととなっています。

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