代々木上原I邸では、階段室の吹き抜けや造作家具などでかなりの数量の突板ベニヤを使う予定です。突板(ツキイタ)ベニヤとはあまり聞かない言葉ですが、天然の木材を薄く(0.2~0.4ミリ)スライスしたものです。弊社であれば、ウォールナットやチーク、或いは今回使う予定のオーク(ナラ材)を薄く突いたものとなります。そのままだとお寿司を包む経木(キョウギ)よりも薄くふにゃふにゃで建材としては使えないので、柄を揃えてベニヤ板に張って家具や建具などに使います。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0017396.jpg)
上の写真の細長いものが突板となります。今までは、突板選びで埼玉方面の突板屋さんを訪問したことは何度もありましたが、今回はその突板を建材として使えるようにベニヤ板に張る工場を、施工をお願いしている青の現場監督の石坂さんと造作家具をお願いしている現代製作所の藤田さんと一緒に見学して参りました。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/DSC_7631_pt.jpg)
こちらが突板ベニヤ工場の丸考天然木化粧合板さんです。会社名にもなっている化粧合板とはきれいな木目や柄、色合いの天然木の突板をきれいに張った突板ベニヤの別称です。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/DSC_7632_pt.jpg)
工場の内部は大型の機械が所狭しと並んでおります。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0017548.jpg)
働いている方の数はあまり多くありません。やはり中国などの労働力の安い国の製品に押されて、中々商売も厳しいようです…。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/DSC_7633_pt.jpg)
暗い話はさておき、突板ベニヤ工場のプロセスを順に見せて貰いました。こちらは突板の裁断機です。
![突板ベニヤ工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0017617_pt.jpg)
重ねた突板の束を正確な寸法に一気に裁断してくれる機械です。
![天然木化粧合板工場](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0017618_pt.jpg)
こちらがオークの柾目の突板が正確な寸法でカットされたものです。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/DSC_7637_pt.jpg)
突板を張る基板となるベニヤ板も並行したラインで処理が行われていきます。こちらは何の液体か書いたメモを無くしてしまいましたが、何らかの液体をベニヤ板に塗布する作業機械です。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/DSC_7652_pt.jpg)
似たような機械ですが、こちらは基板ベニヤ板に接着剤を塗布する機械です。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/DSC_7643_pt.jpg)
こちらが突板工場のクライマックスになります。二人一組のチームとなって、基板ベニヤに張っていくのです。特殊な接着剤を使っているので、一度張り合わせてから多少ズラすこともできるようですが、この張り方の精度で化粧ベニヤ板のきれいさが決まってくるので隙間が空かないように慎重に作業が進められます。僕らが周りから撮影している最中も脇目も振らずに作業に集中していました。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/DSC_7645_pt.jpg)
こちらの大きな機械がプレス機です。熱を加えながら高圧でプレスして、突板とベニヤ板が剥がれないように一体化させます。何枚もの突板を重ねてからプレスするそうで、残念ながらこの日はこの機械が稼働している様子は見ることができませんでした。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/DSC_7660_pt.jpg)
こちらの作業はプレスが終わった化粧突板の補修工程となります。突板同士が重なってしまった部分は板厚が厚くなってしまうので、紙やすりで削り落とし、反対に少しでも隙間が空いてしまったカ所がある場合は…
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0002191.jpg)
この同じ材料で作った裏にノリのついた突板を極細にカッターで切って、隙間に張ってゆくのです。
![](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0017578.jpg)
そうすると、上の写真のような極細の隙間がきれいに埋まるのです!天井から吊るされたアイロンとサンドペーパーを使ってみるみる補修が進んでいきます。このようにして補修が終わった板をサンダー機械に掛けて、スムーズにしたところで天然木化粧合板の完成となります。この補修過程については、こちらのYouTube動画が参考になります。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0002199.jpg)
こちらの工場の上階には、天然木の突板が沢山保管されています。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0017588.jpg)
今回の見学の主目的は、実はこちらでした。良い柄の突板を選んで張り方を指示するのです。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0017603.jpg)
工場で作られていた化粧突板は柾目の素直ながらをシンプルに並べたものでしたが、今回代々木上原I邸で考えているのは、ランダム張りです。基本は板目柄のものを三種類ほど選んで、半割にしたものを混ぜながら、全体をランダムに張るスタイルです。こちらで選んだ3枚を写真に撮影して、
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それぞれの突板に名前を付けて、
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その張り方を指示したのがこちらです。本当はもっとズラしたい気持ちもあったのですが、ここまでの化粧ベニヤ板の製造過程を見てしまうと、あまりに複雑なことをすると、工場に迷惑も掛かりますし、それ以上に手間が掛かって費用も高くなってしまうことが分かったので、今回はここまでとしました。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0017394.jpg)
突板のロールサンプルを貰って持ち帰ったので、後日、青の片岡社長も交えて、最終的な塗装イメージも含めて確認させて貰いました。
![突板工場見学](http://kagami-renovation.com/wp/wp-content/uploads/2022/01/R0001641.jpg)
写真下の正方形のサンプル板のように、すこし白い塗料を上から掛けて、拭き取ったイメージで仕上げて貰うように依頼致しました。