マンションには珍しく、本物の薪を燃やせる暖炉がついている西麻布N邸ですが、当初のままのデザインではリフォーム後のインテリアと合わないので、こちらも暖炉リフォームをすることになっています。これまでは露出になっていた箇所を大きな大理石のスラブで塞いで、モダンなマントルピースデザインにしようとの話になっております。
このコラージュ写真の赤く記された箇所に用いる大理石の候補を探しに、岐阜県大垣市から関ケ原市近辺にある石材屋さん巡りに行くことになりました。
この部分の石工事の施工をお願いしてる鈴木大理石の成沢社長にお願いして、4か所の石材倉庫巡りに付き合って頂きました。
当初のイメージでは、元麻布I邸のテレビボードの背面に張って貰ったような、黒い素地に白くシャープな線が何本か入っているようなネロマルキーナ(スペイン産大理石)を候補に考えていたのですが、岐阜に行く前から、白い線が多かったり、黒が黒くないものが多いので、簡単には良いものが見つからないのではと言われておりました。こちらのサンプルは白い線が多すぎで、
こちらのスラブは、白い線が繊細過ぎる感じでした。
とはいえ、時間が限られた中で探してゆくので、黒の素地の美しさからこちらのスラブを一つの候補とすることにして、成沢さんと測量しながら、どの部分の使うのかをテープでマーキングしてゆきました。ひとつ前の写真は、実はそのマーキングを終えた後の写真です。
磨き仕上げの大理石スラブは、倉庫の照明や窓からの自然光が映り込んでしまって、なかなか本当の石の柄を撮影することができないので、石材屋さんに無理をお願いして、立てかけてあるスラブ材の上に載らせてもらい、写真撮影してみました(本当は危ないのでダメですね…)。
上から撮影すると、これまでの写真とは違って、映り込みのない比較的きれいな写真が撮影できました!
その他の倉庫でもネロマルキーナ、似たような柄のネロクラウン(中国産大理石)を見て回りましたが、なかなか良いものがありませんでしたが…、
この業界でナンバーワンの在庫数を誇る関ケ原石材の倉庫を回っていたら、漆黒のベースに白くシャープな線が走っている素晴らしいネロマルキーナが何枚も並べてありました!
ところが、残念ながらすべてが売却済みのものでした…。ちょうど他の設計事務所の検品中だとのことで、指を咥えて眺めてみたところ、偶然知り合いが検査チームの中にいたので声を掛けてみたところ、やはりそちらで取り組んでいるプロジェクトでも僕らが考えているような大理石スラブを長い間、探していたそうです。ところが国内ではどうしても見つからないとのことで、数か月前に中国のアモイ近郊にある大理石スラブの集積場を見て回って理想のものを見つけ、国内に輸入されたものを最後に検品に来ていたそうです。
黒ベースは国内で探すのは難しそうだとのことが、上記のことからも分かったので、発想を変えて別の色で魅力的に感じる大理石スラブをすることにしました。こちらは強く大きな柄が入ったアラベスカート(イタリア産)です。柄が大胆でかっこよかったのですが、白地の部分が黄ばんで見えるのが残念だと感じ、候補には挙げませんでした。
こちらはベース色はブラウンですが、きれいな白線が走っているサボナ・ブラウン(トルコ産)でした。素地のブラウン色の部分がきめ細やかで、美しかったので候補に挙げることにしてマーキング作業もさせて貰いました。
最後に見つけたのが、こちら金色(黄色?)の斑が印象的なムルシア・ブラン(トルコ産)でした。ここまで2つ候補に挙げてきた大理石スラブは、全体に癖がなくシャープなイメージのものでしたが、このスラブを見た瞬間に、もっと癖があって一枚の絵画のようなものも良いのではと考えが変わりました。
とはいえ、結構強い柄と色なので、その特徴的な部分を接写するとともに、似たように色が変化したサンプル材の手配を成沢さんにお願いしておきました。
これは奥まったところにあったムルシアブランのスラブ材をクレーンで吊り上げて、より模様や色を確認しやすい位置に移動してもらっている様子です。
日帰りの岐阜ツアーから戻って、すぐに写真を整理して、候補に挙げた大理石の特徴と張り方を資料に纏め、
展開図のマントルピース部分にコラージュしてみた図面を作って、まずはお客さまにメールをお送りして、次回の打ち合わせで石材を決定する段取りと致しました。