リフォームとリノベーションという言葉、どちらも既存建物の改装や増改築を指す言葉ですが、実は明確な違いはなく、色々な会社や建築家が違った思惑で使っている言葉のようです。
リフォームという言葉は早くから使われているので、一般名称として広く認められていますね。建築的には
- 改築(面積は変えずに間取りの変更)、
- 改装(内外装の模様替え)、
- 増築(床面積を増やす工事)、
- 修繕(設備修理や雨漏りの修繕)、
- 耐震(地震に対する構造補強)
等が含まれていると考えられます。しかし、元のREFORMという英語は、社会制度や政治等の改良、改善を意味しています。
リノベーション(RENOVATION)は、英語では建物修繕、改善、刷新を意味し、実は日本の「リフォーム」という言葉にほぼ相当します。しかし、日本ではこちらが後発で、まだ馴染みがないので、リフォームを内装模様替え(壁紙の貼り替えや床の張替え)や設備刷新(キッチンやトイレの交換、エアコンの付け替え)として、リノベーションを全面的な改修で、新築時以上の価値を建物に持たせる計画として使い分けている会社や組織があるようです。
リノベーションをいう言葉を、リフォームを超える新しい考えとして提示したいリノベーション派の人たちがいるのに対し、リフォーム派の巻き返しもあります。構造のみを残し(時に補強も含む)、内外装や設備を全く建物として再生させる計画をスケルトン(骨組み)・リフォームと呼び始めています。
個人的にはニューヨークで働いていた時はRENOVATIONの設計をしていましたが、日本では一般の人でも判りやすいリフォームという単語を使ってゆきたいですし、その延長としてのスケルトン・リフォームという言葉や、よりデザインを重視した、デザインリフォームという言葉を広めてゆきたいと考えています。
因みに上の写真はアメリカでのリノベーション現場で、下が日本のスケルトンリフォーム現場です。どちらも変わりありませんね。