Author Archives: Kenji Kagami
2024.03.18
工事前の現地での素材最終確定@元麻布J邸
[元麻布J邸]
先回の事務所での打ち合わせで、見積り額と素材グレードの確定が終わっていた元麻布J邸プロジェクトですが、工事着工に先立って同じグレード内での色味を最終決定するために、現地でお打合せをさせて頂きました。中古物件でご購入なさったお宅で、まだお引渡し前の段階でしたので、現オーナー様に不動産仲介会社経由で内覧の依頼と、電気の通電をお願いして実現することができました。
最初に現地を拝見させて頂いた際は、通電されていなかったので、廊下や洗面、玄関ホール等の窓のない部屋は暗くて全容を確認することが出来ていなかったのです。
床に並べたインテリア素材群がこちらで、同じ種類の材料で色味のサンプルが複数あるカーペットや壁紙、人工大理石などを選ぶことになります。
今のお住いもグレーの壁紙を使っているとのこと、今回のお宅でも真っ白は使いたくないとのことで、カガミ建築計画で良く使うグレーの壁紙候補をお示ししている様子です。
ここからは素材のカルタ取りのような様相で、何を選んだらドレとの相性が良いかを、出したり引っこめたりしながら考えてゆきます。
玄関などの空間では、その場所の素材を持ってゆき、壁に当てながら考えて決めていきます。
最後まで悩んだのはカーペットの色となります。当初のグリーンから、ちょっと冒険が過ぎるのではとのことで、無難なベージュ調のものも候補に挙がってきましたが…、
窓から見える外部の植栽のグリーンも拾っているので、やはりグリーンが良いだろうとのことで決定することができました。
今はリビングとダイニングと鏡の向こうのキッチンに分かれている空間が一つの大きな空間に合体することになります。
特に、このダンススタジオのような鏡張りの壁で仕切られたキッチン(右側)とダイニング(左側)が合体することで、体感的な空間の広さは倍ほどに広がるのではと考えております。
無事全ての素材の色味まで決定することができたので、恒例の記念撮影です。左からリフォームキューの担当の大久保さん、Jさまご夫妻、カガミ建築計画のプロジェクト担当の松藤さん、そしてリフォームキューの坂本さんで、僕、各務は三脚を忘れたので、撮影しております(笑)。
2024.03.14
新築マンションリノベーションの内覧同行
[ザ・ライブラリー]
ザ・ライブラリーブログのご紹介記事です。
新築マンションリノベーションの千代田区O邸ですが、ようやくマンションが完成してお客さまの内覧があるとのこと、ザ・ライブラリーメンバーで設計の僕各務、田口さん、岸本さん、現場監督の栗原さんの4人でOさまご夫妻に同行させて頂きました。
まず最初にお部屋の玄関を開けて驚いたのは、リアルの空間が完成半年前に作っていたCG(コンピューターグラフィックス)とほぼ一緒だったことです。Oさまご夫妻も、マンションデベロッパーの営業担当者の方も、皆驚いておりました。
お部屋の中もCGとそっくりで、既視感のある空間で、皆で笑ってしまいました…。お打合せの前に、まずは田口が用意したタブレット端末でのビフォー&アフターをその場で楽しんで頂きました。
事前にURLでCGをお送りしており、何度もご覧になっているOさまご夫妻も、リアルな空間で現実とリノベーション後のCGを見比べるのは初めてで、とても興奮して体験して下さっていました。
ザ・ライブラリーのメンバーでも、このリアルな空間が、工事を経てCGと同じような空間に仕上がってゆくのは、不思議な感覚がありますので、初めて体験することになるOさまご夫妻も、ここからのプロセスを驚きつつ楽しんで頂けるだろうと信じております。
この後は現地調査の様子の記事がありますが、そちらは以下のブログをご覧ください。
2024.03.13
ゼリージェタイル(Zellige Tile)とは
[文京区S邸]
文京区S邸のお客さまから、キッチンや浴室にこのようなタイルを使いたいとのご要望を頂きました。
https://www.alteret.com/en
海外では見たことがあるのですが、日本ではほとんど見たことが無いタイルでしたので、お客さまにどのような種類のタイルかを尋ねた所、モロッコ産のゼリージェタイル(Zellige Tile)と呼ばれるタイルで、今米国の富裕層の間で大流行しているとのことでした。
https://www.alteret.com/en
サイズも色々、色もカラフルなバリエーションがあることが判りました。ろ過した泥を型に流し込んで整形し、釉薬を掛けてから焼き、それを機械ではなく手斧でカットしてモスクや宮殿などにモザイク模様で貼ることから発展してきたタイルだとのことです。20代後半にバックパッカーとして中近東を旅行した際に補修中のモスクの工事現場で見たことがあったので、記憶があったようです。
モロッコから輸入する建材に詳しい人は知らないので(笑)、イタリアの建材に詳しいアノニモデ・ザインの黒澤さんに聞いてみた所、幾つかのメーカーを調べて貰うことができました。
モロッコ産は基本となりますが、それをモロッコから直接入するのか、イタリアやスペイン経由で輸入するかで、品質や価格や納期も変わってくることも分かりました。まずはカタログでみてよさそうだったスペインのメーカーが扱っているサンプルを取り寄せて貰いました。
ひと月半掛かって届いたのが、こちらのタイルです。表面の不均一度合いはイメージ通りでしたが、裏返した背面の手作り感は想像以上の素朴さでした。
100ミリ(10センチ)角と50ミリ(5センチ)角のものが届いたので、まずは目地無しのイメージで並べてみたものを打合せ時にお客さまに見せたところ、正にイメージ通りだと喜んで頂けました。
最初に届いたのがスペイン経由のモロッコタイルに続いて、モロッコ直輸入のモロッコタイル(分かり難い…)も届いたので、平面モックアップを施工会社の青にお願いして作って貰いました。と書くと、簡単なのですが、青が普段付き合っているタイル屋にこのタイルを見せた所、あまりに不均一でモックアップとはいえ貼ることができないと数社に断られてしまいました。
最終的にこのモックアップの為に一肌脱いてくれたのは、何と石屋のキダ・マーブルさんでした。考えてみれば石屋の方がボコボコのあれ肌の石などを張る技術にも長けており、これをタイルと考えずに張ることができたようです。
お客さまのSさまご夫妻にモックアップを見て貰っている様子です。モックアップの上に置いてあるのは、日本の輸入タイルメーカーから取り寄せたゼリジェタイルですが、モックアップを作ったものが一番雰囲気があると喜んで頂きました。
基本的にはスペイン経由で購入するゼリージェタイルでキッチンとパントリー、浴室とシャワールームの壁を張る方針が決まりましたが、設計からも施工からも気になることが多くあったので、このような同意書にサインをして貰ったうえで計画を進めることにしました。こちらは事前にお送りして見て貰っていたので、当日サインをして頂きました。
https://www.alteret.com/en
平面的に張ることは何とかできそうだと判っていますが、浴室とシャワー室にはこの写真のようなニッチを作ることになっており、そのような施工ができるかが分からなかったので、まずは関係者全員で集まってどのように施工するかの相談をすることになりました。
左から青の片岡社長、現場監督の織田さん、キダマーブルの齋藤専務、アノニモデザインの黒澤さん、そして弊社副所長で担当スタッフの竹田さんです。
このような形で、出隅と入隅が混ざったモックアップを作って貰うことになりました。
こちらが余っていた緑のタイルです。
そして2週間ほどで出来上がってきたのがこちらの立体モックアップです!こちらもキダマーブルさんにお願いしたものです。
懸案の出隅は、このようにタイルの裏地を手作業で45度にシャープに削って張り合わせてくれています。
反対に入隅はこのようになります。目地材が少しでも欠けたら、裏に水が回ることが予想されますので、上記の同意書が施工側に重要になってきます。浴室とシャワー室はオーダーユニットバスの東京バススタイルに作って貰い、タイルは浴室設置後に張る形での施工となる予定です。その場合、タイル裏で一応防水を取っているので(このモックアップはベニヤ下地ですが、実際は耐水性のあるアクアパネルとなります)、例え裏側に水が回っても下の階に水漏れする可能性はほとんどありませんが、タイル地に水がしみて割れたりする可能性はないとは言えませんね…。
その後、お客さまにこのモックアップ模型を持て貰った所、出隅のエッジのシャープさで手を切りそうなことから子どもたちが使う浴室にはニッチは作らないことになりましたが、ご夫妻が主に使う主寝室付きのシャワールームでは、このゼリージェタイルを使ってのニッチを作ることが決まりました。ただ、ニッチの下の棚板に当たる部分はシャンプー等が染み込みそうなので、下台だけは大理石で作ることになりました。