もう一つ新しくスタートしたプロジェクトをご紹介いたします。新宿区にある高層マンションの最上階住戸、180平米の大型住戸で天井高さが3.0メートル(建築的には3000ミリ)のほぼ全面リノベーションです。
現状調査時(3回目の打合せ時)の写真ですが、空間はとてもきれいで何もしないでも良いのではと思えるような空間でしたが、お子さまが就職して家を出たことや、廊下の面積が多すぎて180平米の広さが実感できたことが無いとのことで、使い勝手だけでなく空間性も考えたリノベーションを考えて欲しいとのご依頼です。
天井の高い空間にB&Bイタリアの家具が入って確かにすっきりしているのですが、リビングダイニング(LD)の空間がほぼ正方形で家具のレイアウトがしにくく、また天井が高いことで空間のプロポーションがズレて、少し狭く感じるのかも知れません。
LDに隣接したキッチンは、完全にクローズド型で別個の空間になっているのも空間の広さが実感できない一因なのでしょう。この写真の向かって右側がLDです。
玄関とLDの前の廊下幅が広いので、キッチンと廊下をLDに取り込んで、大きなLDKが実現できれば広さを実感できるのではと考えて作ったのが…、
こちらの初期スケッチ案です。事前に送って頂いた既存プランに黒のマーカーと赤と青のペンで書き込んだラフプランですが、基本的な考えは気に入って頂けたようです。
ただ、まだこの段階ではお住まいも拝見しておらず、マンション竣工時の設備図等の重要図面をチェックしていない段階ですので、キッチンをどこまで移設できるかはまだ断言できない状態でした。
このブログの最初の写真にもあった有料での現況調査の際に、お客さまから管理事務所に事前に連絡しておいて貰ったうえで、撮影させて貰ったマンション竣工時の設備・構造関係の図面がこちらです。管理人さんに竣工時の青焼き図面を用意しておいて欲しい旨を事前に伝えておいても、いわゆる意匠図しか用意してくれていないことが多いので、自分たちで図面保管庫に入らせて貰って、重たい設備や構造図を取り出して調べさせてもらうのです。
ただ、今回のお部屋は最上階の特別住戸で、平面図だけでも3通りほどあって、どれが正解なのかが良く分からない状態でした。広い特別な部屋は有力地権者や特別分譲で、オーダーで間取りを変えていることが多く、今回もそのような事情があったお宅のようでした。
床下の配管や天井裏のダクトは、プランの実現性を確保するためには相当に重要ですが、お客さまに初めてご案内して頂く時に聞くお話しは、それ以上に重要なので、内覧時には設備のことは念頭に置きつつもお客さまのお話しを伺いながら注意深くお部屋を観察させて頂きます。
こちらは主寝室です。壁面に置かれているB&Bイタリアのキャビネットは以前のお宅にお住いの時に買ったけれど、こちらのお宅ではうまく使えていないとのことでした。
主寝室の隣にある通り抜け型のクローゼットはご主人の洋服も多く、ギュウギュウに詰まった状態で、棚上も箱や書類等で一杯でした。
こちら洗面所はカウンターもダブルシンクで広々として使いやすいとのことでしたが…、
浴室の入り口前に無駄に大きなスペースがあり、勿体ないとのことでした。
折角リノベーションするなら浴室も作り直してリフレッシュなさりたいとのことでしたが、グレードも高く、現実的な使い勝手としては大きな問題はなさそうでした。
一番奥の寝室にはその寝室からしか使えないシャワーユニット付きの水回りがありました。コロナ時にご家族のメンバーがコロナに罹患した際は、この部屋に家庭内別居することが出来て便利だったそうですが、実はトイレが無いので、完全隔離はできなかったとのことでした。今はワインセラーとアイロン台置き場となっているそうです。
リビングの窓際は天井も高く、窓面も大きく開放的なのですが、かつては見えていた富士山が他のマンションが建ったことで見えなくなったことと、西日がきついのでブラインドを閉めていることがほとんどのことでした。
コロナになってからエアロバイク(自転車型トレーニング器)を置いているそうですが、今は人気はがた落ち(笑)とのことでした…。
一通りのヒアリングを終えた所で、設備関係の調査をさせて頂きました。まずは持参した脚立を使って廊下天井の点検口を開けて内部を覗いていきます。
天井が高い最上階住戸ですが、部分的に天井が落ちている個所がありますが、こうやって天井裏の覗くことでダクトを避けながらどこまで天井高さをあげることができるかも確認できるのです。
浴室の天井点検口から覗いた天井裏です。スプリンクラーのヘッドや排水の通気管、弱電関係の設備も配置されていました。
床下の点検口も全て開けていきます。
こちらは給水のヘッダーのための点検口でした。
携帯カメラを突っ込んで覗いた床下です。洗面の排水管と給水と温水の管が来ています。
洗面カウンターの下にも点検口があったので、確認致しました。何の配管があるかだけでなく水回りの床下のスラブ(コンクリート床)がどれだけ下げられているか、ダウンスラブの範囲の確認もすることができました。
こちらは事前にプロジェクト担当の岸本さんと前田君が二人で現地でチェックすべき内容を纏めて置いた資料です。