ギャラリーのような生活感のない空間を目指してリフォーム工事進行中の六本木Y邸の現場の様子です。
石膏ボード(別名プラスターボード)とは、石膏(プラスター)を主成分とした板素材の両面に特殊な板紙で挟んだ建築材料です。安価ながら軽量かつ頑丈で、そこそこの断熱・遮音性があり、壁や天井を張る下地材として今の建築にはなくてはならない基本の建材です。
ギャラリーのような白い空間に仕上げるには、塗装仕上げか薄手のビニールクロス張りが候補として挙がっておりました。僕らとしては継ぎ目なくシームレスに白が続く塗装が良いのではと思っておりましたが、清潔好きなYさまの奥さまは水拭きできる素材が良いとのことで、白いクロス張りで進めることに決まりました。塗装仕上げの場合は、下地の石膏ボードは割れを防ぐために2重張りにするのですが、クロス仕上げの場合は1枚張りとなります。クロス屋さんが、石膏ボードの継ぎ目や、ビス孔をパテで均してくれています。折り上げ天井内の白い現代アートのような印(笑)がパテ処理の跡です。
パテ処理はクロス屋さんが行うもので、このパテ処理が上手だとクロスがきれいに張れると言われていますが、それと同じくらい、石膏ボード張りの技術が最後の仕上げ度合いを左右する重要な工程となります。この写真を見ても、石膏ボードぼ継ぎ目がきれいに繋がり、ビス孔もリズム良く並んでいるのが良く分かりますね。
ボードが張られると、リノベーションで生まれた空間のサイズやプロポーションがしっかりと見えてきます。弊社担当の前田君(中央)が現場監督の神成さん(左)と話しているのが、キッチンエリアです。TOYOキッチンスタイルでお願いしたステンレス製のハードな仕上げのオープンキッチンです。
そのキッチンは横から見た所です。キッチンの突き当りには、色選定打ち合わせの際に選んだメタリックブラックのキッチンパネルが張られています。
左側の袖壁には小さくて四角い開口が空いていますが、このすぐ裏に奥さまのワークスペースを組み込む際の明り取りとして開口を設けたものです。
キッチン背面には、壁面全てを使って奥さまのワークスペースを組み込んだ収納を作ります。袖壁の端部に厚みが見えると、ギャラリーのようなシャープな空間を目指すには邪魔になるので、アルミのL字型アングル金物を使って、壁端部をスッキリ見せる工夫をしています。
担当スタッフで副所長の前田君が描いてくれたこの部分の詳細スケッチ(左)と、それを元に施工会社・リフォームキューの営業設計担当の坂本さんが起こしてくれた施工図(右)です。
写真右側のキッチン横のPS(パイプスペース)の出っ張り部の側面にインターフォンや床暖、給湯器や照明スイッチ類を纏めています。
使い勝手として良いかどうかの判断はあったのですが、ギャラリーのような生活感を無くした空間にするためには、極力コンセントやスイッチといった壁に入ってくる要素を減らすことが重要だろうと考えて、このようなデザイン的な処理をしています。
こちらは壁掛けテレビの背面壁の配線です。壁裏に穴を作って、単純にテレビからの配線を床置きのAVキャビネットの背面へと流す工夫です。この壁の裏が洗面とトイレなので、壁の中には断熱材を詰めているのですが、この部分だけはYさまにもご説明の上、断熱材を取り去ってツーツーとしております。
テレビと壁掛け金物、その他AV機器との接続を纏めたシートを前田君が作ってくれて、これでYさまのご承認を貰っております。
玄関ホール、寝室側もボードが張られ、向かって右手の書斎の壁上からのハイサイド窓からの光の具合も確認できるようになりました。
FGボードで苦労して大工さんに作った貰った曲面壁も二層目が張り終わって、大分形が落ち着いてきました。
寝室と同じくらいの大きさのある収納量抜群のWICも空間の骨格が見えてきました。
寝室の壁には、大工工事で本棚を壁いっぱいに作ります。厚みのある壁をLGS下地と石膏ボードで作って、ボードに棚柱(通称:ガチャレール)を取り付けて本棚化していきます。