昨年こちらのコラムでご紹介した、「オゾン・リビングデザインセンター」の「家づくりサポートシステム」が縁で設計をさせて頂くことになった、大田区の三世帯住宅N邸ですが、いよいよ既存建物の解体が始まりました。僕らとしても何度も打合せをさせて頂いた住宅でしたので、明日から解体が始まるという前夜に、そっと最後の姿を覗きに伺って参りました。
ちょうどご両親がシャッターを開けているところでしたので、夜分でしたが声をお掛けしてみました。その夜からお隣に仮住まいすることになっているのですが、最後のお風呂を、昔の家で浴びたいとの想いで、湯浴みの準備をして来たとのことでした。新しい三世帯住宅を作るために、古い住宅を壊すことは必要な事ではありますが、お二人にとっては本当に思い出深い家であることを、今更ながら最認識いたしました。
その翌々日、解体の現場を訪問いたしました。お店も住居もすっかり引越しが済んで、古いお宅もどんどん解体されている最中でした。仮住まいしているお隣の2階から解体の様子を撮ったのが二枚目の写真です。恐竜のような重機の向こうに見えているのが、古いキッチンです。僕等にとっても、何度も打合せをさせて頂き、その度に美味しいご飯をご馳走になったキッチン。僕等でも寂しい思いがするのですから、長年使いこんできたお施主様達には、どのように感じるのでしょう…。寂しさ、悲しさの深さの分だけ、新しい三世帯住宅が完成した暁には、家族9人が楽しく、賑やかに暮らせる、そんな未来の生活の為に、僕等、設計者が更に頑張らねばとの想いを強く感じた二日でした。