Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

大理石の殿堂アントリーニ@関ヶ原石材のルール

千代田区M邸

アントリーニとは、イタリアの希少かつラグジュアリーな石材を扱う唯一無二なブランドです。以前ニューヨークの石材街を探索した際にも、アントリーニブランドのことは聞いており、港区R邸プロジェクトの際にもイタリアから有償でサンプルを取り寄せたことがありました。そのアントリーニ社が、日本を代表する岐阜県の石材会社の関ヶ原石材と提携して、大規模なショールーム、関ヶ原アントリーニ・ストーンギャラリー作ったことは営業に来てくださった関ヶ原石材の黒田さんから話を聞いておりました。

天然石に強いご興味を持っていらっしゃる千代田区M邸のお客さまにアントリーニのカタログやウェブサイトをご案内したところ、ぜひ一緒に見学に行きたいとのことで、関ヶ原石材と施工をお願いする予定のキダマーブルの齋藤副社長にお願いをしてツアーを組んで貰いました。

関ヶ原石材に来るのは、もうかれこれ6度目くらいでしたが、今回は門外不出のアントリーニ・ストーンギャラリーを拝見させて貰うとのことで、緊張感が高まります。因みに関ヶ原石材は、イタリアのアントリーニ社とほぼ同じ規模の会社で、敷地面積も売上高も同等で、アントリーニ社から一緒に組みたいとの声掛けを貰っての取り組みだそうです。
この写真は、関ヶ原石材の敷地内を新幹線が通っているのが珍しく、ちょうど新幹線が通ったタイミングのもので、深い意味はありません…。

アントリーニ・ストーンギャラリーには、普通の石材屋さんとは違ったルールがあり、まずは事前にその説明を受けました。
・内部での写真撮影は基本的に禁止であること(ただし、購入が決まったものについては撮影が許可されるようでした)
・気に入った石材があっても、取り置きはできないので、購入することでしかその石材を確保することはできないこと
・置いてある石材を現品で売るシステム(通常はイメージだけを伝えて、柄や色目の良さそうなものを在庫や国外から探して貰うことが可能)となっていること。ただし、現物在庫が必要枚数に対して不足している場合はイタリアから新規調達は可能とのこと
・石材はスラブ(板状になった石材で、通常は長さが~3m×幅が~2m弱で厚みが2~3センチ程度)売りで、部分的に購入することはできないこと
以前中国の福建省に石材探しに出かけた時と似ような売り方でした(中国では写真撮影は自由でしたが…)。


当日は、お客さまのMさまご夫妻とカガミ建築計画からはプロジェクト担当の前田君と岸本さんと各務、そしてキダマーブルの齋藤さんと施工をお願いする予定のアジアングラニットの池田さんの計7人が、関ヶ原の担当の中西さんに案内して頂きました。まずはギャラリーに入って一つひとつの石材を説明を受けながらゆっくり見ている間に、Mさまの奥さまだけは一人、気に入らないものは全く目にも入らないようで、一気にサーッと歩いて行ってしまいました!説明も聞きたいし、奥さまのことも気に掛かるので、岸本さんに奥さまについて行くようにお願いした後、ゆっくり進んでいったところ、しばらくして岸本さんが戻ってきて、2つ奥さまが気に入った石材が見つかったとの報告をしてくれました。
一つがこちらの石材、オイスターホワイトです。キッチンのアイランド部分の天板の候補として良さそうだとのお話しでした。因みに、撮影禁止の石材をブログ用に撮影しているということは、この時点でもう関ヶ原石材とキダマーブルで下打ち合わせをして貰い、大よその末端価格(笑)を計算して貰い、Mさまご夫妻にご購入の判断をして頂いているので、撮影許可がおりたという次第です(因みに支払いは中国のように現金払いではなく、キダマーブルから関ヶ原に購入依頼を出す形でOKで、もし万が一購入しないことになった場合はMさまがそれに相当する額をキダマーブルに支払う形でご了承頂いております)。

もう一つがこちら、アイリッシュグリーンでした。こちらは、とにかく好みの石材なので、具体的にどことは決まっていないが、どこかに是非使いたいとのご意向でした。

まずはオイスターホワイトの柄の良さそうな部分をキッチンの天板に使った場合、どのような石取りができるのかをオレンジ色の養生テープを使って検討してみました。

Mさまの奥さまと図面を見比べながら考察中です。スラブ買いなので、残った部分をどこかに使えないかも同時に考えた所、うまく石取りすれば来客用トイレの手洗いカウンターとキッチンの家電調理器置き場のカウンターにも使える部材を取れそうなことが分かりました。

とても不思議な色味の石材ですが、奥さまが大好きな白とグレート淡いグリーンがすべて入っており、仮決めとなっているフローリングとの色味のマッチングもとても良さそうです。

アイリッシュグリーについては、玄関のタタキ部分に使ってはどうかというご提案をさせて頂いたところ、「それは良い、是非に!」とのお話しとなったので、タタキの面積分を四分割で取り、さらにタタキ部分の巾木立上りや玄関ニッチにも取れそうな石取りを考えてみました。ここまで決まっていた玄関のタタキに使うには、すこし面積が足りないので、石取りの発想を変えて何かできないかと考えていたところ、前田君からそれなら反対の発想法で、玄関タタキの面積を石に合わせて減らせてはとのアイデアが出て、皆納得の上でそのように変更することになりました。

折角なので、まずはアイリッシュグリーンの前で記念撮影をし、

再度オイスターホワイトの前でも記念撮影を致しました。実は、これは単なる記念撮影だけではなく、訪問した人物と購入が決まった石材を一緒に撮影することで、後日現場に届いた石材が間違えたものでないことを確認するための資料でもあります。

そして2時間ほどストーンギャラリーを堪能して、外部に出た所で手伝ってくださった関ヶ原石材の女性陣と一緒に晴れ晴れしい顔での記念撮影です。こちらは本当に意味のない(笑)、ただの記念写真です。アントリーニのギャラリーだけで、1400平米もあるので、人によっては丸一日ギャラリーに籠ってしまうお客さまもいらっしゃるとのことでした!

折角の機会ですので、Mさまご夫妻には関ヶ原の通常に販売している石材スラブも見て頂きました。

超高級石材のポルトロです。アントリーニにも良いものがありましたが、こちらの物もそれに負けず劣らずの良品でした。

やはり超高級石材で、イタリアのハイブランドが挙ってテーブル天板などに使っているサハラ・ノアールの素晴らしいスラブもありました。ただ、アントリーニのギャラリーでは、高価なものは高価っぽく見せるプレゼンーションでしたが、関ヶ原の石材置き場ではあまりにさりげなく、他の石材との違いも分からないような形で置かれており、ブランディングされた石材との差を感じてしまいました(ただし、関ヶ原石材でも在庫している希少な石材スラブについては、将来的にアントリーニとは別の新たなブランディング展開の検討をしているそうです)

日帰りツアーの最後は、大垣市にあるアジアングラニットの事務所によって、当日決まった内容を整理させて頂きました。Mさまご夫妻もとても良い石材を見つけることができて、とても嬉しでそうでした!
丸一日を掛けての長い視察&お打合せに同席して下さり、どうもありがとうございました。

そして最後のこちらのスケッチ図面は、購入が決まった石材のより正確な石取りを前田君が纏めてくれたものです。これまで、キッチンカウンターの素材が決まらなかったことで、素材の決定ができていない個所が残っていましたが、これでスムーズに決定してゆくことができそうです。