先回のブログでTVキャビネットの取り付けを紹介した新宿T邸ですが、他の造作家具の取り付けについてご紹介します。
施工会社・青の下請けとして入ってくれている造作家具屋の大沼木工所さんとは、初めてご一緒したのは約12年前の杉並区S邸のリフォーム工事現場でした。それから幾度もご一緒していますが、工場を見学したことが無かったので、今回のT邸の造作家具の製作途中も見せて貰いがてら工場を訪問してまいりました。
2段重ねになっていますが、箱と扉をメラミンでお願いしている来客用トイレの手洗いカウンター下の箱ががほぼ出来上がっていました。
こちらも同じ家具の他の部分ですね。奥の壁に立てかけてある四角い穴の開いたパネルはゴミを捨てるための穴です。少しタイミングが悪く、他の塗装仕上げの家具は別の塗装会社に送ってしまった後とのことで、残念ながらT邸の他の家具は見ることができませんでした…。
それでも、大沼さん兄弟のお父さんが昭和初期に始めた木工所とのことで、沢山の小口テープが並んでいる棚に驚かされたり、
迷路のように入り組んだ工場の奥には、昔大沼家が住みながら家具を作っていた築50年を軽く超える古い倉庫があったりと、見どころが色々とありました。
新宿T邸の造作家具は、実は3回に分けて現場に入れられています。石膏ボードとの取り合いがシビアでカウンター周りシールを最小限に収めたい、例えばこの来客用トイレの手洗いカウンターは、ボードが張られる直前に入れて貰いました。
こちらは大沼木工所に作ってもらった家具の製作図です。大沼さんの会社は、実はここまでの図面はあまり作らず、大沼さんの鉛筆手書きのスケッチ図面で打ち合わせを進めるのが普通のやり方なのですが、僕らは製図の費用が掛かっても良いので、より細かいディテールまで詰めたいので、作図をお願いしているのです。
ボードやタイル下地のベニヤ板が完全に張られてから入ってきた造作家具の第2弾の洗面カウンターです。
リネン庫と下着等を入れる引き出し収納が入ったトール収納とダブルシンクのカウンターが繋がった大きいキャビネットですが、カウンター材がトール収納にまで差し込まれているようなデザインとするために、この写真のような面倒な組み立て方となっています。
箱を一旦組んだ後、クオーツストーンにダブルシンクの穴があけられているカウンター材をセットします。
来客用トイレの手洗いのように石膏ボードを貼る前にカウンターがセットできると、隙間をほぼゼロで納めることができるのですが、反対にこれだけの大きな家具を先に入れてしまうと、傷がつかないように養生をしながらの石膏ボード張り作業となってしまうことや、先行の家具が多くなると、工場のスケジュール調整が大変になるので、バランスを見て、こちらの家具は石膏ボード張りの後でのセッティングとなりました。
カウンターがきれいに乗った洗面家具です。
反対側から見返すと、カウンターのクオーツストーンが、手前のトール収納の中まで入り込んできているのが良くわかりますね。
引き出しや収納扉がを取り付けると、ほぼ完成となります。
ほぼ最後に入ってくるダイニング横のワインセラー入りキャビネットは、塗装工事が終わった後に取り付けられます。この写真のキャスター付きゴミ箱と掃除機が入れられているニッチに、その家具が入ってきます。
こちらがその家具です。天井高がかなり高い空間なので、上部の空間も収納として使えるように工夫しています。ビニールが掛けられてい黒い塊はワインセラーキャビネットです。
セインセラーが収まっているニッチ空間とその左側のカウンター家具の間の仕切り板を見てください。
通常のキャビネットで作ると、厚みが20ミリほどの塗装仕上げの板が入ってくるのですが、そうなるとかなり野暮ったくなるので、ここは厚み3ミリのステンレスヘアライン仕上げの方立(ホダテ)で納めて貰っています。
斜めから見ると方立の厚みというか、薄さが判りますね。
こちらは玄関横、来客用トイレ横の靴収納(この状態ではスリッパ収納として使われていますね)ですが、こちらも塗装工事が終わった後に造作収納と取り付けます。
靴収納は2つの扉に分かれており、一つは姿見を兼ねた鏡扉に、もう一つは鏡面の輝きは同じですが、顔が映り込まないカラーガラスの扉となっています。これらはの扉は現場で扉の基材に鏡とカラーガラスを接着するのですが、数日間は平らな場所で置いておかないといけないのです。
そして、最後に扉を取り付けると、このようにすっきりと納まるのです。