渋谷区Q邸の解体工事の一つの大きな山場に取り掛かっています。
水回りの床下に打設されていたシンダーコンクリートを撤去するための第一段階として、コア抜きをする作業が始まっています。
コア抜きとは、このような機械を使って、建物のコンクリート部分に穴を開ける作業のことです。青山の某不良施工マンションで有名になったように、配線、配管を増設するためにコンクリート躯体に穴をあける作業や、耐震診断のテストピース採取のために使ったりと、色々な形で利用されています。
こちらでは、床下のシンダーコンクリート層を破壊撤去するための準備作業として、壁際にコアを抜いて、後で使うパッカー工法の圧力を逃がすようにしています。
このようにコア抜きの穴を連続させて抜いていきます。
因みにこちらが抜き取られたコアです。シンダーコンクリートと言いながら、骨材がふんだんに入った硬いコンクリートが打設されていました。下から嵩上げのシンダーコンクリート、黒い帯がアスファルトの防水層、その上に防水層を守るための嵩上げしんーだこん、白い帯は断熱層で、その上に浴室洗い場の水を流すための勾配を取るための最後の嵩上げシンダーコンとなっています。よく見ると、一番上の層にはオレンジ色の断面が見えていますが、これは浴室洗い場に仕込まれていた電熱線の床暖房です。
コア抜き作業にも乾式や湿式などの方法があるようですが、今回は湿式穿孔を採用しています。水を使いながら粉塵を抑えながらスピーディーな作業が可能な方法です。ただ、防水層を破っての作業なので、作業時に発生する水が、下の階に行かないように、水を吸い取る掃除機を使いながらの作業となります。
二つ並んでいるのは水抜き用の掃除機で、左の黒いものが乾湿両用の掃除機本体で、右の赤い容器に白い蓋がかぶさっているのは貯水タンクとなります。コア抜き作業をしながら、時々手を止めて下に溜まった水を吸い取ってゆきます。ちなみに、35センチほどのコアを抜く作業で40分程度(準備時間も含めて)の作業となるそうです。
抜かれたコアが溜まってきた様子です。防水層や断熱層の部分で分解されてしまうので、細かくして積み上げられています。
パッカー(セリ矢)を使うと、200トンほどもの圧力が加わるので、コア抜きによって縁切りされていないと、コンクリート躯体壁や構造柱にヒビが入ってしまう恐れがあるので、現場監督の岡田さんや弊社の設計担当の竹田さんが、きちんと計画通りにコア抜きされているかを確認してくれています。
今回のシンダーコンクリートの撤去については、こちらにPS部分に空いている空隙内の様子からも、シンダーコンクリート内に配管が埋まっていることが分かっていました。
こちらがその様子です。断熱材で巻かれて縦に通っているのがマンション共用の排水竪管で、そこから二本床に対して平行に分岐されているのが当該マンションの排水管となっています。シンダーコンクリート内に埋設された状態では、水回りのレイアウトを変更することが難しいこと、そしてそれ以上に今後の配管材料の経年劣化や地震等で配管が割れたりずれた場合に水漏れを補修することが現状ではできないので、今回の大規模リノベーションの際に交換することをご提案しておりました。
まずはここまでのコア抜き作業で、マンション内の住人の方々からの工事騒音にたいする注文が無く、下階等からの水漏れの連絡もなかったので、この次のパッカー工事に向けての準備を進めてゆくことになりました。
施工会社の青とは、同じような施工手順でヴィンテージマンションのシンダコンクリートの撤去をこれまで数回してきたので、一つのチームとして色々な懸念材料を相談しながら進めることができるので、何より助かります。