Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

白黒CGを使ってのリフォーム案の空間説明

渋谷区N邸

カガミ建築計画とザ・ライブラリーのダブルネームで設計を進めている新築リフォームの渋谷区N邸のリフォーム案を白黒CGを使ってお客さまにご説明させて頂きました。

ここまでメールでのやり取りを通じて、2つの案をブラッシュアップしてきましたが、それぞれの案に使い勝手上のメリットとデメリットがあり、それだけではどちらが良いかを判断しにくいので、ちょっと早い段階ではありましたが、ザ・ライブラリーで培ったCG(コンピューターグラフィック)力を使って、空間的な魅力を含めて比較検討して貰うことに致しました。

改めてリフォームの2つの案を説明しておきます。居室のレイアウトは大きく変えず、キッチンの向きを変えてリビングダイニング向きにして、現在お住まいの代官山のお宅と似たレイアウトで大きなアイランドカウンターをキッチンに据えた案です。当初はこのCシリーズ(当初のB案、C案から派生した案なので、そのあとに改訂番号をつけてシリーズとしています)の案では、洋室2のレイアウトを変えないことでコストメリットがあるとご説明しておりましたが、リビングダイニングをより広く、その分洋室2を狭く、そして大きなダイニングテーブルを置いてもリビングへの動線がスムーズになるように洋室2のコーナーを丸くしていくうちに、LDK+洋室2はすべてやり直しとなってきた案です。

こちらは洋室2とキッチンの位置を入れ替えたBシリーズのB3案です。巨大なダイニングテーブル(マンションのお部屋への搬入を考えると、2つに分割しないと無理ですが…)を中央に据えた、より大胆なリフォーム案となっています。このままだと洋室2が無窓居室(ムソウキョシツ)になってしまうので、LDと大きな引き戸で仕切ることで、建築基準法上は二室一室の考え方を使った採光基準をクリアする考えで、実は今のお住まいの代官山でも同じようなお部屋を使っていただいています。Cシリーズの案のコストメリットが無くなってきたことを考えると、空間がドラマチックに変わるB案をベースに考えるのが良いのではと、僕ら設計側が推している考え方です。

弊社副所長で担当スタッフの前田君が、二つの案の空間を比較できるようにそれぞれ同じアングルから見た白黒CGを並べてくれました。リビング中央に立って南側(平面図の上側)を見た第一のアングルです。C案では正面にキッチンが、B案では左手にキッチンがあることの違い、そしてリビングの壁(CG右手の壁)にC案ではピアノが、B案ではテレビが掛かっているという違いがあります(Nさまご夫妻のご要望ではピアノは洋室2に入れたいのですが、C案では部屋のレイアウト上ピアノ設置が難しいのです)。

こちらはリビング中央から東側を見たアングル比較CGです。キッチンが見えるCGは、その部分の設計密度が高まってみえるので、自然とカッコよく見えてきます。最初の方の説明で、LDの入り口からダイニングテーブルの横を抜けてリビングに通る動線が狭く、部屋の角を丸くした理由が上のCGを見て貰えればよく分かると思います。3人以上のお子さまがいらっしゃるお家では、どうしてもキッチンと繋がるダイニングに誰かしらかがいることが多くなりがちです。C案ではそこが動線上のボトルネック(動線の一部が狭くなったか所のことで、動線全体の流れが悪くなってしまう)になることを心配しております。

最後にお見せする比較CGが北側を見たアングルです。実はこのアングルの比較CGが一番大きな違いが出るので、実際にNさまご夫妻にお見せしたのも最後でした。150平米(45坪)という広さの大型マンションなのに、部屋割りなどのせいで空間の大きさが実感しにくいと僕らも感じていましたが、このB案シリーズが一番大きく感じられるようになるので、それを早めの段階でCGで確認して頂こうと前田君と相談して、この白黒CGシリーズを作った次第です。こちらが考えていた以上にBシリーズの案の空間にNさまご夫妻が反応して、僕らがご説明してきた意図も理解してくださり、このBシリーズの案をさらにブラッシュアップしていきたいとのご意向になりました。

改めて、左から新築お引き渡し時(何もリフォームしない場合)、C案、そしてB案と並べてみると、C案にするのであれば、そこまでお金を掛けないで、もっと単純なリフォームで終わらせる方が良いことが想像されます。B案は本当に空間の広がりが大きく変わって、ご家族一体での暮らしが実現できそうなことが分かりますね。

Nさまご夫妻から、B案シリーズでどうしても気になるのが以下の点なので、それを何とか解決してもらえれば、文句なくB案で進めたいとのご意見を頂きました。

  • 一番上のお子さまのお部屋が洋室2になるので、何とかして窓を付けてもらいたい
  • 来客も使うであろうトイレ1への入り口の関係で、玄関ホールが広くなってしまったが、少しでもLDK側にスペースを持ってきたい

以上の2点を検討して貰いたいとのことで、設計契約も結んでここからはより具体的に進めることが決まりました(ここまでの作業は、現地調査(実際には現地はまだ工事途中で見れませんので、デベロッパーの事務所での図面調査)の20万円と初期リフォーム案の作成費20万円の40万円での作業でした)。

N様ご夫妻との打ち合わせの様子です。Nさまご夫妻は、以前お手伝いした代官山のお宅のリフォームの際には、不動産仲介会社から紹介されたリフォーム会社と、インターネットで探した僕らとで提案を比較検討したうえで、僕らを選んでくださった経緯がありましたが、今回のお宅は費用もそれなりに掛ける覚悟もあるので、絶対に僕ら、カガミ建築計画に依頼したいとのお気持ちで、最初からご相談に来てくださっていました。
因みに、立体的なCG作成は、確かに平面的なプラン作成よりもかなりの時間を要しますが、設計&調整に時間がかかる仕上げ素材や家具、照明器具などがない白黒CGであれば、かなり楽に(あくまでもカラーCGとの比較ですが…)できるのです。それでいて空間性を比較する上ではお客さまにも有効なので、うまく使っていきたいものです。