ヴィンテージマンションリフォームの大田区S邸のオーダーユニットバスの組み立てが始まりました。

今回のプロジェクトでは、元浴室があった場所と全く同じ場所にユニットバスを組む計画となっています。元の浴室は広くて(広すぎる?)壁がカーブした変形の空間で、在来工法浴室だったため冬は特に寒く、木製の扉は下部が腐ってしまっていました。
この写真の奥に見えているタイル張りの壁が元の浴室の壁でした。

弊社がオーダーユニットバスをお願いする際は、もっともよくお願いしているのが東京バススタイルさん、その次が今回お願いしているヴェルデさんとなります。ヴェルデの社長の立花さん(写真左奥の眼鏡を掛けている方です)は、元高級浴槽ブランドのジャクソンのスタッフだった関係で、ジャクソンの浴槽を入れるときにかなり安い金額で見積りを出してくれるのです。といっても選んだ理由はそれだけではなく、当初はジャクソンとつながりがあるGIGIのクローゼットを採用する予定だった(最終的には使わないことになってしまいましたが)こともあってお願いした経緯があります。

オーダーユニットバスの組み方については、以前のこちらの記事でもかなり詳しく説明させて頂きましたが、防水パンと呼ばれる水を下にこぼさない水受けトレイ(FRP樹脂で都度サイズオーダーで作る)と浴槽、壁材と天井、そして入り口のサッシから構成されます。
防水パンは小さい浴室であれば1枚で作ることがありますが、今回のような大型サイズとなると、マンションへの搬入のことや設置の簡易さから、2枚に分けて作ることがほとんどです。最初の写真でも洗い場部分の防水パンがすでに設置されていますね。

防水パンの脚の部分をアップで見た写真です。特にこちらのパンは浴槽が置かれる部分なので、パンの下に構造的なリブが入っており、そのリブにがっちり金属製の脚が固定されています。床下の不陸に合わせて、脚の高さを調節できるような作りになっています。右奥の丸い部分は排水トラップ(排水口で、下水の臭いが室内に戻らない構造になっている部分)となります。
ベニヤ板で塞がれた2か所に穴が開いていますが、そこから脚の高さを調整したり、排水管を接続したりできる点検口的なものとなっています。

こちらは他の部屋に置かれていたジャクソン社の浴槽です。カガミ建築計画ではヴェンティとネオ・ヴェンティをよく使わせて頂いていますが、今回はヴェンティです。どちらの半身浴が可能で、背の高さに差があるご夫妻の場合にご推薦させて頂いております。

こちらは壁パネルやサッシ枠の部品です。

翌日のオーダーユニットバスの様子です。既に防水パンが二枚組み込まれて、壁パネルとサッシ枠と窓枠、そして天井パネルまで組み立てられていますね。トラバーチン柄の壁タイルから線が一本たれていますが、これは追い焚き等をコントロールする給湯リモコン用の配線です。

防水パン2枚の嚙み合い部分です。まだシールが打たれていませんが、2枚のパンが握手をするようにしっかりと組み合わせられて、隙間から水が漏らないように作られているのです。

こちらは2枚の防水パンの噛み合わせ部分を外側から見たところです。

窓サッシの枠の様子です。白いビニールで養生されていますが、ステンレス鏡面仕上げの枠となっています。今回は、窓サッシ枠の外側(と言って洗面側なので内部です)に壁位置を合わせて同じトラバーチン柄のタイルを貼るデザインとしています。

こちらは天井パネルです。青い養生シートが張られていますが、3枚のパネルの構成です。奥の四角い穴は浴室暖房乾燥機を設置する開口で、その左右の丸穴は浴室用のダウンライト照明を設置する穴、手前の四角は天井裏で浴室暖房乾燥機を接続するための点検口です。

シャワー水栓やカランが付く側の壁です。壁中央部分が白くなっているのは、壁タイルとフラットに鏡を張る箇所です。下に水とお湯の立ち上がりが来ています。ここにライニング(立ち上がり壁)を作ってシャワー水栓等を後で設置することになります。

既存の2つの窓は活かすことになっているので、オーダーユニットバスにも2か所の開口が空いています。ユニットと言われるだけあって、基本は部品のほとんどを工場で作って、現場作業は組み立てだけとなるのですが、既存の窓サッシとピッタリ合わせないといけない部分については、現場での加工となるので、まだサイド壁が作られていません。
奥に見えている既存浴室の壁位置から見ると、新しいオーダーユニットバスの壁位置が10センチほど内側に入っており、狭くなっています。しかし、ほとんど断熱材が施工されていない外壁と、元の浴室の内側のタイル壁が冬の寒さを貫通させていたのに対して、新しいオーダーユニットバスの外側に空気層を作ることで、寒さを遮断することができるのです。

ほぼ組みあがった状態のオーダーユニットバスです。まだ、奥に見えている二つの窓側の壁タイルが張られていないこと、水栓類や照明、浴室暖房乾燥機等の設備が設置されていないこと、浴室の手前側の壁や枠が仕上がっていませんが。

手前側の壁や枠の施工は、実はヴェルデさんのお仕事ではなく、工事全体を請け負っているリフォームキュー側の工事となるので、弊社担当の竹田さんとリフォームキューの現場監督の大阿久さんが枠の仕様について打ち合わせをしている様子です。

そしてまた1週間後に現場に来た際には、内側の木製枠がこのように仕上がっていました。最後に浴室の枠と同じステンレス鏡面仕上げの枠でカバーする形になります。