Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

新築マンション設計変更オプションと引渡し後リフォームのメリット・デメリット

港区R邸

新築マンションをお引渡し直後から解体工事に入っている港区R邸プロジェクトですが、工事会社のリフォームキューの担当の坂本さんから解体が完了したとの連絡があり、現地の様子を拝見してきました。

きれいな状態のあの新築のマンションが、ここまで解体されていました。一般に建物を建てることをサポートしてきた建築士としては、まだ誰も一度も使っていない新築の内装を全て取り壊すことには、倫理的な問題を感じないと言えばウソになります。

ただ、これまでにも幾度か新築マンションの設計変更(建築オプション)工事という範囲の中で、お客さまの間取り変更やインテリアをお手伝いしたことがありますが、売り手側の論理の中で、決められた厳しい期限内に、マンションデベロッパーとゼネコンと(施主側で選ぶことができない)インテリアコーディネーターとの打合せで、好みの内装を考えてゆくことの難しさは想像以上のものだと感じてきました。その観点からすると、今回の僕らのお客さまが、敢えてマンション完成まで待って、その間に自分たちの好みを分かってくれるインテリアデザイナー(僕らのこと)とリフォーム工事会社を選んで、自分で設定したスケジュールに沿って、家具選びと同時進行で、好きなデザインをじっくり考えてゆくという選択をしてくださったことに応えたいと思っています。

新築の設計変更オプションでの間取り改変と、マンション完成引き渡し後のリフォームの簡単な比較をしてみると、以下のようになると思っています。

新築設計変更オプションのメリット

  • マンションの竣工引渡し時に希望した間取りとインテリアの部屋を手に入れることができる(スケジュール)
  • マンションデベロッパーと施工会社からのアフターサービス保証を受けられる(メンテナンス)
  • 自分で設計者やリフォーム工事の施工会社を探す必要がない(ワンストップサービス)
  • リフォーム工事申請や、近隣挨拶といった手間がない(手間の省力化)
  • 一度作ったものを壊す必要がない(省エネ)

新築設計変更オプションのデメリット

  • デザイナーを選ぶことができない(登録デザイナー制)
  • 打合せ回数やスケジュールが建て主側のコントロール下で厳しい(スケジュール)
  • デベロッパーとゼネコンにお伺いを立てながら進めるので、プロセスがもどかしい。特にゼネコンとは直接打ち合わせができないのに、デザイナーと考えた案を却下されることが多々ある(プロセスの複雑さ)
  • 水回りの移設や間取りの大変更などには対応してもらえないことがある(間取りの制限)
  • 希望する設備や素材(特に天然系素材)を使うことができないことがある(設備・材料の規制)
  • 相見積りを取ることができず、費用が割高に感じられる(コストの割高感)

 

以上のことを全て裏返すと、マンション完成後にリフォームしたことのデメリットとメリットになります。

完成引き渡し後のリフォームのデメリット

  • マンションの竣工引渡し時からしかリフォーム工事が始められない(約2~4か月の遅れ)
  • マンション販売会社と施工会社からのアフターサービス保証が受けられない(その代わりにリフォーム会社からのアフターサービスとなる)
  • 自分で設計者やリフォーム工事の施工会社を探す必要がある
  • リフォーム工事申請や、近隣挨拶を経ての工事になり、時に隣家や下階の居住者から引っ越したばかりのタイミングでの工事騒音でクレームになることもある
  • 一度作ったものを誰も使わないうちに壊すことに対しての倫理的な罪悪感がある

完成引き渡し後のリフォームのメリット

  • リノベーションが得意な建築家やインテリアデザイナーを自分で選ぶことができる
  • お引渡し後の工事となるので、お客さま側のスケジュールで変更設計や工事工程を組むことができる。
    (事前に部屋の詳細図面を手に入れることができれば)建物竣工時までに設計内容を詰めて、引き渡し直後からの工事開始も可能
  • 自分が選んだ設計者とリフォーム会社との直接打ち合わせで決定してゆくことができる
  • 法規的なことやマンション管理規約を順守する必要があるが、水回りの移設や間取りの大変更などにも対応が可能
  • 希望する設備や素材を使うことも設計者とリフォーム会社との直接打ち合わせで採用してゆくことができる
  • 相見積りを取ることが可能で、工事会社との金額交渉も可能で、内容と金額双方を理解しながら計画を進めてゆくことができる

新築での設計変更オプションと完成後のリフォームのどちらを選ぶかは、当然人それぞれの考え方や事情によります。
ただ、最近お客さまからのご依頼でアドバイザーとしてお手伝いした新築マンション(新築価格で3億円以上の豪華億ションです)の設計変更では、とにかくスケジュールの制限が厳しく、お客さまとデザイナーと僕らで仮決めした内容が2~3週間後に(施工上の難しさやメンテナンスの問題という理由で)却下される中、僕らが良く使っている素材を使うこともできず、思い入れのあるキッチンの変更もオーダーキッチンを採用することができず、ゼネコンの下請け設備会社の貧弱な資料の中からしか選べず、その上最終的に出てきたオプション金額は数千万円になってしまった経験があります。その時のお客さまは、お引渡し時に希望の間取りになっていることが最優先だったので、完成後のリフォームを選択する可能性がありませんでしたが、キッチンが思い通りにできなかったことや、それほどの素材を使えなかったのに、予想以上の費用になってしまい、それだけあれば、完成後にリフォームしたほうが安いのではと思えて仕方がありませんでした…。

今回の港区R邸では、お客さまがどのように悩まれて、考えた結果、僕らに新築お引渡し後に解体しての全面リフォームをご依頼なさったかの説明は僕らが説明する立場にはありませんが、工事は着々と進んでおります。築年数が経ったマンションのリフォームと比較すると、新築マンションは床下や天井裏の設備配管が新しく、ほぼ設備図面通りに施工されていることで、計画を立てやすいというメリットがありますが、今回もまさに図面通りに丁寧に設備配管が施工されていました。水色の管が給水、ピンクが給湯管、灰色と茶色の太い管が排水管で、緑が床暖房用給湯管、オレンジは床下の電気配線用のCD管です。ダウンスラブ(床下の構造コンクリートの床の段差)位置も正確で、設備移設には全く問題ないかことを確認することができました。

こちらは天井裏の空調給排気関連のダクト類を見上げた斜視にです。これも複雑に絡んでいますが、確認してゆくとほぼ図面通りでした。

天井裏に見えるコンクリートにオレンジピンク色の泡のようなものが吹き付けられていますが、これは断熱材です。こちらの部屋は最上階住戸(ペントハウス)なので、外壁側からの返し部分だけでなく、熱橋(ヒートブリッジ)になりやすい梁の部分にも断熱材が吹かれていました。
一つだけ当初の図面から読み取れていなかったことが、梁の位置でした。なぜかトイレの天井の裏には梁が2本通っており、天井埋込のダウンライト照明の位置と換気扇の位置を変えることになりました。また、この梁が玄関ホール上にも伸びており、天井の折り上げの形を変更することになりました(お客さまには事情を説明の上、ご了承済みです)。

寸法的にシビアな来客用トイレ回りの箇所は、リフォームキューの営業&設計担当の坂本さんと、弊社の担当スタッフの前田君で実測しながら、設計方針を定めてゆきました。

元の間取りでは大きな一室だった主寝室ですが、息子さんの部屋を作るので、二つに分割することになっています。新しい主寝室と息子さんの部屋の間仕切壁は防音対策をきちんと取って欲しいとのご依頼がありました。天井裏を見ると、二つの部屋を仕切る場所に色々なダクトや配管が通っていることが分かったので、それらのルートを全て廊下経由に変えて、間仕切壁を貫通する孔の数を最小限にして、遮音性能を高める工夫をすることも決めました。

ウォークインクローゼットを作る予定の箇所の外壁側には、ベランダの給湯器への貫通孔があり、給水給湯、ガス管&床暖房の配管が多数通っていました。元の状態では、大きなPS(パイプスペース)が確保されていましたが、不要な部分は削って、少しでもウォーク・イン・クローゼットの収納量を確保できるように、現場監督の織田さんと相談させて貰いました。

 

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