Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

大型ブラックキッチンの組立て-1

渋谷R邸

インスタなどでお馴染みの日本離れした、大型のブラックキッチンの組立てが渋谷R邸で始まりました。

まだ、アイランドキッチンに黒い大理石柄のタイルが張られていないので、真っ黒には見えませんが、背面壁全面を埋めるトール収納(床から天井までの一繫がりの収納)から、まずはサイズの大きさと黒さの度合いが判るでしょうか…。

背面収納は、ビルトインの設備機器や扉、引き出しもまだ入っていないスケルトン状態ですが、手前から引き出し式パントリー収納、引き違いの扉収納、アイレベルのビルトインオーブン、リープフェルのビルトイン冷蔵庫と冷凍庫とワインセラーが並び、その奥に収納扉付きのドリンクコーナー、最後にまた引き出しパントリーが入るという、超大型背面収納です。

扉で多少の調整はできますが、まずはこの箱部分の精度がきちんと出ていることが重要なのですが、このように真横から見て、ほぼズレが見えませんので、組み立ててくれている職人さんたちの丁寧な仕事ぶりが分かります。

収納扉付きのドリンクコーナーの組立ては、特に垂直水性が重要で、少しでも歪むとすぐに扉が開かなくなるので、慎重に組み立ててくれています。こちらはカウンダ―はクオーツストーンで上部にはガラス扉のワイングラス入れが入って、吊り戸にも吊り戸下にも間接照明が入るリッチな作りとなります。

収納扉の取っ手は、出っ張っているときれいに収納できないので、フラットに仕上げる必要がありますが、他の取っ手とデザインを合わせたかったので、この写真のように扉に引手のステンレス丸棒を埋め込んだ特注の取っ手を作って貰いました。

現場に立て掛けられていた収納扉の裏面です。ツヤの度合いは違いますが、裏面もきちんと塗装で仕上がっています。

大型の扉で重要な要素が、この「反り留め(ソリドメ)」と呼ばれる金物です。戸尻(扉の吊元側)は丁番等で調整できるのですが、戸先(扉の吊元と反対側)は湿気等のことで扉が歪むと、フラットな面として揃えることができなくなるので、地味ではありますが重要な要素なのです。

シンクやガスコンロが入る手前の大型アイランドカウンターも箱はほぼ組み上がっています。

シンクが入るべき箇所には、床から給水と給湯管が達が合っており、カウンター甲板にセットされたシンク裏で接続を待つばかりです。

この複雑な形をした金物は、フラット引き違い扉の金物です。通常の引き違い扉は、閉じているときに2枚の扉が段違いになってしまいますが、この金物を使うと、閉じているときにはフラットながら、引き違いが実現できるという優れものなのです!

アイランドカウンターの端部に空いているこの四角い穴は、最後に仕上げる大判タイルを内側から引き寄せるための工夫だとのことでした。

キッチンをお願いしているアルノの鵜飼社長が現場に来てくれていたので、副所長で担当スタッフの前田君が細かい取り合いのことを相談しています。

アルノが特注で黒を作ってくれたコンセントカバーです。これを…、

シンク手前のフィックス扉部分に取り付けることになるそうです。

こちらのやはり特注で作った黒いグリルは、ビルトイン冷蔵庫の上部の換気グリルだとのことでした。

カウンター上に置かれていた、この謎の道具のことも聞いたところ…、

キャビネット箱下の脚の高さを調整するための道具と教えて貰いました。

これは造作家具屋さんでも良く見ますが、厚み調整のフィラー材です。これもキッチン屋さんはきれいに整理しておいてありますね。

まだ、これだけのキャビネットや引き出し類を組み込んでゆき、

更にはアイランドカウンターの大判タイル張りもあるので、まだまだ気が抜けないとのことでした。

サイズ的には大きなキッチンのお手伝いをしたことは幾度かありますが、ここまで黒くてスタイリッシュなブラックキッチンを作るのは初めてなので、完成がとても楽しみです!