Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

壁仕上げ_塗装&クロス&大理石&タイル

新宿区T邸

新宿区T邸の壁仕上げは、塗装仕上げ、クロス仕上げ、大理石張り、タイル張りの4種類を使い分けています。

最初にご紹介するこちらは塗装仕上げです。マンションでの塗装工事は、ずらして2重に張った石膏ボード上から、石膏ボードの継ぎ目とビス穴をパテで均した上から、AEP(アクリルエマルジョンペイント)を塗り重ねるプロセスとなります。

キッチンの天井や壁の一部のパテ処理が進んでいる状態です。壁のモールディングは下塗りを先に進めてくれています。

ツヤは違えていますが、壁と天井のモールディング装飾も同じ塗装仕上げなので、全てが塗装で仕上げられると、一体感がある空間に仕上がってくるのです。

塗装と前後して、壁タイル張りの職人さんも入ってくれています。洗面所の突き当り壁は600ミリ角の大理石調タイル張りです。鉛筆で垂直水平を記した後、手で一枚ずつ貼ってゆくのです。

突き当り壁のタイルが貼り終わった状態です。

同じタイル屋さんが、キッチンのコンロ前のタイルを貼ってくれています。

こちらのタイルは、お客さまもお気に入りの手焼き風タイルです。

手焼き風といったのは、色の滲みやタイルの歪みまで、正確にコンピューターで制御されたタイルだからなのです!マラッティ(イタリア)のルーメというタイルです。

少し離れたところから見ると、本当に手焼き風のテクスチャーがきれいなのです。

玄関入って正面のこちらの壁は大理石のオデッサベージュを貼ってもらいました。

癖の少ない大理石のオデッサベージュを単純に600ミリ角で貼ると単調になってしまうので、600角を半分にしたものと、三分の一にカットしたものを作り、更にその小幅のものは磨きを変えて貰っています。

それらをこの図面に従って、ずらしながら貼ってもらうことで…、

逆光で見るとこのように磨きの違いが見えてくるようして貰っています。600角が本磨き(ツヤあり)で、幅が狭いものが皆水磨き(ツヤなし)としています。

最後がクロス張りです。クロス=壁紙ですが、日本の一般的なクロスはビニールクロスと呼ばれるポリ塩化ビニールを主原料として作られた壁紙です。安価で施工が楽で耐久性があり、色味や柄が豊富なことが特徴です。良いこと尽くめのようですが、塗装に比べると質感に劣ること、経年で部分的に剥がれてきたときが見すぼらしいことなどがデメリットです。カガミ建築計画では、そういったことから、リビングダイニングや玄関などのパブリックな部分にはあまり大々的には使わないケースが多いのです。ただ、こちらのお宅では、プライベート部分はコストのことでビニールクロス仕上げとさせて貰いました。ただ主寝室のヘッドボード面は、目地を入れたベニヤ板を貼り、ビニールクロスを巻き込むように仕上げてもらい、簡易版のヘッドボードを作ってもらいました。

こちらが仕上がった様子です。安価なビニールクロス張りには見えませんね(実際に目地入りの下地を作ったりすることで決して安価ではないのですが…)。

キッチン背面のパントリーとランドリースペースは、同じクロス張りでも高価な紙クロスと安価なビニールクロスをミックスして貼ってもらいました。

紙クロスは、そのもの自体も高価ですが、更に幅も狭く、柄合わせが面倒、糊を裏面につけてから作業できる時間が短い(つまり一度に沢山のクロスを糊付けしてから一気に施工することができない)、などの施工のむずかしさがあるので、ビニールクロスに比べて何倍もの高さになってしまうのです。

ただ、間近で見たときの質感がきれいで、柄もユニークなものが多いので、今回は汚れやすいボトムとトリムをビニールクロスでつくり、上部に高価な紙クロスを張るというご提案でした(中途入社スタッフの松藤さんからのグッドな提案でした)。

ランドリールームの中も同じ仕様で貼ってもらいました。柄入りのクロスを張ると、子どもっぽくなることが多々あるのですが、これはとてもきれいに仕上がりました!