Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

変則斜め壁を使った間取りの作り方

渋谷区N邸

渋谷区N邸では、リビングダイニング・インの個室を作りましたが、窓の位置と壁の位置がどうしてもうまく繋げられず、色々な案を考える中で、変則的な斜め壁を作ることで窓付きの個室を作ることができました。

リビングダイニングキッチン+洋室のビフォーアフターを取り出した間取り図です。上がビフォーで下がアフターです。これだけだと判り難いので…、

色分けしてみました。ブルーが洋室、グリーンがトイレ+手洗い、水色がキッチンで赤がリビングダイニングです。水色のキッチンと緑のトイレが大きくなって、赤のリビングダイニングが家具レイアウトをしやすい整形にすることができましたが、その分だけブルーの洋室がコンパクトになっています。玄関ホール側からの壁を真っすぐに伸ばすのが設計的には素直な間取りになりそうですが、それをしてしまうと窓の無い無窓居室(ムソウキョシツ)となり、引き戸でLDと大きく繋げる等の工夫をしないと、納戸的な扱いになってしまいます。そこで図面右側のバルコニーの方立を狙って最後の壁を斜めにカットしたのが今回の間取りの一大工夫となっています。
この案の良さは、洋室はサイズ的にはコンパクトながら、ベッドと勉強机とピアノを並べてレイアウトすることができ、かつ一つの掃き出し窓があることなのですが、実際の空間としてどのようになるのかが分からないとのお客さまのご意見で、CGを作ってお見せしたうえでご了承を得ることができました。

このようにリビングダイニング側から見た斜め壁の様子は、このようにCGで表現できるのですが、洋室2の内部がどのようになるかは、部屋がコンパクト過ぎてCGではなかなか表現できていませんでした…。

施工的にも、斜め壁の端部、窓側のおさまりはなかなか難しく、工事をお願いしているリフォームキューの森井さんと、弊社担当の前田君が何度も図面でのやり取りをして、ようやく方針が決まりました。

斜め壁部分だけでなく、収納と手洗いと洋室2の扉を1枚の大きな壁のデザインに見せるように、フレームで囲ったり、照明レイアウトを工夫したりして、何とか施工のタイミングに合わせることができました。

先ほどのCGとほぼ同じアングルから見たリビングダイニングの様子です。左側LGS(軽量鉄骨)の壁の最後が斜めになっているのが分かりますね。

こちらはダイニング側から見た斜め壁部分の様子です。因みにこちらのマンションは新築時から床先行(床の下地を先に作って、その上に壁下地を建てる工法。通常は床の前に壁を建てて、そのあとで床を張る壁先行の工法)だったので、リフォーム工事も床先行としています。

ほぼ同じアングルからみた完成予想CGがこちらです。

斜めの壁が、既存の窓サッシの竪方立にぶつかる部分の取り合いがかなり難しく、結局既存の枠に新たにL字型の木製枠を取り付けて、そこに斜めにLGSが差し込まれています。

こちらは新築内覧時に窓の竪方立と窓サッシ、プリーツ網戸、建築枠とどのように取り合っているかを確認するために撮影しておいた写真です。

リビングダイニング側から斜め壁とサッシの取り合いの上部を見たアングルの写真です。

こちらは洋室2の内側から見た斜め壁と既存方立との取り合いです。まだこの様子だと、どのように仕上がるか想像できませんね…。

こちらが斜め壁の内側の洋室2から窓方法を見た様子です。大きな梁が上部にあって天井高さはそれほどとれなさそうですが、壁が塞げられても掃き出しの窓一つがあれば、それなりに明るく快適なお部屋になりそうで安心いたしました。

その他の部分の工事も順調に進んでいます。こちらはダイニング側からキッチン側を見たアングルの写真です。中央右に立っている壁の背部にコンロが付いて、手前には飾り棚が付きます。

キッチンのシンクからの排水管は、床下地レベルぎりぎりに納まっていますが、ちょうどこの横引き配管はキッチンキャビネットの下に隠れる部分となっています。

リビングの右側では、大工の上野さんたちが三方枠の下地を作ってくれています。こちらの窓側にも木製枠と間接照明を取り付けて、スタイリッシュに仕上げる予定です。

こちらの部分の詳細についても、弊社担当の前田君とリフォームキューの森井さんが細かい図面打ち合わせをしてくれています。